2002年3月号
お客様訪問記

上田市の上水道設備集中監視システムに採用されたテレメータ

(株)エム・システム技研 東京営業部 システム技術グループ
 
 長野県上田市は県庁所在地である長野市の南東に位置し、真田 昌幸、幸村の居城、上田城の城下町として栄えた歴史のある街です。
 上田市の上水道は大正12年に創設され、およそ80年にわたって水道水を供給し続けています。創設以来、現在までに6回にわたる拡張工事を行い、施設の整備を行ってきました。千曲川の支流の神川から取水した原水を、染屋浄水場と石舟浄水場の2箇所で浄水処理し、上田市内に配水しています。
 2000年3月に、上田市の約70%の地域に上水を配水している染屋浄水場の集中監視システムが更新されました。このとき、“ジャストフィットテレメータ”など、エム・システム技研製のテレメータ装置が採用され、稼働しています。
 今月は、上田市の染屋浄水場を訪ね、上田市上下水道局浄水管理センターの武田 賢一 主査、テレメータ装置を含めたシステム全体の工事を請負契約された石井電気工業(株)特機部の小池 正夫 部長、集中監視システムのエンジニアリング(ソフト構築)を行った(株)相生電子 制御システム課の上野 伸樹 課長補佐、大江 義朗 主任、淡嶋 良 様にお話を伺いました。
 [エム・システム技研、以下エムと略称]現在稼働しているテレメータ装置とパソコンを使用した集中監視システムを導入された経緯をお教えください。
 [武田]上田市の上水道施設は、石舟浄水場で浄水処理した水を配水している石舟水系と、染屋浄水場で浄水処理した水を配水している染屋水系の2つに大別されています。これら2つの水道系統には、水源、ポンプ場、配水池など約30の施設があり、それらが市内に散在しています。以前から、これらの施設における水位や流量、残塩といった各種計測信号、ポンプ運転などの状態信号、設備故障などの警報信号を、NTTの専用線を用いたテレメータ装置で染屋浄水場に集めて、集中監視していました。しかし、このテレメータ機器や集中監視装置が老朽化してきたため、ともにリプレースすることにしました。
 従来のテレメータ装置は重電メーカー製で、複数の子局に対し親局が順番にポーリングして行く1:n 方式でした。石舟水系と染屋水系の両方にテレメータ装置の親局を置き、それぞれの水系にある施設(子局)の信号を集めて、監視していました。
 テレメータ装置のリプレースにあたっては、各社の製品を検討しました。毎月送られてくる『MS TODAY』を読んでいたので、エム・システム技研製テレメータを使えば重電メーカー製テレメータを使用する場合に比べて、費用を大幅に抑えることができるのではないかと考えていました。また、今回、工事を担当いただいた石井電気工業の小池様からも、エム・システム技研製品について情報をいただいていました。さらに、上田市の隣にある東部町で、すでにエム・システム技研製テレメータ装置が使われていたので、その設備も見せていただきました。それらのことを考慮して、今回のテレメータ装置を決めました。
 [小池]エム・システム技研製のジャストフィットテレメータはプラグイン構造であり、アドレススイッチを合わせるだけで、複雑な設定は一切必要としないため、機器が故障したときなどに、交換が大変簡単です。また、テレメータ装置自体が安価であるため、監視対象としている約30箇所の子局の監視を1:1方式のテレメータ装置にしても、トータル費用を予算以内に抑えることが可能でした。
 [エム]集中監視システムの概要をお教えください。
 [武田]従来は、石舟水系と染屋水系それぞれに親局を置いたポーリング方式でしたが、今回のリプレースを機会に、市内に分散しているすべての施設の信号をNTTの専用回線を使った1:1方式のテレメータ装置で染屋浄水場に集め、集中監視する方式にしました(図1、2)。集中監視システムも、重電メーカーの専用システムではなく、パソコンを中心に構成することにしました。このため、集中監視システムの設備費用も抑えることができました。このパソコンを使用した集中監視とデータロガー、また日報・月報・年報の作成を行うソフトの構築(ソフトのエンジニアリング)は相生電子様にお願いしました。
 [上野]テレメータ装置で集めた各種信号は、染屋浄水場内や神科ポンプ場の信号とともにPLCに入力し、光ファイバケーブルで中央監視室に設置したパソコンに取り込んでいます。このパソコンは、Ethernet(LAN)で事務室や水質検査室にあるパソコンと接続されていています(図1)。それらのパソコンでも、中央監視室のパソコンと同じ監視画面(グラフィック画面、トレンド画面など)(図3)を見ることができます。さらに、NTTの公衆回線を使用して、上田市役所の上水道課内に設置したパソコンや自宅に持ち帰った在宅監視用パソコンでも、監視画面を見ることができます。
 これら、パソコンを使用した集中監視システム用ソフトウェアは相生電子が独自に開発し、AOS(Aioi Observation System)と名付けています。この監視用ソフトの採用は各地の浄水場や下水処理場、半導体工場などで使用実績がありました。このソフトはある程度パッケージ化されていますが、それにお客様の要求仕様を取り入れて、個別にアレンジすることができます。価格も重電メーカー製専用監視システムの場合に比べ、大幅なコストダウンが実現できます。
 [大江]浄水場様の要求によって作られたグラフィック画面では、染屋浄水場内の運転状態だけでなく、テレメータ装置で接続されている各子局の、日常管理に必要な各種情報を一目で把握できます。さらに、ポンプの運転状態(ON-OFF)信号と水位や流量などのアナログ信号を同じトレンド画面上で見ることができます。このトレンド画面は、ユーザー様ご自身の手で1つの画面上で見たい信号を任意に組み合わせて構成することができる、フリー構成方式となっています。また、業務報告用の日報、月報もフリーフォーマット化されています。
 この監視ソフトは、アナログ信号2000点、接点信号4000点まで対応しています。今回は、アナログ信号が200点、接点信号が500点程度でしたから、このソフトの能力からいえば、少ない方です。
 また、“iモード”を利用したメール発報(異常通報)機能、リアルタイム簡易監視など、インターネットを利用したシステムへと拡張することも可能です。
 [武田]今回のリプレースで、ITV(画像監視)システムも増設しました(図1)。従来からある染屋浄水場の原水を取り入れている新屋取入口の画像だけでなく、新たに染屋浄水場内や石舟浄水場内の様子、石舟浄水場の原水を取り入れている真田取入口の状態も、染屋浄水場内の中央監視室でリアルタイムに画像として見ることができます。
 [小池]テレメータ装置と集中監視システムのリプレースを行ったあと、石舟浄水場では次亜塩素酸ナトリウム注入の自動化工事を行いました。このとき、エム・システム技研製の“ワンループコントローラ”(形式:ABE)を2台と“入出力ユニット”(形式:SML)を6台使いました(図4)。
 [淡嶋]このワンループコントローラの目標値(SP値)は、テレメータ回線を経由して、染屋浄水場の中央監視室から設定することができます。また、石舟浄水場において各種計測信号を記録するため、エム・システム技研製のPCレコーダを使っています(図5)。記録点数が32点以下であるため、PCレコーダで十分でした。
 [エム]今回の集中監視システムのリプレースでエム・システム技研製テレメータ装置をご採用になって、いかがでしたか。
 [武田]考えていた以上に設備費を低減することができたと思っています。また、運転を始めて2年近くになりますが、とくに問題は発生していません。
 [エム]お忙しいところ、お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。 ■

本システムについての照会先:
 石井電気工業 株式会社 特機部 部長 小池 正夫
 〒386-0018  長野県上田市常田2-16-9
 TEL.0268-23-4596 FAX.0268-23-4597

 株式会社 相生電子
   制御システム課 課長補佐 上野 伸樹
 〒389-2302 長野県下高井郡木島平村大字往郷1027
 TEL.0269-82-3918 FAX.0269-82-4128
 E-mail:aioimaster@aioi-net.co.jp
 URL:http://www.aioi-net.co.jp/

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