2003年1月号

ワンステップキャル方式
ユニバーサル変換器

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 エム・システム技研は、3個の押しボタンスイッチを使って簡単に設定変更や校正(キャリブレーション)が行える独自な方式を採用した「M3・UNITシリーズ」変換器を新たに開発し、この独自の方式を「ワンステップキャル方式」と呼ぶことにしました。
 M3・UNITシリーズはパソコンを必要とせずに設定変更や校正が可能な変換器ですが、他方、台数が多い場合などには、コンフィギュレータを使い、パソコンによって設定変更や校正を行うこともできます。今回、M3・UNITシリーズの第1弾として、ユニバーサル変換器(形式:M3LU)を発売開始しました。斬新なデザインと「ワンステップキャル方式」による、優れたユーザーフレンドリーな製品です。本稿では、ユニバーサル変換器(形式:M3LU)の特徴、製品概要、仕様などについてご紹介します。M3・UNITシリーズとしては、今後、ロードセル変換器(形式:M3LLC)やパルスアナログ変換器(形式:M3LPA)などの機種を次々とラインナップして行く予定です。

1.形 状
 図1にM3LUの外観と寸法を示します。前面に3つの表示ランプと3つの押しボタンスイッチがあり、この3つの押しボタンスイッチで、「ワンステップキャル方式」と名付けたキャリブレーションを行いますが、その詳細については、次節でご説明します。また、横幅が18mmと、多機能を備えた変換器とは思えないほどスリムでスタイリッシュなケースに収納されており、ケース正面の上下部斜面には、3ピン端子が上下2つずつ、全部で12ピンあり、各端子の高さにはずれをもたせて、現場での配線作業がスムーズに行えるよう設計されています。

2.ワンステップキャル方式
 ワンステップキャル方式とは、変換器前面の3つの押しボタンスイッチを使って簡単にしかも素早くキャリブレーションできるよう考案された、エム・システム技研独自の方式です。ユニバーサル変換器は、1台あれば必要なときに必要な機能に切り換えることができる便利な変換器です。変換器内蔵のディップスイッチを、ケース側面に貼付したスイッチ設定ラベルが示す手順に従って設定するだけでコンフィギュレーションでき、キャリブレーションもワンステップキャル方式を採用することで大変簡単に行えます(図2参照)。押しボタンスイッチを押すだけで、設定値が記憶されるため、これまでのようなゼロ・スパンボリュームを調整する必要がありません。また、入力だけ校正したいとか出力だけを校正したい場合は、MODEボタンを重複して押すことによって、操作が不要なモードをスキップすることができるため、わざわざすべての校正をやり直す必要がありません。また、入出力ともに100%値、0%値のどちらからでも校正可能になっているため、手順を気にせず校正を行えます。さらに前面の3つの押しボタンスイッチには、現場において、出力信号のゼロ・スパンを簡単に微調整する機能も具 備させてあります。

3.入力と出力の種類が変更可能
 M3LUは各種設定用ディップスイッチを内蔵しています(図3参照)。このディップスイッチを設定することによって、コンフィギュレーションモード、入力の種類、出力の種類、測温抵抗体や抵抗器入力の導線数、バーンアウト、冷接点補償の設定が可能です。コンフィギュレーションモードには、ディップスイッチモードとPC(パソコン)モードがあり、M3LU-R4/Aの場合は、PCモードを選択すると、後述のコンフィギュレータにより、ディップスイッチの設定なしでPCによるコンフィギュレーションが可能です。

4.自己診断機能
 M3LUには、ケース前面にそれぞれが3色に変化する3つの表示ランプがあり、これら表示ランプの点滅・点灯パターンにより、変換器の数多くの動作状態を表示させるようにしています。また、ディップスイッチの設定エラーやバーンアウト表示、出力飽和表示などの自己診断機能があり、異常動作時の判断やメンテナンス性の向上にも役立たせています。

5.パソコンによる設定も可能
 設定変更や校正はM3LU本体だけでも行えますが、M3LU-R4/Aの場合には、M3・UNITシリーズ用コンフィギュレータ接続キット(形式:M3CON)を利用すると、コンフィギュレーションもワンステップキャル方式のキャリブレーションもPC画面上で行えます。このコンフィギュレータはWindows上で動作し、校正作業はすべて簡単なボタン操作で行えます。バーグラフ表示やトレンドグラフ表示により簡単に変換器の状態をモニタすることも可能です。また、ユーザー指定のリニアライズカーブあるいは起電力や抵抗値が規格化されていない熱電対や測温抵抗体からの入力にも対応し、リニアライズの特性データや温度変換テーブルを、ユーザーのご希望に応じて定義することにより、M3LUを使用することが可能です。モニタ機能については、M3LU-R4/Bの場合にも使えるようになっています。
6.保守用、予備用として便利
 M3LUは、電流、電圧、熱電対、測温抵抗体、ポテンショメータ、抵抗器入力、以上6種類の入力仕様と直流電圧、直流電流の2種類の出力仕様を選択できる、機能が極めて豊富なユニバーサル変換器であり、必要なときに機能を切り換えて使用できるため、保守用、予備用としても便利かつ有効です。また、変換器の横幅が18mmと薄いため、スペース効率の向上も図れます。

お わ り に
 M3LUは、エム・システム技研独自のワンステップキャル方式を採用したユニバーサル変換器です。ユーザーが、必要に応じて機能を切り換えることができ、現場での設定変更・校正がこれまでになく簡単で、素早く行えるよう設計されています。M3LU本体だけでも、十分に能力を発揮しますが、コンフィギュレータを利用することにより、実際に目視しながら、さらに効率よく校正作業が行えます。M3LUは、M3・UNITシリーズの先駆けとして発売されました。M3LUに続く、各種のM3・UNITシリーズ変換器にもどうぞご期待ください。 ■

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