（株）パイオラックス社内の「セコム情報金庫」に
採用されたTL2WとTLO

　（株）パイオラックスは、自動車業界向け精密金属バネ、工業用プラスチック、ファスナーのメーカーとして、高い技術で国内トップクラスのシェアを確保されています。今月は、横浜市保土ヶ谷区にある同社のテクニカルセンターを訪ね、基幹システムを収容した災害対策用「セコム情報金庫」に採用されたWebロガー（形式：TL2W）と小形信号監視ロボットてれまる（形式：TLO）によって構成された監視・警報システムについて、同社BPR推進室長 山本 修一 様、係長 小島 一俊 様、およびシステム設計・構築を担当されたセコムトラストネット（株）及川 正稔 様にお話を伺いました。
　［エム・システム技研、以下エムと略称］システムの導入経緯をお教えください。
　［山本］まず「セコム情報金庫」を導入した経緯からお話しします。近々発生が予想される東南海地震など災害についての対策が急務になっているため、自動車メーカーからも主要部品メーカーに対して、情報システムの災害対策について強い指導が実施されるようになりました。そこで社内運用を前提に、サーバルームの建設と「セコム情報金庫」の導入について、災害対策の対応状況と性能に対するコストを比較した結果、後者の採用を決定しました。
　［小島］「セコム情報金庫」内のサーバは重要設備なので、空調停止はもちろん、情報金庫内の温度や機器などについての異常検出機能、またそれらのログ記録が必要です。さらに情報金庫からの退出時には、ガス消火装置のスイッチ切替えを行い自動消火状態にしなければならないため、この切替え忘れ防止の機能も必要でした。これらを、TL2WとTLOおよびPLC（プログラマブルコントローラ）を組み合わせたシステムで実現していただきました。なお、従来はサーバ異常の通報をオペレーションセンター経由で人間が介在して行っていましたが、これでは必ず遅れ（約30分）が出てしまい、問題への対処が遅れてしまいます。これを解決するために、通報を無人化・自動化する必要がありました。この件について、システム導入の数か月後に及川さんに相談したところ、本システムを活用して安価に実現していただくことができました。
　［エム］システムの概要をお教えください。
　［及川］入力信号は、測定温度・火災検知・ガス消火装置の切替え状態・機器異常・サーバ異常など各種の信号です。TL2Wでは、異常を検知するとEメール通報と同時にリモートI／O（形式：R1M-D1）からON信号を出力します。とくに夜間などはEメールだけではすぐに気が付かないため、この信号をTLOに取り込んで音声発報を行い、装置の異常発生時に迅速な対応ができるようにしています。温度データなどは1分ごとにトレンドログとして保存される一方、管理データ（日報・月報）が自動生成されるため、管理の省力化も実現しています。なお、TL2Wでは不感幅・不感時間などの設定ができるため、細部設定の自由度があります。
　また、追加して依頼を受けたサーバ異常の検知については、ポケベル通報のためのモデム出力が抵抗値変化だったため、ユニバーサル変換器（形式：M3LU）で電圧変化に変換してTL2Wへ入力しています（図1参照）。
　［エム］本システムを導入されて、いかがでしたか。
　［小島］警告も含めた各種の情報が確実に届くだけでなく、ログがとれるので異常状態に至る経緯がわかり、要因解析ができるようになりました。また、査察時の資料として日報・月報などをCSVファイルで保存することもできます。図1に示す機器がすべて一筐体（図4に示す遠隔監視盤）にコンパクトに収納されていて、機能面での問題もありません。
　［エム］今後の課題は何かありますか。
　［小島］TL2Wの機能を使い、音声通報の通報先を時間帯や休日・平日などで変更できるようにしたいと考えています。2重化なども課題と言えます。
　［山本］導入したシステムが社内外で好評なため、現在対象外の2階サーバルームの監視にも活用できないか検討するところです。
　［エム］お忙しいところ、ありがとうございました。■

本システムについての照会先：
　セコムトラストネット（株）
「情報金庫」営業推進部
　及川 正稔 様
　〒150-0001
　東京都渋谷区神宮前1-5-1 セコム本社ビル
　TEL．03-5775-8666
　FAX．03-5775-8918

（株）エム・システム技研　東京支社
　インサイド営業部
　TEL．03-5783-0511
　FAX．03-5783-0757

＊てれまるは、エム・システム技研の登録商標です。