1999年2月号 | ||||
電話回線で画像伝送
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(株)エム・システム技研 開発部 | ||||
は じ め に エム・システム技研では、テレメータ機器として、常時1点のアナログ信号を伝送するタイプから、複数の信号を入力しそのトレンド記録をパソコンに送信したり、アラーム状態をFAXやポケベルなどに知らせるインテリジェントなタイプまで、様々な製品を商品化しています。これらの機器は、遠隔監視の用途で数多く稼動しています。ここでは、このたび新たに開発した、電話回線で画像を伝送できる遠隔監視装置“テレカプラ・アイ(形式:TLKS)”についてご紹介します。 1.テレカプラ・アイの概要 テレカプラ・アイ(図1参照、以下TLKSと略します)は、画像による遠隔監視が行える、高機能で低価格な画像送信端末です。 TLKSは、ビデオカメラの映像出力信号を入力として受け、その信号から静止画像データを抽出し、公衆電話回線経由で外付けモデムにより遠隔地へ送信します。送信した画像は、電話回線に接続され、TLKS専用の画像受信ソフトが組み込まれたパソコンで受信することにより再現表示できます。 図2に、TLKSを使用した静止画像伝送システムの構成例を示します。 ここで、TLKSの映像入力端子には、NTSC規格に対応した、映像信号出力付きのビデオカメラを接続します。NTSC(National Television System Committee)規格とは、米国のEIA(Electronics Industries Association)が開発したテレビ用の映像信号の規格であり、映像を再現するための表示色や輝度、同期信号などを一本のアナログ信号にまとめた信号に関する規格です。この規格は、日本や米国で採用されています。最近では、多数のメーカーからNTSC映像信号出力を備えたビデオカメラが発売されています。 TLKSの内部では、映像信号を基にしてデジタル化した静止画像データを生成し、さらにJPEG方式で圧縮します。一方、人が画像受信パソコンで目的とする端末を呼び出すと、パソコンは圧縮された画像データを連続的に受信します。このデータは、パソコンで順次伸張され、パソコン画面上に連続して表示されます。 2.テレカプラ・アイの特徴 ●高機能なインテリジェント端末です。 主な機能としては、最大4点の映像信号の入力とその伝送処理、接点入力でアラーム発生を検知し、その時点の画像を自動送信する機能(発報機能)、外付けモデムを経由した電話の受信・発信機能などを備えています。 ●コストパフォーマンスが優れています。 従来からあるITV方式による画像伝送システムに比べて、格段に低価格な画像伝送システムを構成できます。コンパクトサイズの端末であり、4台のビデオカメラをつなげます。 ●画像受信装置はパソコンです。 専用の画像受信装置は不要です。Windows 95 対応のDOS/VパソコンにTLKS専用の画像受信ソフトを組込めば、画像受信装置が実現します。パソコンには、画像受信用の特殊なボードの実装は不要です。 ●小形・軽量 外形寸法はW200×H35×D250mm、重量は約1.5kgのコンパクトなボックス形であり、設置スペースが少なくて済みます。 ●発報機能が可能です(図3)。 センサ信号を接点入力端子に接続しておけば、画像受信パソコンを常時電話回線に接続して連続監視し続けなくとも、センサが異常を検知したときに、TLKSから画像受信パソコンに自動的に電話をかけ、その時点の画像を伝送することができます。この発報機能により、端末との間の通信費用を節約した、効果的な遠隔監視が行えます。 ●接点出力を4点備えています。 接点出力信号は、現場の照明用ランプの点灯やアラーム用としてベルを鳴らすために使用できます。接点入出力の端子台は筐体内部に置かれています。 3.画像受信ソフト(形式:TLKR)の主な機能 画像受信ソフトTLKRは、テレカプラ・アイの機能を十分に引き出す専用ソフトウェアです。 本ソフトは、Windows 95対応のDOS/V パソコンで動作します。ここで、CPUが備えるべき条件は、Pentium相当でCPUクロックが166M Hz以上(発報動作機能を使用するときは266MHz以上)であることです。また、ディスプレイの解像度の条件は800×600ドット以上です。 ●端末呼出し機能 画像受信パソコンからオートダイヤルで呼出せる端末数は最大500件登録できます。 端末の名称と電話番号を設定することにより登録できます。 ●受信画像表示 画像の受信と表示は連続的に行われ、表示画質の指定は7段階の指定ができます。 また画面への表示は次の3パターンから1つを選択できます。 ●4つの映像入力から1つを選択して表示(図4) ●4つの映像入力を順次表示 ●4つの映像入力を1画面に4分割表示 ●画像の保存と再現 受信画像は、最大1000枚保存できます。保存した画像は、オフライン(電話回線を使用ない状態)で呼出し再現表示できます。発報時の画像だけを指定して、再現表示することもでき、監視作業を効率的に行えます。なお、受信画像を保存しないこともできます。 ●接点出力制御 TLKSの接点出力は、電話回線が駆動されていない場合には、常にオフです。駆動時には、接点出力のオン・オフ状態の切替制御がパソコンから行えます。 ●リモートメンテナンス 遠隔地のTLKS端末をセンターから電話回線経由で呼出し、端末での発報動作の有無、発報先の電話番号の設定などが行えます。 ●通信履歴 端末を呼出すごとに、端末との通信時間や画像伝送枚数などの記録が通信履歴ファイルに残り、監視作業をサポートします。 お わ り に ここにご紹介したテレカプラ・アイTLKSは、上下水道設備での遠隔監視、工場内の危険場所の遠隔監視、河川、電力設備などの安全監視や防災対策などに応用できます。ご検討の上、本製品テレカプラ・アイをご活用ください。■ |
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