1999年2月号

現場で履歴を記憶する
メモリテレカプラ(形式:TLZ)

(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に

 エム・システム技研では、無人化された設備の信号を監視し、現場の状態や異常の発生を公衆回線を使って管理者に通報・報告する製品をスーパーテレメータシリーズとしてご提供し、ご好評をいただいています。すなわち、テレメータ機能をすべて備えたテレロガー(形式:TLX)、異常を電話、ポケベルへ通報するてれまる(形式:TLO)は、発売以来多くのお客様にご利用いただいており、また計測値などを音声で伝えるてれとーく(形式:TLA)もすでに発売いたしました。今回ご紹介する「メモリテレカプラ」(形式:TLZ、以下TLZと略称します)は、信号の状態、異常の発声・復帰、計測値を現場で記憶し、これらのデータをパソコンに送信することを主な機能としています。パソコンを使った監視装置が普及したことによって、多くの情報をパソコンに集約してデータを解析し、使用機器の劣化状態などの各種分析が行えるようになりました。TLZは、このようなパソコンを使用したシステムの現場機器として有効に機能することを目指し、開発されました。
 現場でTLZが記憶したデータは、公衆回線を経由してパソコン側で容易に取出すことができます。
 以下、TLZについて詳しくご紹介します。

1.TLZの外観
 図1はTLZの外観です。 
 TLZはDINレールまたは盤取付けタイプで、大きさはW150×H100×D130mmです。
 前面パネルには、POWERランプ、12点のDi状態を示す緑色LED、アラームが発生していることを示す赤色のLED、入力信号を接続する端子などが配置されています。

2.TLZの機能
(1) 履歴の記憶
 TLZは、接点の状態変化を事象の発生として捉え、発生した事象をタイムスタンプ付きで記憶します。
 計測値があらかじめ設定した上下限異常設定値を外れたとき、また設定値内に戻ったときも事象発生の対象になります。
 最大64個の事象を設定することができます。
 事象変化の記憶は、1台のTLZで4000件まで可能です。事象発生が4000件を超えると、旧い順にデータが上書きされます。
 オプションのトレンドメモリを利用することにより、TLZは接点状態および計測値を時系列にタイムスタンプ付きで記憶します。記憶周期は、1秒、2秒、5秒、10秒、30秒、60秒の中から選択できます。
(2)通報機能
 事象の変化が発生すると、設定されている通報先にメッセージを通報します。通報先については最大16箇所まで設定でき、1つの事象の発生で通報できる通報先は4箇所、通報先の機器はパソコンまたは漢字ポケベルです。
 接点入力に関して状態変化を異常と定義しておくと、TLZは異常の発生を判断し、設定された通報先にメッセージを通報します。通報できるメッセージは、漢字を含めて最大32文字です。異常が発生している場合には、前面パネルのアラームランプが点灯します。
 事象の内容、通報先、メッセージ文、計測値の上下限異常設定値などは、TLZ専用のビルダーソフトを使ってパソコンからTLZに設定します。図2は、ビルダーソフトの事象リスト画面です。
●パソコン通信
 TLZは、公衆回線を経由してパソコンと通信を行うためのモデムを内蔵しています。
 パソコンは、TLZが記憶している時系列データに対して時間帯を指定し、必要な部分だけを取込むことができます。
●ポケベル通信
 事象が発生したときに、異常通報、異常復帰通報、運転開始通報、運転停止通報を行うことができます。ビルダーソフトを使って設定したメッセージを、ポケベルに対し文字列で通報します。

3.TLZを利用したアプリケーション例
 遠隔地の設備に設置されたTLZは、事象の発生およびトレンドデータをメモリに記憶します。管理者は、公衆回線を利用してTLZに記憶されているデータを収集することができます。この機能を利用したアプリケーションの例としてマンホールポンプの監視が挙げられます。図3は、マンホールポンプの監視設備にTLZを使用した例を示しています。
 1個のマンホールポンプ設備には2機のポンプが設置され、マンホールの水位の制御を行います。そして、TLZはマンホールポンプの稼動状況とマンホール水位の監視を行います。
 TLZは、ポンプの稼働状況として運転の開始時刻、停止時刻をタイムスタンプ付きで記憶します。異常が発生した場合には、異常通報を行うと同時に、発生した時刻とその状態を記憶します。マンホールポンプを監視する処理場には、監視用のパソコンが設置され、それぞれのマンホールを遠隔監視します。
 パソコンは、TLZに電話をかけ、メモリに記憶されている稼動状況などのデータを必要な時間帯を指定して報告させます。
 たとえば、1998年11月11日0時0分0秒から1998年11月11日23時59分59秒の間に発生した事象を報告させます。また、収集したデータはパソコンで加工します。タイムスタンプを利用してポンプの運転時間を求めたり、異常の発生間隔を統計データとして利用し、設備保守などの基礎データとしてメンテナンススケジュールの立案などに役立てます。

お わ り に
 TLZは、ご紹介したように、構築が容易なパソコン計装によるマンホールポンプの監視を実現する上で有効です。
 とくに、TLZ本体に遠隔地のデータが直接記憶されていますから、安心してパソコンを利用することができます。通信に公衆回線を利用するため、ランニングコストも安価です。エム・システム技研は、TLZを始めとして、公衆回線を利用したスーパーテレメータシリーズをお客様のご計画に適した製品としてご提供して参ります。
 エム・システム技研の公衆回線利用製品をぜひご検討、ご活用ください。     ■

*テレロガー、てれまるはエム・システム技研の登録商標、てれとーくは商標登録出願中です。
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