2003年11月号

HART通信対応
2線式ユニバーサル温度変換器(形式:B3HU)

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 エム・システム技研は、かねてより内蔵ディップスイッチによって入力センサタイプやレンジを設定できる薄形2線式変換器「B3・UNITシリーズ」をご提供して参りました。さらに今回は、HART通信によって、リモートコンフィギュレーションができる高精度2線式ユニバーサル変換器(形式:B3HU)を新規開発し、発売したので、ここにご紹介します。

1.形 状
 図1にB3HUの外観と寸法を示します。HART通信によって入出力設定を随時変更できるため、これまでのB3・UNITシリーズのような内蔵のディップスイッチやケース前面のボリュームは必要とせず、高機能変換器とは思えないほど外観はすっきりしています。また、横幅が18mmとスリムなケースに収納されており、ケース前面の上下両部斜面には、3ピン端子が上下2つずつ、全部で12ピンあり、各端子の高さにはずれをもたせて、現場での配線作業がスムーズに行えるように設計されています。

2.特 徴
 B3HUは、これまでのB3・UNITシリーズや2線式変換器シリーズと比較して、以下に挙げる特徴をもっています。
 (1)ユニバーサル入力
 熱電対、測温抵抗体、抵抗、ポテンショメータ、直流電圧と以上5種類の入力仕様を選択・設定可能です(詳細は、表1参照)。
 (2)高性能
 変換器本体は、周囲温度-40~+85℃の範囲で使用可能です。
 優れた冷接点補償特性:±0.5℃以下(-5~+55℃の範囲で)
 (3)PCコンフィギュレータソフトB3HUCON:HART通信機能
 B3HUは、付属のPCコンフィギュレータソフトB3HUCONを使うことにより、HARTモデム経由で下記のように様々なコンフィギュレーションが可能です。
 1)モニタリング
 HART通信状態やデバイスの状態を知ることができます(図2参照)。
 2)バーグラフ表示およびトレンド表示
 PV値(工業単位表示)、PV%値(設定レンジに対するPV値を%表示)、ターミナル温度値およびアナログ出力値(電流値)をバーグラフ表示します。各バーグラフに対応する“Graph”ボタンを押すと、トレンド表示画面に切り替わり、各変量の状態がグラフで簡単に確認できます(図3参照)。
 3)デバイス基本情報の設定
 入力仕様やワイヤリングの設定、入力レンジの上下限値の設定、PV値の単位、バーンアウト検出とバーンアウト時の出力値の変化方向、熱電対入力時の冷接点補償の有無などを設定できます。
 4)入力センサ校正
 ゼロ点校正では、校正点での誤差をオフセット値とし、スパン校正では、ゼロ校正点と結んだ直線の傾き(ゲイン)として校正します。校正動作は、熱電対入力、電圧入力の場合には、測定電圧に対して行われます。また測温抵抗入力の場合には、測温抵抗値に対して実行されるため、2線式測温抵抗体での線路抵抗による誤差や3線式での線路抵抗のアンバランスによる誤差は、ゼロ点校正で補正することができます。
 5)診断機能
 B3HUのリセットスタート(再起動)、自己診断およびその結果の表示が可能です。
 6)出力電流を固定出力にする
 入力信号に関わりなく、DC4mA、DC20mA、その他任意の電流を出力させることができます。
 7)出力電流の微調整
 現場に設置したとき、出力電流値が実測値と異なる場合には出力電流の微調整が可能です。
 8)ユーザー定義のTCおよびRTDをサポート
 B3HUに折れ点データを定義、登録しておくと、ユーザー定義の熱電対および測温抵抗体を使用できます。
 9)カスタムリニアライズカーブをサポート
 B3HUに折れ点データを定義、登録しておくと、ユーザー定義のカーブに基づくリニアライズ出力が可能です。
 10)バーストモードの設定
 バーストモードで設定できるデータには下記の3種類があります。
 PV値
 出力電流値およびPV%値
 PV値、端子温度、出力電流値
 11)ポーリングアドレスの設定
 多数のデバイスを同じ2線式信号線に接続していて、各デバイスの測定値のみが必要で、DC4~20mAの出力が必要ない場合は、出力電流を4mA固定とするマルチドロップモードがあります。デバイスに指定可能なポーリングアドレスは0~15で、0以外の値をセットすると、デバイスはマルチドロップモードになります。

3.主な仕様
 出力信号:DC4~20mA
 供給電圧:DC12~42V
 防爆対応:2004年春対応予定

お わ り に
 以上ご説明してきたB3HUはすでに受注を開始しています。なお、今後、本質安全防爆に対応した機種を追加する予定です。どうぞ、ご期待ください。 ■


注1)防爆に関する詳細は、本誌2000年3、4月号の「計装豆知識」をご参照ください。
注2)HART通信に関する詳細は、本誌1998年11、12月号の「計装豆知識」をご参照ください。

 
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