1999年9月号
計装豆知識

温度、流量、圧力、レベル測定
とPID制御(1)

 
 プロセス制御では、対象となるプロセス変数に応じ、その特性を十分理解した上で、制御ループを検討することが重要です。
 ここでは、プロセス制御のうちで代表的な温度・圧力・レベル・流量の制御について、その特徴や固有の問題点に着目し、どのようにPID動作を選択するかを考えてみます。

温 度 制 御
 製品の品質や組成が温度によって左右される例は数多くあります。したがって、対象プロセスのもつ温度分布に注意し、測定値が期待する制御量を正しく反映できるように、測定箇所を選定することが大切です(図1参照)。
 特   徴…プロセスの時定数:大きい
       プロセスのむだ時間:小さい
 選択モード…調節計動作:P I D

圧 力 制 御
 他のプロセス変数と比較して、一般にむだ時間(L)、遅れ時間(T)が小さく、また液体と気体とでは性質が異なるため注意が必要です。
 特   徴…プロセスの応答は早い
 選択モード…調節計動作:P I
1.液体の場合
  対象プロセスは配管の場合が多く、その場合には流量制御に直接関係します。すなわち、調節弁の上流側圧力は流量の2乗に比例して変化します。また、ポンプ、操作端などに起因する流れの乱れや振動が、検出端を通して雑音(ノイズ)として測定信号中に混入することが多く、微分(D)動作は、この雑音を増幅するため、制御にとって有害です。
2.気体の場合
 プロセスの体積は一定であり、もし温度が一定なら、流入と流出の差によって圧力変化が生じます。多くの場合、液体と同じように、微分(D)動作は制御にとって有害です。

レベル制御
 流入量と流出量の差によってレベル変化が生ずるとき、プロセスは一次遅れ特性を示します(図2参照)。この場合は、流入量が変化してもやがて平衡する自己平衡性があり、制御は容易です。自己平衡性のない積分特性をもつ制御系では、積分(I)動作は有害です。この場合は、調節計動作を比例(P)動作だけにし、制御系がもつ積分特性を利用します。
 ボイラドラムのレベル制御では、レベル面の波立ちがそのまま検出端を通し、雑音として測定信号中に混入するため、微分(D)動作は制御にとって有害です。
 特   徴…プロセスごとに時定数は大きく異なります。
 選択モード…調節計動作:PまたはP I    ■
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