2004年2月号 | ||||||||
計装豆知識◆◆ 変換器の仕様書の読み方について (2) ◆◆
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前回は、信号変換器の精度に関して、エム・システム技研が一般の変換器に使用している、「基準精度」の語について説明しました。今回は、同じく変換器のうちJIS
C 1111(AC-DCトランスデューサ)の適用対象製品である、電力トランスデューサに使用している「許容差」の語について説明します。
なお、JIS C 1111に準拠するならば、電力トランスデューサについては、個別機器の「精度」を表現する場合、上述の用語「許容差」ではなく、当該JISの「2.4(7)」で規定されている「階級」注2)を、具体的には「0.x級」の表現を使用すべきかと思われますが、変換器の総合メーカーであるエム・システム技研としては、前回ご説明した一般の変換器に関して使用する精度表示法、「±0.x%」との統一を考えて、「階級」による表現は採用していません。
「6.3(4) 温度の影響は、定格出力値に相当する入力を加え、23℃における出力値と周囲温度23±10℃のときの出力値との差によって試験する。(以下略) 4.2.4 トランスデューサの温度の影響は、6.3(4) によって試験したとき、出力変化の基底値注5)に対する百分率が、階級ごとに、その階級指数の100%を超えてはならない。」 すなわち、「階級」による性能表示では、多くの影響量について、それぞれの階級にリンクした影響内に収まっていることが要求されていますが、前述の「許容差」による精度表示法をとるエム・システム技研方式でも、それらの影響量が基準値から外れたときの影響を含めたものを「許容差 ±0.x%」として表示しています。
例.電力トランスデューサ(形式:LTWT) 許容差(温度、周波数の影響を含む):0.5% ・温度の影響:23±10℃ ・周波数の影響:45~65Hz この場合の「許容差 0.5%」という表示は、温度や周波数(影響量)が標準試験状態の基準値から表示の範囲内で変わったときでも±0.5%の影響内に収まることが含まれており、したがって、階級による性能表示法の「0.5級」と実質的に同一のことを表しているわけです。■ 注1)標準試験状態 : 6.1(1)に規定されている各種の環境条件。 たとえば、周囲温度:23±2℃、相対湿度:45~70%、外部磁界:地磁界など。 注 2)階級:トランスデューサの許容差および影響の限度によっ て分類したもの(JIS C 1111、2.4(7))。 注 3)影響量:測定を目的とする量以外で、測定結果に影響を 与える量(JIS C 1111、2.4(5))。 注 4)影響:一つの影響量を基準値から変えたときに、トラン スデューサに生じる出力変化(JIS C 1111、2.4(6))。 注5)基底値:百分率誤差を規定するための基準の値で、とくに 指定がなければ、スパンとする。(以下略)(JIS C 1111、2.4(2)) 【(株)エム・システム技研 開発部】
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