1998年9月号

エムシスレコーダ(形式:MSR)Ver.2

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に

 本誌の本年3月号にてバーチャル記録計エムシスレコーダ(MSR)を発表して以来、多数のお客様からお問合せ、ご意見、ご要望などをお寄せいただきました。厚く御礼申しあげます。
 さて、いただいたご意見、ご要望の概要をまとめ、以下にご紹介します。
●表示時間が最大4分20秒では短い。もう少し長い時間にわたってデータを表示したい。
● いつも0~100%の表示ではなく、レンジの変更ができる、より自由な表示がしたい。
●1日の収録データのファイルサイズが10MBでは、大き過ぎる。0.5秒以外の収録周期も使用したい。
●特定の条件成立時にだけ、自動的にデータの収録ができるようにしたい。
●報告書作成のために、収録されているデータについてペン指定の上、新しいデータファイルを作成、編集したい。
●ノートパソコンでエムシスレコーダを使いたい。
●ペン設定などの内容を保存し、再利用したい。
 以上のご要望を参考にさせていただき、今回新たにエムシスレコーダ MSR(Ver.2)を開発しました。以下、MSR(Ver.2)における機能向上の概要をご紹介します(図1に、機能向上の主な項目を示す設定項目メニュー画面を示します)。

1.長時間表示と拡大表示
 “RECORD”画面については3種類の表示モードを使い、1画面中にそれぞれの時間表示、データ表示を行うことができます。
①1倍速モード:4分20秒、
②4倍速モード:1分5秒、
③長時間表示モード:16分、1時間、4時間のいずれかを選択(図2に16分表示画面を示します)。
 また、ペンごとに表示レンジを設定することにより、そのデータの注目する部分(たとえば30%~80%の範囲)だけを画面全体に拡大表示することができます。

2.可変収録周期と自動収録開始・停止
 エムシスレコーダ MSRでは、0.5秒周期でデータの収集をしています。MSR(Ver.2)においては、この0.5秒周期に加えて、1秒、2秒、5秒、10秒、1分、10分、1時間の収録周期の設定を可能にしました。また、データを収録する方法として、単純にデータを間引くか、周期毎の平均値をとるかの選択ができます。設定された収録周期ごとに、各ペンのデータがタイムスタンプ付きでファイルに格納されます。したがって、使用目的に適した収録周期を選択することができます。
 また、入力8チャンネルのうちの1信号(デジタルまたはアナログ信号)を使い、たとえばデジタル入力の状態がオンのときだけデータの収録を行うというように、特定の条件が成立したときに、データ収録の開始・停止を自動的に行うことができます。
 収録停止の状態にあっても、“RECORD”画面のデータプロットは行われます(図3に自動収録設定画面を示します)。

3.収録データからの自由な編集
 0.5秒周期(または、その他の設定された周期)で収録されたデータファイルから、編集画面を使って、新たにデータファイルを作成することができます。そのときに、必要なペンデータの指定と、間引きの設定ができます。まず0.5秒周期でデータの収録をしておき、解析用として実際に必要なデータを適正時間で間引いて、新しいファイルを作成できるなど、大変便利です。ここで作成されるファイルはCSV形式注)のファイルであるため、表計算ソフトにそのまま読み込ませることができます。また、ファイルには自由なファイル名が付けられます。

4.ノートパソコンでモバイル計測
 エムシスレコーダMSRは、工業用のレコーダをパソコンで実現することを目指して画面構成、データの収録などが設計されていますが、パソコンを利用するということから、“ポータブルなレコーダとして使いたい”というご要望がありました。現在市場に出回っているノート型パソコンの大半が表示解像度800×600ドットのSVGA対応となっているため、MSR(Ver.2)では、この解像度の表示器でも動作可能にしました。
 MSR(Ver.2)は、動作環境がXGA(1024×768ドット)か、SVGAかを自動判断し、動作環境に一致した画面を表示します。モバイルのノート型パソコンを使って、MSR(Ver.2)を動作させ、収録したデータをオフィスのコンピュータ宛に転送することも可能になりました(図4にSVGA対応画面を示します)。

5.設定情報の保存・復帰
 1台のMSR(Ver.2)を複数の目的に使う場合には、目的が変わる都度、各ペン情報や収録周期などの設定をやり直さなければなりません。この場合に、一度設定した情報をファイルに保存しておき、目的に従って、設定情報をファイルからMSR(Ver.2)に復帰させることができます。

お わ り に
 今回のバージョンアップでも、まだいただいたご要望の一部を実現したに過ぎません。エムシスレコーダをさらに使いやすく、お客様のお役に立つ製品にするよう今後も改良を進めていきたいと考えています。
 インターネットのご利用により、MSR(Ver.2)の体験版をエム・システム技研のホームページ(アドレスを巻末に表示)からダウンロードすることが可能です。これを利用され、お客様のパソコン上で、エムシスレコーダの機能をぜひご体験ください。    ■

*エムシスレコーダは商標登録出願中です。

注)CSVファイル形式:カンマ区切りファイル形式。アスキーコードで記述された値および文字列のデータが、カンマ(,)と改行記号(CR/LF)で区切られて表現されたファイル形式。汎用の表計算ソフトや、データベースソフトから直接読みとることができる。
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