2004年11月号

PROFIBUS-PA通信対応
2線式ユニバーサル温度変換器(形式:B3PU)

(株)エム・システム技研 開発部 
は じ め に
 ここ十数年間におけるデジタル技術およびフィールドバス技術の発展にともない、駆動電源ラインと出力信号ラインを共用した2線式変換器は、単なるアナログ信号(DC4~20mA)発信器から従来のアナログ信号の上にデジタル信号を重畳させる発信器(たとえばHART通信)を経て、完全なデジタル信号発信器(たとえばPROFIBUS-PAなど)へと進化してきました。
 PROFIBUSは、FA(ファクトリーオートメーション)とPA(プロセスオートメーション)をカバーする唯一のフィールドバスといえます。なおPROFIBUSには、FA用のフィールドバスであるPROFIBUS-DPとPA用のフィールドバスであるPROFIBUS-PAがあります。これら2つのフィールドバス間の通信は、DP/PAカプラ/リンカというインタフェースにより実現されます(図2参照)。
 国際規格IEC61158に準拠したPROFIBUS-PAの主な特徴は、以下のとおりです。
 (1)同期データ伝送(IEC61158-2に準拠します)
  伝送方式:MBP(Manchester- coded Bus Powered)
  伝送速度:31.25kbit/s
 (2)通信プロトコル
  PROFIBUS DP-V1
 (3)デバイス・プロファイル
  ●PROFIBUS-PA Profile (現在Ver. 3.0)
 (4)本質安全防爆への対応
  IEC61158-2に準拠した物理層は、本質安全防爆に対応することが可能です。
 エム・システム技研は、すでにHART通信対応の機種を含む薄形2線式変換器「B3・UNITシリーズ」(本誌2003年4月号参照)をご提供して参りました。今回は、このシリーズに含まれる機種としてPROFIBUS-PA通信対応の高精度 2線式ユニバーサル温度変換器(形式:B3PU)を新規に開発しました。
 本稿では、B3PUの特徴、仕様およびその設置例について以下にご紹介します。

1.特 徴

 B3PUの外観と寸法は、エム・システム技研の既存の薄形2線式変換器「B3・UNITシリーズ」の製品と同じです(図1参照)。横幅がわずか18mmであり、省スペース取付けができます。また、ユーロ端子を使用しているため、配線作業をスムーズに行うことができます。
 前述したPROFIBUS-PA対応の特徴以外に、B3PUは、温度変換器として以下のような機能と特徴をもっています。
 (1)ユニバーサル入力
 熱電対、測温抵抗体、直流電圧、抵抗、ポテンショメータの5種類の入力仕様を選択・設定可能です。詳細は、表1をご参照ください。
 (2)高精度・高性能
  ●高い測定精度:表1参照。
  ●優れた冷接点補償特性(熱電対入力の場合):±0.5℃以下(-5~+55℃の範囲で)
  ●広い使用温度範囲:変換器本体は、-40~+85℃の範囲で使用可能です。
 (3)自己診断機能
 入力センサだけではなく、変換器が自分自身の動作状況も診断できます。上位のプロセス制御システムであるPC/PLCからのコマンドに応じ、自己診断を行い、それに関連する診断結果を上位のPC/PLCに送ります。
 (4)標準仕様外の熱電対、測温抵抗体にも対応可能
 熱電対および測温抵抗体に対しては、お客様がご指定のテーブルをB3PUに入力すれば標準仕様以外のセンサにも対応可能です。
 (5)入力センサ校正
 入力レンジ内の任意の2点に対し、校正できます。下方校正(Lower-Trimming)では校正点での誤差をオフセット値とし、上方校正(Upper-Trimming)では、下方校正点と結んだ直線の傾き(ゲイン)として校正します。

2.主な仕様

 表1にB3PUの入力仕様を示します。使用できる熱電対・測温抵抗体は、その種類が豊富で、温度測定によく使われるセンサをほぼカバーしています。
 出力信号は、国際規格IEC61158-2に準拠したMBPデジタル信号です。
 供給電源としては、9~30VのDC電源に適応しています。また、自動極性判別機能をもっているため、配線時の電源極性の間違いでB3PUが壊れる、あるいは動作しないという心配はまったく不要です。

3.設 置 例

 デジタル信号しか出力しないPROFIBUS-PA対応のB3PUは、一体どのように設置されるのでしょうか。そこで、PROFIBUS-PAを使ったフィールドネットワークシステムの構成(図2参照)を例としてご説明します。図2からお分かりのように、PROFIBUS-PAは、PROFIBUS-DPより下層のフィールドバスと定義付けることができます。PROFIBUS-PAは、DP/PAカプラ/リンカを介してPROFIBUS-DPに統合されます。したがって、PROFIBUS-PA通信対応変換器を使った最小プロセス制御システムを構築する際、コントローラ(PC/PLC)、DP/PAカプラ/リンカ、PROFIBUS-PA通信対応変換器という3つの要素が、最小限必要です。

お わ り に

 以上、新製品であるPROFIBUS-PA通信対応2線式ユニバーサル温度変換器B3PUについてご紹介しました。なお、説明に不備な点があったかと思いますが、ご質問についてはエム・システム技研ホットラインまでお寄せください。また、今後、本質安全防爆に対応した機種を追加する予定であり、ご期待願います。 ■

注1)HART通信に関する詳細は、本誌1998年11、12月号の「計装豆知識」をご参照ください。
注2)PROFIBUSに関する詳細は、本誌1999年12月号の「計装豆知識」をご参照ください。
注3)防爆に関する詳細は、本誌2000年3、4月号の「計装豆知識」をご参照ください。
 
 
 
 
 
 
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