1998年6月号 | ||||
最新鋭ゴミ焼却プラントへのMsysNet納入例 | ||||
エム・システム技研 営業技術部長 | ||||
は じ め に 栃木県鹿沼市に新設された「鹿沼環境美化センター」のゴミ焼却プラントにおいて、プロセスのトータル制御システムとして、MsysNetシステムが全面的に採用されました。 この春、同センターの工事が竣工し、設備が本格的に稼働を開始しましたので、ここにその概要をご紹介します。 本設備は、月島機械(株)殿がアメリカとオーストリアの最新鋭技術を導入して開発した、都市郊外形の低公害ゴミ焼却プラントとしては国内で初の本格的設備です。ゴミの焼却ガスをさらに高温で燃焼する2次燃焼装置を有し、排出するダイオキシン量を国内の新しい基準値の1/10以下という、極めて低いレベルに抑えています。本設備は、一般ゴミと産業廃棄物を合わせ250 t/Dの処理能力を持ち、燃焼エネルギーのリサイクルにより2400kWの発電が可能です。また、そのうち最大1600kWを電力会社に送電することができます。 1.制御システム概要 本設備に使用した制御システム(図1参照)では、焼却炉やボイラ、タービン/発電機などの中枢設備、およびその付帯設備を構成する個々の装置単位毎に分散された現場制御盤が、合計21箇所に設置されています。各現場制御盤には、装置の制御用にワンループコントローラ(形式:ABA)、制御カード(形式:18MA)、I/Oインタフェースカード(形式:18MG、18MF)などMsysNet・スーパーDCS機器が設置されています。また、装置のメカニカルな制御や電気関係の制御にはPLC(シーケンサ)が数多く使用されていますが、これらも現場制御盤に収納され、PLCインタフェース(形式:SMDL)によりMsysNetに接続されています。 各現場盤からは、装置の単独運転が可能ですが、これらの現場盤は、光ファイバを使用したM-Busのネットワークで相互に接続され、装置間で連携をとった、完全自動運転も可能です。 中央操作室(図2参照)には6台のオペレータズユニット(形式:OPU)が設置され、上記のネットワークを通じてデータ通信を行い、設備全体の集中監視・操作を行います。さらに、ネットワークは事務棟の管理室まで延長されており、そこに設置されたOPUからも操業情報をリアルタイムで管理することができます。 2.システムの特長 今回、MsysNetを導入していただいたお客様からは、このシステムの特長として、次のような評価をいただいています。 ●スーパーDCSとPLCの組合せによって、コストパフォーマンスが極めて高いシステムを実現できた。 ●上記効果に伴って、この種(ゴミ焼却)の従来設備に較べ、計測・制御ポイント数を桁違いに増やすことが可能になった。 ●設置後においても、システムの変更、追加が容易であった。 ●光リンクによるネットワークを全面的に採用できたため、耐ノイズ、避雷の点で安心できる。 ●中央操作室では、6面のマルチCRTを使っての監視・操作が可能であり(図3参照)、情報量が極めて多く、きめ細かな操業管理が可能になった(従来のDCSではコスト的に無理)。 お わ り に 本設備に導入されたMsysNetシステムは、これまでの納入実績の中でも最大クラスに属しますが、1ループから大規模計装までをフレキシブルにカバーする、超分散・ネットワーク統合というMsysNetシステムのコンセプトが見事に具現化されました。今日、プロセス制御システムが、すでに大きな転換期を通過したことが実感されます。今後、MsysNetに代表される、スケーラブルでコストメリットの高いシステムが主流を占めることに疑いの余地はありません。 最後に、本稿の掲載にあたって多大な御協力をいただいた、(株)鹿沼環境美化センター、ならびに月島機械(株)の関係者各位に、本誌面を借りて厚く御礼申しあげます。 ■ |
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