2002年3月号 | |||||||||||||
テレメータ用PHSアクセスユニット
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(株)エム・システム技研 商品統括部 | |||||||||||||
PAUは、一般電話回線を使用するエム・システム技研製の各種テレメータ製品にも適用することができ、この組合せによってPHS無線テレメータシステムが実現します。エム・システム技研では、お客様がPHS無線テレメータシステムを容易にご構築いただけるように、PAUの販売を開始しました注1)。 本稿では、PAUを使用した無線テレメータシステムの事例およびPAUの特長、利用メリットなどについてご紹介します。
PAUは、以下に列挙するエム・システム技研のテレメータ製品と組み合わせて使用することができます。 ●NCU付きモデム(形式:MOC1) (MOC1を使用するMsysNetのテレメータ製品) ●てれまる(形式:TLO) ●てれとーく(形式:TLA) ●テレロガー(形式:TLX1) 以上の諸製品による無線テレメータシステムの構成事例を図1~3に示します。
なおPAUについては、一般の電話端末機器と同様、使用者(お客様)と通信事業者(PHSキャリア)の間で使用契約をご締結いただく必要があります。ただしPHSキャリアがDDIポケットの場合に限り、エム・システム技研が契約手続きの窓口業務を代行します。
●無線化による設置工事の簡便化:無線で通信できるため、電話回線の敷設が困難な場所にも設置できます。移設やレイアウトの変更にも柔軟に対応できます。屋外の路上設備や仮設の設備などとしても適しています。 ●ランニングコストの低減:PHSのテレメータリング向け低料金サービスを利用できるため、月額基本料金が大幅に安くなります。表2に、一般回線とPHSのランニングコスト/イニシャルコストの比較例を示します。 ●節税効果:PHSには電話債権(固定電話加入権)が付随しないため、現在一般電話回線を利用されているお客様がPAUにリプレースされた場合には債権の売却損が計上でき、節税効果が期待できます(現時点では1回線当たり約16,000円の節税注2))。 また、PAUを一般音声用PHS(いわゆるハンディフォン形のPHS)と比較した場合の優位点としては、次のことが挙げられます。 ●電源の安定供給:一般音声用PHSでは、電源を充電器を介して二次電池から供給するため、遠隔監視で数年間利用する場合などには、電池の劣化や端子の接触不良などの問題が生じる可能性がありますが、PAUの場合はAC100Vで直接給電できるため、このような心配はありません。 ●屋外設置も可能:PAU-203NはJIS3級の防雨構造であり、屋外(露天)にも設置可能です。また、エム・システム技研のテレータ機器からPAUへの接続ケーブルは、アナログ電話用の2線式であるため、100mないし500mまで延長できます。 ●みなし音声方式による通信:一般音声用PHSでデータ通信を行う場合には、PIAFS(PHS Internet Access Forum Standard)サービスを利用しなければなりません。PIAFSでは、NTTのアナログ一般回線との相互接続ができないため(ISDN回線の場合は、相互接続可能)、テレメータ機器の一方がアナログ一般回線を利用する場合には一般音声用PHSは使用できません。PAUの場合は、みなし音声通話方式による通信方式を採用しているため、NTTのアナログ一般回線との接続が可能です。 ●固定設置・遠隔監視に適したソフトウェア仕様:一般音声用PHSは、移動利用を想定したソフトウェア仕様になっています。したがって、電波の状況によってはハンドオーバー(アンテナ切替え)がしばしば起きます。テレメータのようなデータ通信においてハンドオーバーが起きると、その間に一瞬データが途絶して伝送エラーとなり、再伝送の必要が生じます。PAUの場合には、ハンドオーバーが極力起きない設計になっていて、一般音声用PHSに較べて安定した通信環境を提供できます注3)。 ところで、PAUと同じように無線テレメータシステムを実現する通信媒体として、NTT DoCoMoが提供するパケット通信方式のDoPaサービスが最近注目を集めています。 参考のために、PAUとのランニングコスト、イニシャルコストの比較を前出の表2に付記しました。表2における使用条件においては、PAUの方がコストパフォーマンスに優れているといえます。
注1)PAUの製造元:NECコミュニケーションネット(株) 注2)固定電話加入権(施設設置負担金)@72,000円 →無形固定資産(減価償却不可) 売却額(キャッシュ増加額) @32,000円 差 額(節税効果対象) @40,000円 節税額(税率40%で計算) @16,000円 注3)本製品は、基本的にPHS回線網の無線 通信を利用しているため、使用上次のような注意が必要です。 ・PHS回線が混雑している場合、回線の接続が困難になることがあります。周辺の 状況や、時間帯などによって混雑する地域が発生することがあります。 ・無線通信を行う特性上、コードレス電話や無線機、あるいは他のPAUなど、電波 やノイズを発生する機器が近くにあると、接続しにくくなります。 ・キャリアが、アンテナや設備のメンテナンスのためサービスを一時的に停止する場 合があります。 *てれまる、てれとーく、テレロガー、MsysNetはエム・システム技研の登録商標です。 |
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