2004年5月号 | |||||||||
計装豆知識◆◆ 変換器の仕様書の読み方について (5) ◆◆
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今回は、信号変換器の入力信号あるいは出力信号の範囲に関する「ゼロ」、「スパン」とその調整機能について説明します。
信号レンジの下限値はゼロ点とも呼びます。また、スパンとはレンジの上限値と下限値の差を意味します 注2)。
あるいは、現場のセンサと計器室の受信計器(指示計など)の間に変換器を取り付け、変換器のゼロおよびスパンを調整することによって現場のセンサの測定値と受信計器の指示値の差を最小に調整することができます。
ゼロ調整は入出力特性曲線に平行移動的変化を起こし、スパン調整は入出力特性曲線に勾配の変化を起こします(図1参照)。 (2)ゼロ・スパン調整機能の適用 変換器の種類に対応してゼロ・スパン調整機能を入力信号に適用する変換器と、出力信号に適用する変換器があります。 直流入力変換器(形式:SV)を代表とする、エム・システム技研のほとんどの変換器は、出力信号にゼロ・スパン調整機能を適用しています。出力回路にゼロ・スパン調整機能を適用すると、入力用のセンサの種類やレンジが違っても、ゼロ・スパン調整を操作する感覚を揃えることができます。 他方、ポテンショメータ変換器(形式:PMS)やロードセル変換器(形式:LCS)のように、入力信号にゼロ・スパン調整機能を適用する変換器もあります。ポテンショメータ変換器でゼロ・スパン調整機能を入力回路に適用する背景は、設備ごとにセンサ(ポテンショメータ)の取り付け位置(角度)や設備の可動範囲が違うため、とくに広い調整範囲を要求されることにあります。このため、入力回路にゼロ調整機能を適用することで、ゼロ調整とスパン調整の干渉を最小限に抑える方式を採用しています。
●直流入力変換器(形式:SV)の例 ゼロ調整範囲:-5~5% スパン調整範囲:95~105% (ゼロ調整を操作することで、出力信号を±5%変化させられ ます) ●ポテンショメータ変換器(形式:PM/PMS)の例: ゼロ調整範囲:全抵抗値の0~50% スパン調整範囲:全抵抗値の50~100% (入力ポテンショメータの機械的なゼロ点位置が電気的信号の 0~50%の範囲内であればゼロ調整を操作することで、出力 信号を0%に調整することができます)■ 注1、注2)JIS B 0155 参照。 【(株)エム・システム技研 開発部】
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