1999年11月号

計装豆知識

Modbus(モドバス)

 
 通信プロトコルとしてModbus Protocolを実装したネットワークを、Modbusと呼んでいます。Modbus Protocolは、Modicon Inc.(AEG Schneider Automation International S.A.S.)がPLC用に開発した通信プロトコルであり、その仕様は公開されています。現在、WEBページhttp://www.modicon.com/で、そのプロトコル仕様書(PI-MBUS-300 Rev.J)を閲覧できます。 Modbus Protocolで定義されているのは、通信プロトコルだけで、通信媒体などの物理レイヤは規定されていません。物理レイヤとしては、RS-232やRS-485が一般に使われています。EthernetやMAPなど他のネットワーク上にModbus Protocolのメッセージを組み入れた通信もあります。この場合には、マスター/スレーブ通信だけでなく、1対1通信も可能になります。
 Modbus は、そのプロトコルの仕様が公開されているうえに、非常にシンプルであるため、FAやPAの分野で広く使われています。他のフィールドバスの規格とは異なり、検証や認定の組織はありません。したがって接続にあたっては、接続が可能かどうか実証確認が必要です。図1に、Fisher-Rosemount Systems Inc.社DeltaV Systemとの接続が可能な製品の一例として、エム・システム技研のModbusマルチアナログ入出力ユニット(形式:60M)を示します。

Modbus Protocol
 Modbus Protocolの通信方式は、シングルマスター/マルチスレーブ方式です。マスターだけがクエリー(通信の開始)を発行することができます。スレーブは、このクエリーを見て、指定された機能を実行し、応答メッセージを返します。マスターは、指定のスレーブに対するクエリーまたはすべてのスレーブに対するブロードキャストクエリーのいずれかを発行することができます。ブロードキャストクエリーの場合には、スレーブは、指定の機能を実行するのみで応答メッセージは返しません。スレーブは、自分に対するクエリーのときにだけ応答メッセージを返します。
 クエリーの伝送フォーマットは、スレーブのアドレス(またはブロードキャスト)、要求内容を定義するファンクションコード、データおよびエラーチェックフィールドから構成されています。また、応答メッセージの伝送フォーマットは、要求内容の確認フィールド、応答データおよびエラーチェックフィールドから構成されています。クエリーと応答メッセージの伝送フォーマットを図2に示します。  シリアル伝送モードにはASCII(American Standard Code for Information Interchange)モードとRTU(Remote Terminal Unit)モードの2種類があり、選択することができます。ただし、1つのネットワーク上では、すべてのデバイスが同一モードでなくてはなりません。
 ASCIIモードでは、1バイト(8ビット)データを2文字のASCIIコードに変換して伝送します。RTUモードでは、1バイト(8ビット)データをそのまま伝送します。ASCIIモードより伝送効率が良いこともあり、RTUモードが主に使用されています。
 なお、伝送モードによってエラーチェックフィールドのチェックアルゴリズムが異なります。ASCIIモードの場合にはLRC(Longitudinal Redundancy Check)法が、またRTUモードの場合にはCRC(Cyclical Redundancy Check)法が採用されています。     ■
戻 る

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.