2004年8月号 | ||||||||
計装豆知識◆◆ 変換器の仕様書の読み方について (8) ◆◆
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今回は、仕様書の読み方というテーマからは少し外れますが、前回(本誌2004年7月号掲載)の続編として、2線式伝送器とエム・システム技研のディストリビュータを適切に組み合わせるための注意点についてご説明します。
次に、ディストリビュータの電流信号ループの電流が使用範囲内で最大の20mAであるときの「2線式伝送器用電源の電圧」を確認します。これはループ電流が20mAのときの図1における電圧Vを指しますが、ここでは前回説明したディストリビュータ(形式:M5DY)の仕様に基づいてDC18Vとします。これにより、電流信号ループ内に追加接続可能な許容負荷Rを求める式は次のようになります。 R =(V-V min )/I Loop R :許容負荷[Ω] V :2線式伝送器用電源の電圧[V] V min :2線式伝送器の所要最小駆動電圧[V] I Loop :電流信号ループに流れる電流[mA] この式に前述の具体的な数値を代入すると、 R = (18[V]-12[V])/20[mA]= 300[Ω] すなわち、「R:許容負荷」の値は300Ωとなります。 実際には図1で示すように、許容負荷Rは配線抵抗 r 0と接続可能な負荷抵抗 r 1の和であり、R から配線抵抗 r 0を差し引いた値が直列接続可能な負荷 r 1の値となります。 たとえば、配線抵抗を仮に5Ωとすると、算出した許容負荷抵抗300Ωから5Ωを差し引いた値、295Ωが実際に接続できる負荷抵抗 r 1の最大の値となります。したがって、挿入したい受信計器の入力抵抗(受信抵抗)が250Ωであれば、1台だけ電流信号ループに挿入することが可能です。
たとえば、仕様書に2線式伝送器用電源の電圧範囲が「24~28V(無負荷時)」と表記されており、内部の受信抵抗が250Ωだとすると、24Vから、20[mA]・250[Ω] = 5[V ] の電圧降下を差し引いた19Vを、先ほどの20mA出力時の「V :2線式伝送器用電源の電圧」として扱います。 以上、2回にわたってディストリビュータにおける仕様書の記載内容や注意点についてご説明しました。■ 【(株)エム・システム技研 開発部】
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