2001年11月号 | |||||||||||||
お客様訪問記
富士里和製紙で採用されたMsysNet製品による
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(株)エム・システム技研 東京営業部 システム技術グループ | |||||||||||||
静岡県の富士市を中心とした駿河湾沿いは、富士山の山麓から流れ出る豊富な水を利用した製紙業が盛んなところです。今月は、パルパー設備の監視・データロガーシステムに、MsysNet製品を採用した富士市にある富士里和製紙(株)を訪ね、同社取締役副社長の里和義政
様と、このシステムのエンジニアリングを担当されたマイサーボ(株)取締役営業技術部長の伊東秀樹
様にお話を伺いました。 [エム・システム技研、以下エムと略称]今回、パルパー設備の監視とデータロガー用システムとしてMsysNet製品をご採用いただきましたが、パルパーとはどのような設備ですか。 [里和]近年、地球環境保全の立場から、テレビや自動車といった耐久品にいたるまで、本格的なリサイクルが行われるようになってきました。これに対し、紙製品ではだいぶ以前からリサイクルが行われています。とくに、最近、リサイクル用紙の需要が多くなってきています。 富士里和製紙では、回収された古紙を原料として、トイレットペーパーなどの家庭紙を生産しています。古紙から紙を作るには、まずはじめに古紙を水と混ぜて撹拌し、溶かしてから不純物を取り除いてパルプを再生します。この、古紙を溶かしてパルプを再生する装置をパルパーと呼んでいます。 [エム]監視・ロガーシステムを導入された目的は何ですか。 [里和]現在、3交代で24時間運転を行っています。今後、生産性を上げるためには、設備の運転を自動化して行かなければなりません。大規模な製紙工場では、生産設備の運転にDCS(Distributed Control System)を採用していますが、富士里和製紙のような規模の小さな工場では自動化が遅れています。そこで、いきなりDCSによる監視・制御へ移行する前に、まず設備の運転担当者にディスプレイ画面による設備の監視や運転に慣れてもらわなければなりません。今回は、将来のDCS化に備えて、工場の運転担当者が監視業務に慣れることを目的に、パルパー設備にディスプレイによる監視システムを導入しました。 したがって現在のところ、パルパーの運転は従来どおり操作盤で行っており、監視装置はあくまでも補助的なものです。このため、できるだけ費用をかけずに監視システムを導入したかったという事情がありました。 [エム]機器構成はどのようになっていますか。 [伊東]操作盤ではPLCが使われていたため、MsysNet製品の“PLCインタフェース”(形式:SMDL)を使用して、PLCから監視に必要な信号を取り出しています。パルパーやチェストのレベル信号や各種の電流信号は“リモート入出力ユニット”(形式:SML)を使用してNestBus経由で取り込んでいます。また、PLCに取り込まれていない接点信号は“多点入出力ユニット”(形式:39M)に取り込んで、監視できるようにしました。今回は、温度調節のため1台だけ“DCSユニット”(形式:SMA)を使用しました(図1)。 今後に予定しているシステムの拡張とネットワークのスピードを考慮し、上位バスとしては、L-Bus(Ethernet準拠)を使いました。 [エム]システムを導入されていかがですか。 [里和]ロガー機能が大変役立っています。パルパー操作盤ではトレンドグラフといった機能がありません。また従来は、3交代勤務の交代時に、運転データを記録していただけでした。 今回のシステム導入により、パソコンの画面上で、簡単にトレンドグラフが見られるようになりました。また、その結果、トラブルが発生したときには、トラブル発生前後の動きがトレンドグラフから読みとれるようになりました。 さらに、毎時間ごとのデータを記録した日報が自動作成できるため、より詳細な運転管理ができるようになりました。 今回はパルパー設備の監視だけを行うようにしましたが、パルパー設備のほかに、紙を漉く抄紙設備や製品に仕上げる包装設備もあります。将来的には、これらの設備の監視も一緒にできるようにしたいですね。 [伊東]今回のMsysNetによる監視システムは、本格的なDCSに比べると約5分の1程度、DCSメーカーが提供しているパソコンDCSに比べても、半分くらいの費用でできたのではないかと思います。 [エム]お忙しいところ、お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。 ■ 本システムについての照会先: マイサーボ 株式会社 取締役 営業技術部長 伊東 秀樹 〒417-0061 静岡県富士市伝法1484-9 TEL.0545-51-9700 FAX.0545-55-0393 E-mail:myservo@thn.ne.jp *MsysNetは、エム・システム技研の登録商標です。
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