2002年7月号
お客様訪問記

富士急ハイランドに採用された電力監視・ロガーシステム

(株)エム・システム技研 東京営業部 システム技術グループ
 
 日本を代表する富士山、その周辺には、富士五湖、青木ヶ原樹海、溶岩洞穴など、自然が創りあげた多くの名所、景勝地が点在しており、日本屈指の観光地となっています。富士急行グループは、これらの見所を効率よく、より快適に見ることができるよう、鉄道、バスといった交通機関を整備するとともに、ホテルやアミューズメント施設などレジャー事業も展開しています。これらの中に、富士急行が運営しているアミューズメントパーク“富士急ハイランド”があります。そのパーク内にある様々な施設に電力を供給している設備を監視する“電力監視・ロガーシステム”に、MsysNet製品が採用され、現在、稼働しています。
 今月は、富士急ハイランドを訪ね、(株)富士急ハイランド 取締役技術部長 小林 杉雄 様をはじめ、設計を担当された(株)青木電気設計事務所 技術部長 横田 満 様、工事の元請けをされた中立電気(株)工事部長 武田 清 様、高低圧配電盤を担当された(株)山形電機製作所 営業技術部次長 高梨 昇 様にお話を伺いました。
 [エム・システム技研、以下エムと略称]今回、MsysNet製品を採用いただいた“電力監視・ロガーシステム”をご導入になった経緯についてお教えください。
 [小林]富士急ハイランドには、世界一のジェットコースター“フジヤマ”をはじめ、30以上の遊技施設があり、毎年、多くのお客様に来場いただいています。昨年、新たに登場した“ドドンパ”(図1)は世界最速の172km/hを体験できるジェットコースターです。この“ドドンパ”の走路に、1961年富士急ハイランド誕生時に設置した総合変電所がありました。したがって、この総合変電所を移設する必要が生じ、これを機会に古くなった変電設備のリプレースを行うことになりました。さらに、“ドドンパ”など新たに建設される施設で必要な電力需要に対応するため、特高受電設備のトランス容量も大きくすることにし、特高受電設備のリプレースも同時に行うことになりました。
 これら電気設備のリプレースにあたって、将来のことも考えた基本設計をきちんと行う必要があり、電気設備の設計には定評のある青木電気設計事務所様に設計をお願いしました。
 [横田]今回は、特高受電設備と総合変電所だけでなく、既設の電力供給設備の半分ほどを一緒にリプレースすることになりました。工事をするたびに設計を行っていたのでは、無駄が出るだけでなく、全体の整合性に欠ける恐れがあります。そこで、将来予想されるリプレースも考慮して、基本的な方向性を含めて設計することにしました。
 従来の設備では、総合変電所内で分岐させ、そこからそれぞれの施設へ電力を供給するようになっていました。それに対し、今回の設計では分岐盤設備を2箇所に独立して設け、そこから各施設へ電力を供給するという構成にしました。このように、将来における施設の追加やリプレースに対し、柔軟に対応できることにポイントをおいた設計を行いました。
 さらに、富士急ハイランドに隣接したホテルにも電力を供給しているため、24時間体制で管理する必要があります。そこで、より効率よく電力管理ができるよう、集中監視システムの導入を検討しました。受電設備機器を製造している重電メーカーには、専用の電力監視システムがあります。しかし、それらのシステムは価格が高いうえ、設備を増設するときに柔軟に対応しにくいところがあります。その点、エム・システム技研の製品では、コストを抑えることができ、しかもシステムの拡張性、柔軟性もありましたので、採用をお薦めしました。
 [岡]電力監視・ロガーシステムの構成についてお教えください。
 [小林]電力会社から供給される電力は、特高変電所で受電します。そこで6,600Vに降圧した後、移設した総合変電所に送られます。そこから分岐盤1、分岐盤2、ドドンパ変電所、ラグーン変電所、既設施設の変電所などへ送られています。分岐盤からも、大型フードコートや既設施設の変電所へ送電されています。それぞれの変電所でさらに降圧し、各施設に電力を供給しています。
 これら電力供給設備では、使用電力や電力量などを計測しており、それら計測信号を中央監視室に集めて、集中監視するとともに、データのロギング、デマンドの監視などを行っています(図2)。また、隣接するホテル内にあるリゾート管理室でも監視ができるようにしました。ホテルは24時間営業しているため、夜間はリゾート管理室で電力供給設備の監視ができるようになり、園内にある中央監視室は無人化できました。
 今回の工事は、受電設備や変電設備の工事実績が豊富な中立電気様にお願いしました。
 [武田]以前から、富士急ハイランドの電力設備関連の工事を請け負ってきました。今回の工事では、特高変電設備機器(66,000Vメイントランス、遮断器、スイッチギアなど)を高岳製作所様に、総合変電所など高低圧配電盤を山形電機様に発注しました。すべての工事と集中監視システムを中立電気が施工しました。
 各変電所で発生する電力や電力量などの計測信号や各種警報信号は、いったんPLC(プログラマブルロジックコントローラ)に入力し、Ethernetに接続した“PLCインタフェース”(形式:70LE)(図4)を経由して、中央管理室とリゾート管理室にあるパソコンに送られます。これらのパソコンでは、エム・システム技研製“監視 操作ソフト”(形式:SFDN)を用いて、集中監視とデータロギング(図3)を、また“電力デマンド監視ソフト”(形式:SFDND)を用いてデマンド監視(図5)を行っています。
 富士山周辺では、雷雲が多く発生するため、雷による影響が心配でした。さらにこの辺りは、富士山の溶岩地帯であり、良好なアースを確保することが困難であるという問題もありました。そこで、各設備間を結ぶEthernetによる通信ラインには光ファイバを使い、できる限り雷による影響を受けにくいようにしました。
 [高梨]山形電機は、おもに高品質でコストパフォーマンスに優れたフルオーダーメイドの盤類を製作しています。今回は、総合変電所(図6)、分岐盤1、分岐盤2、ラグーン変電所、ドドンパ変電所、大型フードコートなど、6,600V以下の高低圧部分の盤製作を担当しました。電力と電力量、電圧、力率などの計測にはエム・システム技研製の電力変換器(形式:LWTN、LPE、LPFUN)を採用しました。
 また、今回のシステムでは、各変電所の現場盤からだけでなく、中央監視室からも制御信号を送って、遮断器を操作できるようにしました。このため、緊急時などに、より早く対処することが可能です。
 [エム]電力監視・ロガーシステムを導入されて、いかがでしたか?
 [小林]電力の監視や管理が、より効率良くできるようになりました。電力供給に支障がでると、運転中の遊技施設が動かなくなって、来場されたお客様にご迷惑をおかけするだけでなく、事故につながる可能性もあります。このため、電力設備の維持・管理は大変重要な仕事です。導入前は、定期的に各設備を廻って、設備のチェックと計測データの収集を行っていました。園内の設備をすべて廻るには60分程度かかります。それが、中央監視室でリアルタイムに監視できるようになりました。
 また、収集したデータは、リアルタイムでトレンドグラフとして見ることができますし、より詳細な帳票を作成できるようになりました。さらに、トレンドグラフを使って設備の状態を把握したり、また、日報、月報といった帳票データは、将来、施設を増設するときの検討用資料としても利用することができるようになりました。
 [エム]お忙しいところ、ありがとうございました。         ■

本システムについての照会先:
 株式会社 青木電気設計事務所 技術部長 横田 満
 〒170-0013  東京都豊島区東池袋2丁目45番7号
          エコービル
 TEL.03-3987-1991 FAX.03-3985-9612

 中立電気 株式会社 工事部長 武田 清
 〒160-0022  東京都新宿区新宿1丁目13番12号
 TEL.03-3356-2511 FAX.03-5362-3750
 E-mail:wy7r-wtnb@asahi-net.or.jp

 株式会社 山形電機製作所 営業技術部 次長 高梨 昇
 〒105-0003  東京都港区西新橋1-18-16(ワイムビル)
 TEL.03-3539-7151 FAX.03-3539-7155
 E-mail:takanashi@yamagatadenki.co.jp

 株式会社 山形電機製作所 本社 設計Gr 荒木 勝之
 〒990-2211 山形県山形市十文字1318-5
 TEL.023-686-4316 FAX.023-685-1011
 E-mail:ds@yamagatadenki.co.jp
 URL:http://www.yamagatadenki.co.jp

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