1999年11月号 | ||||||||
パソコンレコーダソフト(形式:MSRS32)の
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(株)アイシーティー 白石 勝(エムシスネットクラブ会員) | ||||||||
は じ め に エム・システム技研から販売されている「パソコンレコーダソフト(形式:MSRS32)(以下MSRS32と略称)」については、皆様十分ご承知のことと思います。この度は、アイシーティーが開発したMSRS32用データベース化ドライバソフト(以下MSRS-DB)の紹介をさせていただきます。念のため最初に、MSRS32とデータベースについて簡単に説明します。 1.パソコンレコーダソフト(MSRS32) パソコンレコーダソフトは、従来のペン式工業用記録計の機能をパソコン画面上で実現するため、エム・システム技研が開発したデータ収録ソフトウェアです。なお、アナログ入力部はスーパーDCSの外部機器を使って構成されます。 MSRS32では、最大32点のアナログ入力を扱い、最大速度0.5秒のサンプリング周期でデータを収録することができます。記録紙、インクなどの補充の必要はなく、チャートのスクロールや収録済データの読出しなどもマウス一つで簡単に操作できます。 2.データベース 近年、FA分野においてもデータベースは広範囲に使用されていて、OracleやAccess、SQLserverといったデータベースソフトが有名です。複数のメーカーが競合してより高度なデータ処理が行えるよう、その機能を強化してきています。データベースの優れている点は、使いたい情報を必要なときに、迅速に、かつ確実に抽出できる点です。 10人の子供の中から我が子を探すのには、さほど大きい労力を必要としませんが、10万人の子供の中から我が子を探すのには、大変な労力を要します。さらに、この中から10歳の男の子を取出して身長順に並べるという条件を加えた場合、これはもう人間の手作業では何日もかかってしまうことでしょう。これを瞬時にやってのけるのが、データベースです。これを計装分野の例で考えた場合、最大値や最小値の抽出、平均値の演算、またデータの大きい順に並べかえ(ソート)たり、特定の警報の発生件数だけを抽出したりすることも可能になります。 3.MSRS-DB 概要 この度、アイシーティーが開発したMSRS-DBは、MSRS32から出力されるCSV形式の収録データを読取り、データベースに保存するためのドライバソフトです。図1にシステム構成の概略を示します。 計装分野においてデータベース化を図ることの効果は、帳票作成機能についてとくに顕著です。MSRS-DBは、主にMSRS32で収録したデータを簡単に帳票化できるように工夫されていて、日報、月報、年報はもちろんのこと、それぞれの最小値、最大値、平均値も抽出します。また、欠測データ処理(注1)も確実に行います。帳票はExcel上のシートに出力されるため、帳票フォーマットは、ユーザーサイドで自由にレイアウトができます。 次にMSRS-DBについて概要を説明します。 (1)収録タグの設定 MSRS-DBは、MSRS32で設定された名称、TAG、スケール、単位などを自動的に読込みますから、面倒な設定を必要としません。ただし、MSRS32側にて「設定ファイル書出し」の操作を一度行っていただく必要があります(図2参照)。 (2)データの収録 MSRS32では、収録ボタン(DATAボタン)をクリックすると、設定されたサンプリング周期でデータの収録を開始します。収録データは、指定のフォルダにCSV形式で保存されます。 MSRS32によって保存されたCSVファイルを、先に読込んだ設定ファイルに基づいてデータベース化します。 (3)データの確認 データベース化された収集データは、MSRS-DB上で確認し、印刷することができます。図3にデータ一覧画面を示します。表示するデータの日時を指定したのち、表示ボタンをクリックすればデータが表示されます。 (4)帳票の印刷 帳票機能としては、日報、月報、年報を出力できます。図4に帳票選択画面を示します。 日報:印刷するデータの年月日を指定します。月報:印刷するデータの年月を指定します。 年報:印刷するデータの年を指定します。 作成ボタンをクリックすると、自動的にExcelが起動し、SHEET3上に帳票データを自動的に貼付けます。図5に帳票データを貼付けた後の図を示します。 帳票のフォーマットは、SHEET1もしくはSHEET2に自由にレイアウトしてください。レイアウトされたセル上に、SHEET3上に貼付けられたデータのセル参照式(注2)を記述します。図6にはSHEET1に帳票フォーマットのレイアウトを行い、各セルにSHEET3の参照式を記述した画面を示します。 帳票フォーマットの作成に際しては日報、月報、年報いずれの場合も、一度、原ブック(注3)を作成した上でMSRS-DBに登録してください。以後はMSRS-DBが自動的にその原ブックを起動し、データを貼付けます。また演算などが必要な場合は、セル上に参照式および演算式を記述してください。 以上に述べたように、MSRS-DBでは帳票を簡単に作成することができます。図7に作成した帳票の全体を示します。Excelのファイルとして、別管理することも可能です。 月報、年報についてはスペースの関係で詳しく説明できませんでしたが、日別(月報)、月別(年報)の集計は当然自動的に行います。 お わ り に 帳票作成に優れた能力を発揮するデータベース化ドライバソフトMSRS-DBの採用を、ぜひご検討ください。なお、MSRS-DBに関するお問合せは下記にお願いいたします。■ 本記事についての照会先: 株式会社 アイシーティー(エムシスネットクラブ会員) 担当:白石、下村 〒580-0043 大阪府松原市阿保7丁目7-6 TEL.0723-36-2311(代表) FAX.0723-36-2312 URL:http://www.ict-osaka.com E-mail:shiraishi@ict-osaka.com 注1)欠測データ処理:何らかの原因で計測データが欠落した場合に、異常値として帳票上に反映します。欠測処理には、様々な手法があります。 注2)セル参照式:別のワークシート上のあるセルの値を参照するために、セル上に入力する式のことを言います。 例)=Sheet3!A1 シート3のA1セルの値を表示する。 注3)原ブック:Excelファイルで日報、月報、年報にフォーマットされたテンプレートをいいます。 |
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