2002年1月号 | |||||||||||||
お客様訪問記
岡山市水道局鴨越浄水場の薬注設備に採用された
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(株)エム・システム技研 東京営業部 システム技術グループ | |||||||||||||
岡山市水道局には、浄水場が3箇所あります。三野浄水場と旭東浄水場は、市のほぼ中央を流れている旭川から取水しています。もう1つの鴨越浄水場は、岡山市東部を流れている吉井川から取水し、岡山市の東部、西大寺地区を中心に上水を供給しています。この鴨越浄水場で次亜塩素酸ナトリウム(以下「次亜塩」と略記)の注入コントロール用にMsysNetシステム製品の“ワンループコントローラ”(形式:ABE)が使用されています。今月は、岡山市水道局鴨越浄水場を訪ね、浄水係
主任 尾河 賢一 様と荒木 敬一朗 様にお話を伺いました。 [エム・システム技研、以下エムと略称] 『MS TODAY』1998年8月号の「お客様訪問記」に掲載したように、鴨越浄水場ではすでにエム・システム技研の“ワンループコントローラ”を凝集剤(PAC)の注入制御用としてご使用いただいています。それに続いて、次亜塩の注入制御用に、ABEをご採用いただきました。ご採用の経緯についてお教えください。 [尾河]以前は、水道水の殺菌剤として塩素そのものを使用していました。しかし、ご存じのように、塩素は常温では気体であるため、万一漏れ出すと大変です。このため、最近では一般に、常温で液体の次亜塩が使われています。鴨越浄水場でも、昨年(2000年)3月に、塩素から次亜塩に変更しました。これに伴い、殺菌剤注入設備を更新しました。 設備の更新にあたって、薬品注入用のコントローラとして何を使うか、何社かの製品を検討しました。その結果、コストパフォーマンスの良いエム・システム技研の製品を採用することにしました。 コントローラ単体で比較すると、ABEは入出力信号数が限られていて、この点では他社製品より劣ります。しかし、“リモート入出力ユニット”(形式:SML)を使用することによって、ネットワーク経由でABEに信号を取り込むことができます。今回の設備では、ネットワークを使用することによる信号の遅れは、とくに問題になりません。また、複数台の組合せで構成しても、同等の制御性能をもった他社製のコントローラに比べ、半分以下の費用で済みました。 [エム]システムの機器構成はどのようになっていますか。 [尾河]次亜塩の注入箇所は、前塩1箇所、中塩2箇所、後塩2箇所の5箇所あり、それぞれに注入ポンプがあります。そして予備のポンプが1台あるため、合計6台のABEを使用しています。そして、ABEだけでは処理しきれない信号用としてSMLを7台使用しています。また、中央監視室の指示計や記録計に信号を渡すため、別にSMLを1台使用しています。これらの機器は、上位バス(M-Bus)を経由して、既設のネットワークに接続されています(図1参照)。 [エム]ABEやSMLに設定するソフトについては、どのようにされましたか。 [荒木]私が設定を担当しました。前回の凝集剤注入制御のときに比べ、制御内容は複雑でした。 今回、薬品注入用として“1軸偏芯ポンプ”という特殊なポンプを採用しました。このポンプは、注入する薬品の体積とポンプの回転数が正比例するという容積型のポンプです。ABEの出力信号がサーボコントローラを経由してポンプを動かしています。今回のシステムでは、流量計からのフィードバック信号とサーボコントローラからのフィードバック信号の両方を比較していて、両者に偏差が発生した場合、注入ポンプの異常としてとらえるようにしました。 [尾河]殺菌用の塩素注入量は原水の状態によって変わります。また、次亜塩の濃度も季節などによって変わります。このため、条件が一番悪いとき、すなわち塩素注入量が一番多いとき、コントローラの制御出力が50%程度になるように設定しています。このため、通常時にはABEの制御出力が2~4%程度、夏場の多いときでも10%程度と、制御出力が非常に低いところで制御しています。このような条件でも、問題なく制御できています。 [エム]お忙しいところ、ありがとうございました。 ■ 本システムについての照会先: 岡山市水道局 鴨越浄水場 浄水係 主任 尾河 賢一 様 〒704-8102 岡山県岡山市久保728 TEL.086-942-2242 FAX.086-943-9146 *MsysNetは、エム・システム技研の登録商標です。
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