2004年8月号 | ||||
PID制御のお話 第5回の補足説明
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ワイド制御技術研究所 所長 広 井 和 男 | ||||
連載 PID制御のお話「第5回 オフセットが発生するメカニズム」(本誌2004年6月号掲載)の内容について、読者から一部説明が解りにくいとのご指摘がありましたので、補足説明させていただきます。 ご参考にしていただければ幸いです。
【補足説明】 図1に、原料流量(負荷)は一定状態で目標値を上昇させた場合に、オフセットが発生するメカニズムを示します。 図において、今、A点、つまり目標値Ts 1、負荷(原料流量)L、バイアスがbAで、偏差がゼロのバランス状態にあるとします。この状態から、負荷は一定で目標値をTs 2に上昇させた場合に、オフセットがどのように発生するかを追ってみます。制御量が新しい目標値Ts 2になるためには、操作信号MV は目標値Ts 2と負荷特性曲線Lとの交点Fに相当する大きさのバイアスb Fをとる必要があります。しかし、実際には、(1)式に示すP制御特性直線(b)で制御されるため、目標値がTs 2になった瞬間からG点を通るP制御特性直線(b)で制御されます。 MV=KP×(Ts 2-T )+bA … (1) この操作信号MV を受けて、加熱炉出口温度はA点から上昇を始め、負荷特性曲線LとP制御特性直線(b)との交点Hで安定することになります。つまり、加熱炉出口温度はTHで安定し、オフセットの大きさは(Ts 2-TH)になります。
【補足説明】 (2)現在出ているオフセットを所定目標値の反対側に移動するには、温度の応答を見ながらバイアスの大きさをゆっくり調整して、オフセットが反対側に移動したことを確認すれば、完了です。■ |
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