2002年7月号

計装豆知識

アイソレータの必要性

 
 アイソレータとは、計装関係では信号絶縁器を指し、入力信号と出力信号の間を直流的に絶縁する機能(数10MΩ以上/DC500V程度)をもったものです。また、最近の一般的なアイソレータは、入力信号と電源の間、および出力信号と電源の間も絶縁されているので、これを3方向(3ポート)絶縁機能と呼ぶこともあります。
 アイソレータは、計装システムの中で、① 信号の回り込み防止、② 機器の保護、③ ノイズの影響の低減、④ 異なるメーカー機器間での信号取り合い点の分界、などの目的で広く用いられています。ここでは、アイソレータの必要性(効果)について、上記 ①での事例をとり上げて説明します。なお、アイソレータの機能が信号変換器やリモートI/O機器に内蔵されている場合にも同等な効果があります。

回り込み防止対策(1)
 図1は、統一信号(DC4~20mA)入力をもつ2台の計器を直列接続して使用する例です。1つの信号源からの同じ信号を、2つの計器1、2に入力する場合に、しばしばこのような接続方式をとります。ここで、どちらか一方の計器で入力がフローティング(直流的に接地されていない状態)になっていれば問題はありません。しかし、もし2台ともマイナス端子側が接地されたとすると(入力信号の対地間電位を安定させる目的で、このような接続が行わることが多くあります)、図1中に示すような等価回路になり、接地を通じて電流の回り込みが起きます。その結果、下流側の計器2の入力がバイパスされた状態となり、計器2に信号が入力されなくなってしまいます。
 上記の現象は、信号源とどちらか一方の計器、もしくは両方の計器の間にアイソレータを挿入して信号を直流的に絶縁することにより回避できます(図2参照)。

回り込み防止対策(2)
 次の例は、信号源が2つあり、それらを多チャンネルの入力をもつ機器(たとえばPLCやパソコンの入力ボードなど)へ接続する場合です(図3参照)。No.1chの回路では前例と同じように別の計器Aが直列に接続されています。また、2つの信号源のマイナス端子側は接地され、同電位となっています。
 ここで、No.1chとNo.2chの入力回路がそれぞれ独立していて、マイナス側の端子がお互いに絶縁されていれば問題はありません。しかし、多チャンネルの入力をもつ機器の場合、各入力のマイナス端子が、すべて共通の電位(コモン)になるように破線のように内部接続されていることが少なくありません。その場合には、図3中に示す等価回路のようになって、電流の回り込みが起き、No.1chの回路に接続された計器Aへの信号がバイパスされてしまいます。
 上記の現象は、前例と同様にNo.1chかNo.2chのどちらか一方、もしくは双方の回路にアイソレータを挿入すれば回避できることが容易におわかりになるでしょう。本例のような多チャンネルの入力機器で、相互のチャンネル間を絶縁することを、チャンネル間アイソレーションと呼ぶことがあります。
 なお、エム・システム技研の多チャンネル入力のリモートI/OユニットR5シリーズには、チャンネル間アイソレーション機能が標準装備されています。 ■

【(株)エム・システム技研 商品統括部】
戻 る 進 む

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.