2003年11月号

レンジ可変形
直流入力変換器(形式:W5FV)

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 エム・システム技研では、お客様の要望にお応えし、様々なタイプの変換器を今日までご提供して参りました。容易なメンテナンスを可能にするプラグイン構造の変換器から始まり、最近では、奥行きが取れない場合でも容易に設置できる超小形端子台形のM5・UNITシリーズに至るまで、数々の便利な変換器をご提供させていただいています。
 これらに加え今回は、かねてよりお客様のご要望が多かった2出力、AC電源対応であるとともに、M5・UNITシリーズと同じ端子台形であるW5・UNITシリーズの製品開発に取り組んでいます。
 ここでは、W5・UNITシリーズの特徴ならびに仕様の概要について、さらにシリーズを代表してレンジ可変形 直流入力変換器(形式:W5FV)についてご紹介します。

1.W5・UNITシリーズ共通の特徴
 (1)奥行きが取れない場合に最適の形状
 図1にW5・UNITシリーズの外観と寸法を示します。ご覧のとおり、機側盤など奥行きが取れない場合に最適な、奥行き41mmの小形端子台構造の筐体を採用しました。端子台構造であるため配線が容易です。さらに、DINレールにワンタッチで取り付け、取り外しができるため、分電盤の中でブレーカーや電磁接触器と一緒に配列することが可能です。
 (2)AC/DC両方の電源仕様を用意
 シリーズすべての機種において、AC/DC両方の電源仕様を用意しました。AC電源仕様の場合、電源範囲がAC85~264Vと広く、世界各国の電源仕様に十分対応することが可能です。
 一方、DC電源仕様の場合、電力設備、鉄道や通信設備、化学プラントなどで需要が多いDC110V電源用も用意しました。
 さらに、DC12V電源ならびにDC24V電源が混在している場合でも、切り換え操作することなく対応できるDC11~27V電源用も用意しています。
 (3)2ch出力を装備
 シリーズすべてに、2出力形を用意しました。さらに、隣接して1出力形の変換器を併設したいというお客様のために、第2出力回路を省略した1出力形も用意しています。
 (4)安心の4ポート絶縁
 電力業界や受配電設備などでは、変換器の電源と入出力の間、また入力・出力間の耐電圧としてAC2000Vがしばしば要求されます。このような要求にお応えするため、本シリーズでは電源と入出力間、および入力・出力間において耐電圧AC2000Vを実現しました。
 (5)長寿命を約束する省電力設計
 一般に、自己発熱によって変換器の寿命や信頼性は劣化します。本シリーズでは、消費電力を極力下げた省電力設計になるよう工夫をこらしました。このため長寿命、高信頼性が確保されています。
 (6)CE電磁適合指令に対応
 CE電磁適合指令(89/336/EEC)に適合しています(ただし、電源仕様により一部不適合品があります。詳細は仕様書をご参照ください)。CE指令適合は、電磁波障害と安全性に関する厳しい欧州の規格への適合を示しています。これに適合していない変換器を使うと、変換器を海外で運転する設備に組込む場合、当該地域の法律によって罰せられる場合が考えられます。
 (7)多彩なラインナップ
 表1に示すように、変換器としての主な用途をカバーするラインナップを揃えました。また、これらを拡充する機種の開発も現在進行中です。したがって、お客様が遭遇される様々な場面において対応できると考えます。

2.W5FV
 次に、これらW5・UNITシリーズの代表としてW5FV(レンジ可変形直流入力変換器)をご紹介しましょう。W5FVは、ディップスイッチによって容易に入力レンジおよび第1出力のレンジ設定ができます。さらにお客様ご指定のレンジをもつ第2出力も実現できる2出力形 直流入力変換器です。図2にW5FVの前面パネル図を示します。
 ご覧のように、前面パネルの下部に第1出力信号ならびに第2出力信号のスパンおよびゼロ調整VRがそれぞれ配置されています。さらに、その上部には8Bitのディップスイッチ2つが配置されています。この機種では2つのディップスイッチを操作することによって入力および第1出力のレンジを設定する操作方法を採用しました。これら設定レンジの組合せの種類はなんと77種にも及びます。しかし、このようなレンジ設定の組合せの多さも、実際にお客様がご使用になるレンジの設定ができないと有効ではありません。では、どのようなレンジを採用しておけばお客様が遭遇される様々な場面に応じられるのでしょうか?
 そこでいろいろと検討した結果、この問題に対する答えを次に挙げる手段で見いだしました。すなわち、多数のフィールド実績をもつエム・システム技研の代表的変換器であるみにまるシリーズの直流入力変換器(形式:M2VS)について、過去の出荷実績をこの目的のために分析したのです。このデータを基に決定したW5FVの標準入出力レンジを表2に示します。
 これを見ればお分かりのように、77種類の組合せ(入力11種類、第1出力7種類)の設定範囲により、入力レンジのカバー率は80%、第1出力レンジのカバー率は94%を達成することができます。
 したがって、すでに様々なレンジの直流入力変換器をご使用のお客様においても、十分に対応できるだけの入出力レンジを含んでいると判断しています。
 なお、第2出力のレンジ設定は第1出力とは異なり、ディップスイッチによるのではなく、お客様のご指定に基づく出荷時設定で固定出力となります。したがって、その分、幅広いレンジ設定が可能です。ここでは誌面の都合上、具体的なレンジの種類については割愛しますが、第1出力より多い15種類の標準選択コードの中から指定することが可能です。その上、標準選択コードにないレンジであっても、ご希望のレンジが製作可能です(詳細については仕様書にてご確認ください)。
 新設の機器において、急な仕様変更が発生した場合でも、慌てることはありません。簡単にディップスイッチを切り換えるだけで、一般に使われるレンジにはほとんどすべて対応可能です。この特徴は、予備品としての用途においても最適といえるでしょう。
 もちろん、前述したシリーズ共通の特徴はすべて満たしています。

お わ り に
 W5・UNITシリーズは、奥行きが取れない場所にも容易に設置でき、また様々な用途に対応できる変換器の実現を目指して開発しました。その特徴と仕様を十分ご理解いただき、ぜひ検討対象にお加えください。
 今後も、多くのお客様の声を反映させていただくことによって、より良い製品の実現を目指して行きたいと考えています。忌憚のないご意見、ご希望をエム・システム技研ホットラインまでお寄せいただければ幸いです。今後ともよろしくご支援のほどお願いします。 ■

みにまるは、エム・システム技研の登録商標です。

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