2003年3月号 | ||||||||
お客様訪問記
益子浄化センターに採用されたデータロガーシステム
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(株)エム・システム技研 東京支社インサイド営業部 システム技術担当 | ||||||||
益子町は、栃木県の南東部に位置し、“益子焼”で全国的にその名が知られています。“益子焼”は江戸時代末期から始まり、約150年の歴史をもちます。益子町は、大消費地である東京に近いことから、鉢や水瓶、土瓶などの日用品を焼いてきました。さらに、“益子焼”は人間国宝になった濱田
庄司 氏と島岡 達三 氏によって、芸術品としての側面をもつようにもなりました。現在、約380の窯元があり、毎年、春と秋の2回、“陶器市”が開催され、多くの人たちが訪れます。 この益子町の公共下水道終末処理施設である“益子浄化センター”に、MsysNetによるデータロガーシステムが採用されました。今月は、この“益子浄化センター”を訪ね、都市計画課課長 小森 一三 様、同課課長補佐兼下水道係長 飯野 幸男 様、主事 加藤 靖司 様、盤工事とシステム構築を担当された日本ヘルス工業(株)栃木南サービスセンター益子事業所班長 大塚 貴章 様にお話しを伺いました。 [エム・システム技研、以下エムと略称] データロガーを導入された経緯についてお教えください。 [小森] 益子町は行政区域が89.5km2、人口が約2万6千人です。平成2(1990)年から公共下水道の供用を始めました。益子町は“益子焼”などの観光資源が豊富で、多くの人たちが観光で訪れます。とくに、年2回開催される“陶器市”には、1日あたり町の人口を上回る3万人近くの観光客が訪れます。この“陶器市”のときには、臨時の仮設トイレを用意しています。また、天候によっても観光客の数が大きく変わります。このような観光地特有の事情で、浄化センターで処理する下水量も大きく変動します。 [飯野] 大きく変動する汚水をより効率的に処理するためには、日頃のデータの蓄積とその分析が重要です。従来は、処理場で必要なデータ計測を12点の打点式記録計で行っていました。その記録計が故障し、メーカーに修理を依頼したところ、機器が古く、現場では修理できないため、いったんメーカーの工場へ戻さなければならないということでした。そうすると、修理中、処理場の運転にかかわる計測データを得ることができなくなってしまいます。 新たに打点式記録計を購入することも検討しましたが、同じ費用をかけるのであれば、データを電子化できるパソコンによるデータロガーシステムを導入しようということになりました。 [大塚]日本ヘルス工業が“益子浄化センター”の維持管理を受託し、日常の運転管理を行っています。そこで、今回のデータロガーシステムの導入にあたっては、必要な機器やソフト費用など一式を日本ヘルス工業がいったん負担し、受託している維持管理費用の一環として、分割して町に請求することにしました。維持管理費用を抑えるため、コストパフォーマンスの良いデータロガーシステムを検討し、すでに日本ヘルス工業で採用した実績があったMsysNet製品によるシステムを導入し、昨年の6月から運用を始めました。 [小森] 今回は、導入にかかわる費用をいったん日本ヘルス工業が負担し、“益子浄化センター”はリース方式として維持管理費とともに分割して支払うため、町としても設備にかかわる予算を特別に計上することなく導入できるというメリットがありました。 [エム・システム技研、以下エムと略称] システムの構成はどのようになっていますか。 [大塚] 今回は運転中の打点式記録計を入れ換えることが目的だったため、運転管理に必要な最小限の信号を“リモート入出力ユニット”(形式:SML) 2台に入力し、管理室に置いたパソコンに信号を送って、トレンドグラフ画面、グラフィック画面、日報・月報画面などを作り込みました。また、パソコンにビデオキャプチャーボードを取り付け、テレビカメラの画像を見ることができるようにしました。 [エム・システム技研、以下エムと略称] 運用されてみていかがですか。 [加藤] 従来の打点式記録計では、毎年、用紙代として5、6万円かかっていましたし、その保存も大変でした。今回のロガーシステムの導入により、トレンドデータや帳票データが電子化され、CD-Rに焼き込んで保存できるようになり、大変楽になりました。また、ロガーシステムを導入し、警報が出たときに対応できるように、日本ヘルス工業が特許を保有している“汚水処理設備自動汚泥溢流防止システム”を導入して、土日の処理場管理を無人化できました。 [大塚] 打点式記録計では、計測値の瞬時値と1日の積算値しか記録できませんでした。今回のロガーシステムでは、1時間ごとの積算値がトレンドグラフ画面で確認できるようになり、よりきめ細かな維持管理を行えます。また、パソコン画面の変更も自分たちでできるため、維持管理に伴う変更を直ちにロガーシステムに反映できますし、その費用もほとんどかからず、大変助かっています。 [エム・システム技研、以下エムと略称] お忙しいところ、お話を聞かせていただき、ありがとうございました。 ■ 本システムについての照会先: 日本ヘルス工業 株式会社 統括営業本部 北関東設備グループ 副グループ長 篠崎 正一 様 係長 石山 成仁 様 〒321-4334 栃木県真岡市八木岡206-2 TEL.0285-83-2201 FAX.0285-80-0154 *MsysNetは、エム・システム技研の登録商標です。
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