あけましておめでとうございます。 日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行の三行の持株会社の誕生、住友銀行とさくら銀行の合併といよいよ金融界の再編が始まりました。そして、ルノーと日産合併で代表される大手企業の生き残りをかけたリストラ戦略の発動へと世の中は激しく動き出しました。 これで大企業は体力を回復して21世紀へと再出発するでしょうが、後に大量 の失業者を吐き出すことになるものと思われます。 この失業者の多くは大手企業に入社し、出世街道を進むために学歴を重ねた人たちであるとすると、この中から自力で事業を興すベンチャー企業がどれだけ出てくるかが、問題解消の決め手になると思うのですが、その動きはまだ見えてきていません。 エム・システム技研は1972年に電子式計測器用避雷器の総合メーカーを目指して起業しました。次に、プラグイン式の変換器の開発を通 して変換器の総合メーカーを目指しました。避雷器も変換器もその後業界の認知を得て、10年間に100倍という高度成長を遂げ、こんなに大きな需要があったのかと驚きました。 中小企業でも一点集中で、計装機器の中では未だに補助機器と位置付けされている変換器を作っているわけですが、当初は、PIDコントローラやDCSなど主要装置の付属機器と位 置付けされているものだけを造っていて、世間様に買っていただけるかどうか、とても見通 せるものではありませんでした。 当時、大手の計装メーカーでも変換器の開発設計を担当する人は高々2~3人だということはよく知っていましたので、多少の勝算はあったのですが、こんなにうまくゆくとは思いませんでした。 マンマシンインタフェースとして安価で高性能なパソコンを利用するのが常識化し、大抵の計測器に必要な機能を実現するシステムLSIは1,000円くらい出せばいくらでも手に入るようになり、新しいベンチャー企業が出現する条件が今ほど整っている時期はないと思うのですが、その姿をまったく見かけることがないのが私には不思議に思えます。 1999年10月に行われたISAのカンファレンスからのレポートによりますと、最近のDCS本体は掌に載る程度の100万円は超えないコントロールユニットと、その周辺に上位 の高速イーサネットバスと下位のオープン化された各種のローカルバスをつなぐI/Oで形成されており、マンマシンインタフェースにはパソコンを必要台数だけつなぐことができ、中味ソフトはソフト専門メーカーの市販品が使われているそうです。 結局大手の計装メーカーの仕事は製鉄、化学、石油、電力、製紙、水道、ガスなどのプラントを含む工場一括の制御・監視・操業システムの提案、システムインテグレーション、運転立上げ、メンテナンスであり、使用する機器はオープン化された通 信ネットワーク機能を装備した専門メーカーの製品を買い集めて、心臓部だけを自社生産する形になってゆくようだと伝えています。 2000年はエム・システム技研にとって新しい市場を手に入れる絶好のチャンスといえます。オープン化された通 信機能はほぼマスターしましたし、その各種通信機能を装備したリモートI/Oが続々と完成時期を迎えています。 これからの新しい事業として、流量計や分析計のほか、コントロールバルブなどの現場機器の専門メーカーの方々に、通 信機能を組込用モジュールにして提供する事業に力を入れてゆこうと考えております。 ふりかえってみますと、この50年は計装にとって、空気圧式制御機器の時代に始まり、電子式制御機器の時代を経て、DCS全盛期を迎え、今その次のオープンネットワークの時代に入ろうとしています。 時代の変わり目毎に多くの企業が消え、新しい企業がのし上がってきました。今この大きな潮目を迎えて、本当にわくわくする思いです。 今年は近年にない良い年になりそうに思います。そのあたりの事情を『エムエスツデー』でお伝えすることができれば素晴らしいと考えています。本年もよろしくご愛読の程をお願い申しあげます。 ■
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