2002-2003計装豆知識
- NEMA規格の電気機器用容器/2003.12
- 特定小電力無線局/2003.11
- 1ポート形と2ポート形避雷器/2003.10
- USB/2003.9
- IPコード/2003.7
- DoPa/2003.6
- 高調波について/2003.5
- 測温抵抗体の導線方式/2003.4
- ダイヤルアップルータとブロードバンドルータ/2003.3
- 交流の測定/2003.2
- ロータリエンコーダ/2003.1
- セルシン/2002.12
- IPv6/2002.11
- ADSL/2002.10
- 避雷器の応答時間/2002.9
- ネットワークトポロジ/2002.8
- アイソレータの必要性/2002.7
- Ethernetケーブルとハブ(HUB)/2002.6
- 一般電話回線/2002.5
- 携帯電話とメール機能/2002.4
- テレメータ装置と専用電話回線/2002.3
- TCPとUDP/2002.2
- インターネットとイントラネット(2)/2002.1
エムエスツデー 2002年12月号
セルシン
セルシンとは、回転軸の回転位置を計測または制御するために使われる多相回転機の総称で、元来は米国GE社の商品名であり、日本のJIS規格(JISC4906)では、「シンクロ電機」という名称で制定されています。
原 理

セルシン(以下通称の「セルシン」を使います)は、回転子側に一次巻線、固定子側に二次巻線をもつ回転変圧器になっていて、一次と二次の相互インダクタンスが回転子の位置によって、正弦波状に変化するよう設計されています。角度検出器としてのセルシンは、一般に2個以上の回転体の軸の回転位置を自動的に保たせる特殊な多相回転機であり、セルシン発信機とセルシン受信機の1対からなっています。3本の信号線と交流電源を接続し、発信機側の軸を回すと受信機側の軸も同じように追従して回ります(図1)。

セルシンの歴史は古く、構造がシンプルで故障が少なく、耐久性にも優れていることから、ダムや河川のゲートまたはバルブにセルシンの発信機側を、また制御室や監視室などに受信機側を取り付け、ゲートやバルブの開度の遠隔監視用として広く利用されています。
エム・システム技研のセルシン変換器(形式:JS、図2)は、既設のセルシンはそのままに、その信号線と電源配線に対し並列接続するだけで、回転軸の角度位置信号を省スペース、ローコストに各種の計装用電気信号に変換することができます。
セルシン変換器(JS)の動作原理
セルシンの構造は、図1のように中心に回転可能なコイルがあり、その周りに120°の間隔で配置されたコイルがあります。中心の一次コイルには交流電流が流れ、これにともない周囲の二次コイルには交流電圧が発生します。この電圧は、中心の一次コイルの角度位置に従って変化します。セルシン変換器(JS)は、この3つの周囲コイルの交流電圧を受け取り、セルシンと同じ交流電源を使って同期整流を行います。そして、マルチプレクサを経てCPUに入力します。CPUは、この3つの電圧をX−Yの直交成分に分解します。次いで各々の成分を加算することによってX成分、Y成分を求め、ROMのデータテーブルから回転角度を算出します(図3)。

セルシン変換器(JS)の機能・特徴
• セルシン発信機の角度信号をリニアな計装信号に変換します。
• 入力のゼロ点調整は、前面のトリマで0~360°の範囲で行えます。
• 角度スパンは、プログラミングユニットにより60~360°の範囲で設定できます。
• 既設のセルシン受信機のゼロ、スパンを見ながら調整できます。
• 最大16折れ線のリニアライザ機能を使って、セルシン発信機の巻き線に生じる微妙なノンリニアも高精度に補正できます。
【(株)エム・システム技研 システム技術部】