2003年12月号

計装豆知識

NEMA規格の電気機器用容器

 
 電気機器容器の防塵・防水性能を表示するのに、IPコード注1)と並んでNEMAの保護等級がよく用いられます。今月は、これについて説明します。
 NEMAの保護等級とは、具体的にはNEMA(National Electrical Manufacturers Association: 米国)が制定した規格の一つ、NEMA 250「Enclosure for Electrical Equipment (1000V Maximum)」注2)(以下「NEMA規格」と略記)で規定されている容器の形式を指し、Type番号で表されます。一般的には、たとえばNEMA 4あるいはNEMA Type 4などと表示されることが多いようです。
 NEMA規格では、非防爆用としてType 1、2、3、3R、3S、4、4X、5、6、6P、 12、12K、13の13種類、防爆用としてType 7~10の4種類の容器が規定されています。なお、番号の大小と防塵・防水性能の優劣は無関係です。
 非防爆用容器のうち、屋内用とされているのはType 1、2、5、12、12Kおよび13です。またType 3、3R、3S、4、4X、6および6Pは、屋内外両用です。
 紙幅の関係で詳細は割愛しますが、各非防爆用容器の保護対象を表1に示します。IPコードでは保護の対象になっていない、積雪や氷結に対する保護なども規定されており、屋外用容器の試験方法としては、より実際的であるといえるでしょう。なお、12と12Kの相違点は、ノックアウト穴注3)の有無で、ノックアウト穴がある場合は12Kを適用します。
 表1の最下行に、参考となるIPコードを記載しています。これは、NEMA規格の補足に記載されている内容を転記したものです。ただし、NEMA規格では、みぞれ、雪、氷結および腐食のようにIPコードでは規定されていない項目も保護の対象となっている場合があります。したがって、NEMA規格のType番号は対応するIPコードの内容をすべて含んでいますが、逆は無理です。たとえば、NEMA 4の試験に合格すると「IP56相当」といえますが、IP56の試験に合格しただけでは「NEMA 4相当」とはいえません。
 防爆用の場合は、Type 7が耐圧防爆、Type 8が油入防爆を示し、いずれも、ClassⅠ、Division 1、Groups A、B、CおよびDが対象です。Type 9は、粉塵防爆を示し、ClassⅡおよびⅢ、Division 1、Groups E、FおよびGが対象です。しかし、いずれの場合も、対象となるガスや粉塵がすべて適用可能というわけではなく、それぞれの機器の実力に応じて、ガスや粉塵の種類が制限されます注4)。
 Type 10は鉱山防爆用です。Mine Safety and Health Administration(鉱山安全健康局)、30 CFR Part 18 (Electric Motor Driven Mine Equipment and Accessories) に定義された防爆構造です。
 防爆用の等級だけでは、基本的に屋内用ですが、他の容器等級、たとえばType 4やType 6と組み合わせることによって屋外での使用が可能になります。■


注1)IPコードについては、本誌2003年7月号の「計装豆知識」 参照。
注2)NEMA 250の類似規格として、UL50やCAN/CSA22.2 No. 94-M91があります。これらの規格は、NEMA規格と同じType番号を用いています。しかし、NEMAのType番号をすべて揃えているわけではありません。
注3)配線などを目的とする穴を板金加工などで打ち抜く際に、完全には打ち抜かずに周囲の一部を残しておき、使用するときに必要な箇所だけを押し開くことができる穴。
注4) 防爆記号については本誌2000年3月号および4月号の「計装豆知識」参照。

【(株)エム・システム技研 開発部】

 
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