1999年2月号
計装豆知識

交流の表現と演算方式

 
交流の表現

 交流の大きさを表現する場合、その数値の使用目的に応じて各種の表現方法が用いられています。
●最大値(PEAK)
 交流のゼロ点からピーク点までの大きさであり、「100V0-P」のように表示されます。この表現は、測定計器などで、入力値の上限によってその性能が左右される場合などに使用します。
●p-p(peak to peak)
 交流のマイナスの最大値からプラスの最大値までの大きさで、「10Vp-p」のように表示されます。信号変換器の関係では、直流出力に含まれる交流成分(リップル)について一般に使用されています。
●実効値
 その交流を電熱器などに加えたとき、発生する熱量が実効的に等価な直流の値として表現した大きさで、交流の瞬時値の二乗の平均値の平方根であり、RMS値ともいいます。交流の大きさの表現の中で最も一般的なもので、「10V」のように表示され、単位(V)の後ろに追加の表示はありません。

交流変換器における演算方式

 近年、電気負荷が従来のコイル/抵抗/コンデンサによる合成負荷から半導体を使用した負荷に変化していることは周知の事実です。交流を計測する上で問題になるのは、半導体を使用することによって発生する波形歪です。この歪の大きさに応じて変換器の演算方式を選定する必要があります。エム・システム技研では、以下に挙げる3種類の演算方式に基づく変換器をご提供しています。
●平均値整流方式
 平均値は、一般に交流信号を時間に対して平均した値を表しますが、変換器の場合には平均して得られた値を1.11倍することによって実効値に換算しています。平均値演算は正弦波波形を対象としていますから、波形の歪は変換精度に直接影響します。
●近似実効値整流方式
 50/60Hzの基本信号に比べて小さい歪(150/180Hz成分が5%以下)の場合に、補正して実効値演算を行っている方式です。
●実効値演算方式
 入力信号の2乗平均、平方根処理を行っていますから、歪による影響をほとんど受けることなく計測できます。
 実際に使用する場合を考慮し、3種類の演算方式の適用例をご紹介します。
 図2の「A」の位置では、負荷の歪を考慮する必要があり、実効値演算方式が適しています。「B」の位置では負荷の歪が合成されていますが、まだ歪が残っているため、実効値演算または近似実効値整流方式を使用します。「C」点は受電端ですから、どの方式でも計測可能です。誤差の発生を極力抑えたい場合や予算に余裕がある場合には、すべて実効値演算タイプを使用するようおすすめします。              ■
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