2003年7月号

中 国 は 今

(株)エム・システム技研 顧問
 
 2003年春以降、中国はSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行で打撃を受けました。一時的な経済停滞も予想されますが、発展の基調は変わりないと思われます。
 エム・システム技研 海外営業部の市場開拓活動は順調で、その成果も数字に表れています。貴重な誌面をいただきましたので、中国の現状を紹介させていただきます。

一様ではない中国市場
 過去十数年、日本経済には明るい展望が見えないまま不況が続いています。反面、中国の北京や上海を中心とした沿岸部の発展には目を奪われるものがあります。とくに、この4~5年間の中国の変化は驚きです。ただ、中国全地域が同じ調子で順調に発展しているわけではありません。沿岸部が先行し、内陸部には発展の波が到達し始めたばかりです。発展した地域と遅れた地域の間、および個々の企業間で格差が広がり、また、個人間でも貧富の差が拡大しています。
 中国は、平均値や総論で見てはいけない市場だといわれています。個人所得や国全体の経済数値はまだまだ日本に及びません。企業、業種、地方、階層などを個別にあるいは層別に見れば、良いところ悪いところとまだら模様です。利益をあげて、設備投資に意欲的な企業もたくさんあります。優良な企業ほど外国製の設備や国内の一流品を使っています。私たちは、そのような企業への販路拡大に努めています。中国で定期的に開催される、日本のJEMIMA展、セミコン展のような専業展示会の規模や、訪れるお客の数からも旺盛な需要が想像できます。

皆で成長を目指す
 この4~5年間、一番変わったことは中国人のものの考え方です。お金を儲けて豊かになることは、今や誰にも遠慮をする必要がなくなりました。仕事で会う方々も、頻繁に“競争”とか“効率”を口にします。企業の経営層や管理層が確実に若返り、40歳前後の若手が企業を引っ張っているのも現在の特徴です。企業は、新しいシステムや管理技術の導入にも意欲的です。個人的には、中国の人は一生懸命働きます。向学心も旺盛です。高学歴は高収入につながることが分かり、日本以上の受験地獄が起きています。
 中国のWTO加盟は、さらに多くの外国資本とその技術を中国に呼び寄せるきっかけを作りました。政府も、2020年には所得を今の4倍にするという大きな目標を示しています。2008年の北京オリンピック開催、2010年の上海万国博覧会開催の成功を目指した投資も盛んです。日本の高度成長期と同じムードが国全体に溢れているようです。地方に延びる高速道路網の整備、あるいは南水北調 注1)や西気東輸 注2)に代表されるビッグプロジェクトも目白押しです。

未解決課題があっても前へ進む
 反面、中国固有の問題も未解決のまま山積みです。官民を問わず腐敗・汚職事件が後を絶ちません。外国企業にとって、やたらに“にせもの”や“類似品”が多く、新しい製品や技術がすぐにコピーされてしまうのは大きな問題です。知的財産所有権についての認識が欧米諸国とは大きく異なっています。
 世界経済が冷え込んでいる今、需要のあるところに企業は殺到します。その意味で、中国市場からは目が離せません。本年3月、上海で開催されたINTERKAMA展では、専門誌に“DCSからFCSの時代へ”と、中国のDCSメーカーがオープン型システムへの移行の流れをPRしていました。世界の同業者が集まり競合する中国市場で一定の地位を占めれば、エム・システム技研はさらに強くなれると思います。中国へ進出される日本企業から現地で注文をいただけるように、すでに主要都市には代理店を展開しています。今後もエム・システム技研 海外営業部の活躍にご期待ください。 ■


注1)長江(南)の水を黄河流域(北)に導く
注2)西部の天然ガスを東の沿岸部各地に運ぶ
 
 
 
 
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