2003年9月号 | ||||||||||
レベル の お 話
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松山技術コンサルタント事務所 所長 松 山 裕 | ||||||||||
今までに説明したレベル計以外に、レーザー式レベル計、放射線式レベル計および重量式レベル計があります。レベル計の説明は今回で終わり、来月はレベルスイッチについて説明します。
レーザー式レベル計の測定原理を図1によって説明します。半導体レーザーの発光素子から特定の周波数で強度変調した赤色レーザー光を出射します。このレーザー光は測定対象面に当たって乱反射して戻ってきますが、これをレンズを介して受光素子に加えます。出射した変調レーザー光と測定対象から戻ってきた変調レーザー光との位相差を検出することにより、光が送受信器と測定対象の間を往復した時間がわかります。そこで、これに光の速度を乗じかつ2で割ることにより、物体までの距離を求めることができます。 このレベル計は、光を反射する物体であれば液体でも粉粒体でも測定できます。ただし透明な物体(たとえば無色のガラスやきれいな水)は測定できません。測定範囲は0.5~30m、精度はフルスケールの0.5%または±20mmのいずれか大きい方です。 このレベル計の特徴は下記のとおりです。 (1)狭い場所に設置が可能 超音波式レベル計やマイクロ波式レベル計では、物体と送受信器との距離が大きくなるにつれビーム角が拡がり、障害物の影響を受けやすくなります。レーザー式レベル計では、10m先でもレーザー光の径が約10mmと細いので、障害物の影響を避けることができます。また測定対象面から帰ってくる反射光はごくわずかなので、多重反射の心配は事実上ありません。 (2)斜めからの測定が可能 測定対象物体によって乱反射した光を使用するので、出射光は測定対象面に垂直である必要はありません。そのため、前号で説明した安息角をもった粉粒体面の測定も容易です。 (3)ガラスを介しての測定が可能 ガラスの窓を介してプロセス雰囲気から隔離した測定が可能です。 (4)光の経路にある気体の影響を受けない 気体の種類・温度・湿度・圧力の変化は光速にほとんど影響しないので、補正は不要です。ただし粉塵や水滴が多量にあるときは、反射光を受光できないので測定できません。
しかし、使用にあたって法的な規制が多いため、どうしても使用したい場合以外には、従来使用されていませんでした。しかし最近は、微弱な密閉ガンマ線源(従来製品の1/1000程度の強度)を使用して、放射線使用の届出・許可が不要という製品が販売されている2)ので、この状況は今後変わる可能性があります。 放射線式レベル計には、タンクをはさんで左右に点状の線源を配置しオンオフ信号を得るタイプと、棒状の線源と点状の検出器、または点状の線源と棒状の検出器もしくは点状の検出器を使用して連続的な出力を得るタイプがあります。例を図2に示します。なお前記の微弱線源を使用する方式では、大型のタンクなどでは十分な感度が得られないことがあります。そのときは、攪拌機の軸の内に線源を仕込んだり、線源を仕込んだパイプをタンク内に挿入することで線源と検出器の距離を短くする方法も使用されています(図3)。
◆ 参考・引用文献 ◆ 1)漆畑 晋一(横河電機):レーザレベル計 LM400、計測技術、Vol. 28、No.10、p.26~28(2000) 2)宮下 拓(アースニクス):ガンマ線利用のレベル計およびレベルスイッチと応用、オートメーション、Vol. 46、No. 6、p. 38~42(2001) |
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