1998年11月号 | ||||
お客様訪問記福岡市水道局殿での自動通報システムの導入例 | ||||
テクノシステム(株) 代表取締役社長 島田 寿 | ||||
は じ め に 福岡市は、人口約130万人を擁し、九州の中心都市として発展を遂げています。 都市の発展に伴い、水の需要も増え続け、平成9年には平均配水量394,430m3/日に達しています。福岡市は大都市であるにもかかわらず、一級河川がないため、水源の確保と安定供給を図るのに特別な努力を払う必要がありました。 昭和53年(1978年)には、異常渇水のため全国的にも例のない287日間にもおよぶ給水制限の実施を余儀なくされ、市民生活や産業活動に多大な影響が生じました。これを機会に、「水資源の有効的かつ合理的な利用」や「節水意識の高揚」を図るなど、「節水型都市づくり」を進めるため、諸施策が採られてきました。 昭和56年(1981年)には、次の5項目の実現を目指す「水管理センター」が設立され、現在、水資源の有効利用の点では国内トップレベルにある福岡市の水道事業を支えています。 (1)各浄水場間の流量調整(相互融通) (2)水圧調整による漏水量の抑制 (3)渇水時の電動バルブでの遠隔操作による省人化 (4)配水管異常の早期発見と遠隔操作による迅速な対応 (5)情報の収集・分析による効率的な水運用 1.導入の経緯 福岡市水道局殿では、昭和56年以降、前記5項目の具体的な施策に取り組まれ、充実したシステムが整備されてきました。なお、さらに整備すべき施策として、次の3点が挙げられました。 (1)広い範囲に数多く点在する端末施設(加圧ポンプなど)の監視項目の充実と遠隔制御 ②営業所ごとに行っている端末施設の監視・制御の一元化 (2)システムの高度化・一元化による管理体制の合理化 これらの整備を行うにあたって、端末施設の数が多く、その設置場所の制約(場所が狭い、屋外設置などの条件)が厳しいため、以下に列挙する様々な観点から各種のシステムが評価検討されました。 (1)機器の設置スペースが小さい (2)屋外の環境条件下でも動作する (3)将来の増設、改造が容易 (4)ソフトウェアのエンジニアリングが容易 (5)操作が容易 (6)所要コストがより経済的 評価検討の結果、エム・システム技研の“MsysNetシステム”が選定され、ご採用いただくことになりました。 2.システムの内容 今回のシステムの全体構成は図2に示すとおりです。 水管理センターには、CRT操作部(オペレータズユニット、形式:OPU)を2台(2重化して)設置し、監視しています。通常は端末施設から故障信号などを受信したとき監視画面に表示しますが、CRT操作部から端末施設を呼び出し、動作状況を確認することも可能です。オペレータズユニットに搭載されている監視・操作ソフト(形式:SFD)は、監視・操作用の画面、トレンド画面、グラフィック画面などの機能を標準装備しています。グラフィック画面の一例としてグラフィックモニタウインドウを図3に示します。 各営業所には、既設の表示盤の故障などを通報する監視盤、および新設のポンプ監視用の表示盤を設置しています。 システムの通信ネットワークはM-Busによって構成されています。 水管理センター~営業所間、営業所~端末施設間の通信回線としてはNTTの一般公衆回線を使用し、ランニングコストの低減を図っています。 3.将来の計画 今回は、低コストのシステムを実現するという条件のもとに、5営業所、20端末施設を対象にシステムを導入して運用した結果、所期の目標を達成することができました。将来は、対象の営業所や端末施設の範囲を拡大するとともに、端末施設の監視項目をさらに充実することが計画されています。 お わ り に エム・システム技研のMsysNetシリーズを使うと、従来の大型システムに比べ、小型、低コスト、短納期でシステムを構築することができます。 近年、パソコンや小型コントローラ、PLCなどを核とした小型で安価なシステムの市場が拡大しており、今後、このようなシステムが広く普及していくと考えられます。 ■ 本記事についての照会先:テクノシステム 株式会社 代表取締役社長 島 田 寿 〒816-0082 福岡市博多区麦野 5丁目2番27号 TEL.092-582-9200 FAX.092-582-9206 *MsysNetはエム・システム技研の登録商標です。 |
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