2002年12月号

PROFIBUSの導入への提案

「リモートI/OユニットR5シリーズを用いた、
フィールドネットワークシステムの構築」

(株)ノーケン システムグループ ゼネラルマネージャ  中川 雅造
 
1.ノーケンとフィールドバス
 ITのキーワードは、「デジタル化」「分散化」「ネットワーク化」です。そして、フィールドバスは、プロセス制御システムにおける最新のIT技術です。従来の、4~20mA信号を使っての制御に代表されるアナログ制御に代わり、すべてをデジタル化、ネットワーク化します。
 2000年に、フィールドバスの国際規格IEC61158として、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUSなど8規格が設定されました。
 ノーケンは、早くからプロセス制御におけるネットワーク化に注目し、FOUNDATION Fieldbusについては、1996年、世界の先頭を走るSmar社(ブラジル)と提携し、フィールドバス協会日本協議会の幹事にもなり、この技術の普及とシステム導入に向けて注力し始めました。FOUNDATION Fieldbusは、2001年には全世界で4000システムが実稼働しています。
 フィールドネットワークのもう一つの有力な技術であるPROFIBUSは、歴史も古く、2001年には、その導入・稼働数が60万システムに達しています。ノーケンは、2001年10月に、PROFIBUS技術を先導してきたSiemensAG(ドイツ)、シーメンスKK(日本)と提携し、日本プロフィバス協会の一員としても活動を進めています。 

2.プロフィバスとは
 PROFIBUSは世界で最も多く使用されているオープンなフィールドバスです。対応する製品については、250社を超える会社から2000機種以上のデバイスが販売されています。
 エム・システム技研も、早くからフィールドネットワーク機器の開発に取り組み、PROFIBUS対応のリモートI/Oユニット、R5シリーズの認証を得て、すでに販売されています(図1)。
 ●PROFIBUSの特徴
 ① 大容量データと高速通信
 PROFIBUS-DPでは、デバイス当たり最大244バイトのデータを最高12Mbpsのスピードで通信します。
 ② ハイブリッド通信方式
 通信プロトコルはマスタ・スレーブ方式で、データの衝突を防止しています。また、バス上に複数のマスタを置き、マスタがダウンした場合も通信を続行します。マスタ間での通信リクエストに衝突が生じないように、マスタ間でトークンのやりとりを行い、トークンをもったマスタだけが通信を管理するトークン・パッシング方式をとっています。すなわち、以上2つの方式を組み合わせたハイブリッド通信方式となっています。
 ③ システムの構築が容易
 機器毎に通信条件を定義するGSDファイルというテキストファイルが用意されています。このファイルをコンフィギュレーションソフトに追加するだけで、システムの構築ができます。また、実行しているPROFIBUS上に機器を追加または削除するときも、オンラインで行えます。
 ④ 拡張性ある最新技術
 PROFIDrive:回転機同期アプリケーション用プロファイル(カッター、パッキングマシン、搬送、印刷機、巻き取り/巻き出しなどの同期制御にまで拡張可能)
 PROFISafe:安全システムの構築(安全用のFailSafe機器間の通信プロトコルの上にレイヤーを置き、信頼性の高い通信を実現)
 PROFInet:コントロールレベルの通信の標準化(EthernetおよびIT標準を用い、機器とシステムはPROFInet Componentというオブジェクトとして定義され、入力・出力端子をもち、オブジェクト間の通信は、この端子をエンジニアリングツールにより結合させる)。 

3.プロフィバスのプロセスへの適用
 ①PROFIBUS-DP:最大12Mbpsの高速データ通信のもと、とくに食品、薬品などPAとFAが一体になった工場において、一つのフィールドバスで工場業務(検査、保管、出荷)を統括することができます。
 PROFIBUS-PA:従来のアナログ(4~20mA信号)伝送器に代わるフィールド計器のネットワーク。DP/PAリンカーに接続して、PROFIBUS-DPネットワークに統合されます。
 ②高速のドライブ同期制御
 PROFIDriveというプロファイルを用います。ドライブ(インバータ)のスタート、ストップ、緊急停止などのコマンドと運転中、停止中、アラーム、制御状態を示すビットが決められていて、多数のドライブを同期して運転制御できます。製紙、印刷、紡糸などの、高速のドライブ同期制御が不可欠な工場に多数適用されています。
 ③リモートI/Oを用いたシステム
 PROFIBUS-DPに接続するリモートI/Oユニットが、エム・システム技研をはじめ、シーメンス、MTL、ワゴジャパン、HMSから販売されています。フィールド計器は従来と同じメーカーの製品であっても、このリモートI/Oユニットを用いれば、PROFIBUSによるフィールドネットワークを容易に構築できます。欧米の工場でも、PROFIBUSシステムを構築するためリモートI/Oユニットが多数用いられています。フィールド計器の使用実績やメンテナンスの観点から、PROFIBUS-DP、PA計器に切り替えることなく、フィールドネットワークの構築ができるわけです。
 また日本では、1980年代から導入され、広くPAに定着使用されたDCSについて、メーカーの製造中止の影響を受けて、システムのメンテナンスや延命に苦慮している工場が多いのが実状です。新しいDCSへのリプレースは高価であるのに対し、ここに挙げたリモートI/Oユニットを用いれば、フィールド計器は現状のまま使用して、システムを比較的安価にリプレースし、しかもフィールドネットワークも構築できるのです。
 ④PROFIBUSのマスタ
 このフィールドネットワークのホストとなるPROFIBUSマスタとしては、シーメンスPLC(S7-300/400)、富士電機(MICREX-SXモジュール)、安川電機(CP-317)、ウッドヘッド(Interface Card)、アストロデザイン(PROFI Board)などの製品が販売されています。 

4.プロフィバス導入の提案
 ノーケンは、シーメンスとの提携の下、PROFIBUSの日本での導入における、またプラントメーカーが海外から受注したPROFIBUSジョブの受注におけるシステムインテグレータとして活動を進めています。とくに中国では、2001年にPROFIBUSが国家規格になって以降、システムのPROFIBUS仕様の指定が増加しています。このような状況をふまえ、シーメンスのPLC(S7-300/400)とエム・システム技研のリモートI/Oユニット R5シリーズを用いたPROFIBUS方式フィールドネットワークの導入推進のため、ノーケンはエム・システム技研と協業し、今後注力していきます。
(PROFIBUS製品の紹介は日本プロフィバス協会の2001製品カタログによる)    ■

本システムについての照会先:
 (株)ノーケン システムグループ
 ゼネラルマネージャ:中川 雅造 様
 TEL.03-3253-5891(代) FAX.03-3253-8329
 E-mail:m_nakagawa@nohken.co.jp

 関連するホームページ
 日本プロフィバス協会  http://www.profibus.jp
 PROFIBUS International http://www.profibus.com

 プロフィバス体験セミナー
 日本プロフィバス協会主催
 2002年12月12日(木)13:30~16:30
 2003年1月22日(水)13:30~16:30
 お問合せ・お申込みは http://www.profibus.jp

 (株)ノーケン プロフィバスセミナ
 2003年1月20日(月)13:30~
 2003年3月14日(金)13:30~
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  http://www.nohken.com/japan/fbhp/index_se.html
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