1999年12月号 | ||||||||
お客様訪問記
実証実験プラントに採用された携帯テレメータ | ||||||||
(株)エム・システム技研 営業技術部 | ||||||||
浄水プロセス中の、浮遊固形物を除去する「凝集」段階において、従来のアルミ系凝集剤に代えて鉄系の凝集剤を使用する新技術を開発するため、北九州市と新日本製鐵(株)が北九州市本城浄水場内に高効率浄水実証実験プラント(図1)を設置しました。この実証実験プラントで、各種データの収集と異常通報に、エム・システム技研の製品が採用されています。今月は、この実証実験プラントの計装を担当した吉川工業(株)エンジニアリング事業部の日野啓一様にお話を伺いました。 [エム・システム技研、以下エムと略称]エム・システム技研製品がどのように使われているのか教えてください。 [日野]これは実証実験プラントですから、運転中の各種データを収集する必要があります。また、無人運転しているため、警報が発生したときに自動的に通報することも必要です。このプラントでは、流量制御と各種データ収集、そして警報通報にエム・システム技研製品を採用し、図2に示す機器構成をとっています。 流量制御はワンループコントローラ(形式:ABH)で、またシーケンス制御はオムロン社製PLCで行っています。収集データについては、センサからの信号をリモート入出力ユニット(形式:SML)に取り込み、パソコンレコーダソフト(形式:MSRS)を搭載したパソコン(図3)で記録しています。 パソコンレコーダソフトでは、従来の記録計のようなチャートを画面上に描画します。またデータをハードディスクに保存するだけでなく、CSV形式(カンマで区切ったテキストファイル)で収集・保存することができ、そのままExcelなどの表計算ソフトに取り込めます。このため、今回のようなデータ収集・解析を目的にしている実証実験プラントでは大変便利です。 異常が発生するとPLCから異常信号が出力されます。この信号をモデムインタフェース(形式:SMM)に入力し、携帯電話で発信させ、ポケベルに通報するようにしています。 [エム]ABH、SMLといったMsysNet製品がありますが、これらの機器はそれぞれにソフト設定を行わなければなりません。どのように設定されましたか。 [日野]時間的な問題や設定費用のこともあり、結局自分で設定しました。今までにも、アイソレータなど、エム・システム技研の変換器を単品で採用したことはありましたが、システムとしての採用は初めてでした。ソフト設定のための教育など、サポート体制もしっかりしていたので助かりました。 [エム]このシステムで、何か工夫されたり、苦労なさったことがありますか。 [日野]無人運転のプラントですから、警報が発生したとき電話回線を使用して担当者のポケットベルに自動通報する必要があります。本来ならば直接電話線を引込みたかったのですが、プラントの設置場所の問題で不可能でした。さらに、実証実験プラントは2年間程度しか運転しないということなので、携帯電話で発信することにしました。 現場に設置される機器は、当然、現場盤である鉄製のキャビネットに収納されています。そのため、キャビネットがシールドの働きをして、内部に置いた携帯電話に電波が届きにくくなることが考えられました。そこで、キャビネットの側面に窓をあけ、アクリル板をはめ込んで電波が通りやすくなるように工夫しました(図4)。運転を始めてから何回か異常が発生しましたが、問題なく通報することができました。 システムの立上げ時には、予定どおりの機能が実現しないという問題もありましたが、エム・システム技研本社から営業技術部のスタッフが北九州の現場まで来て、対処してくれました。この結果、大きなトラブルにはならず、運用を開始することができました。 [エム]エム・システム技研製品を採用したメリットはどのようなところですか。 [日野]とにかく、予想していた費用より安くできたのが一番です。調査した範囲では、エム・システム技研以外の製品でこのシステムを構築しようとした場合、予算オーバーになってしまいました。 [エム]貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。■ (敬称は省略させていただきました) 本システムについての照会先: 吉川工業 株式会社 エンジニアリング事業部 エンジニアリング事業室 掛長 日野 啓一 〒805-8501 福岡県北九州市八幡東区尾倉2丁目1番2号 TEL.093-671-8666 FAX.093-661-3220 *MsysNetは、エム・システム技研の登録商標です。 |
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