2000年7月号

リモートI/Oユニット R1Xシリーズ

㈱エム・システム技研 商品企画室長
 
は じ め に
 PCレコーダの新シリーズとしてデビューしたR1Mシリーズ(本誌 2000年 5月号 、および 6月号参照)は、おかげさまで大変ご好評をいただいております。
 R1MはPCレコーダ用の入出力ユニットとして販売されていますが、そのプラットホームとなるハードウェアについては、ネットワーク通信対応のリモートI/O装置(仮形式:R1Xシリーズ)として多目的に活用されることを前提に設計を始めました。本稿では、R1XシリーズのリモートI/O装置としての製品コンセプトと将来構想についてご紹介します。

1.リモートI/O装置のメリット
 従来、DCSやPLCの入出力装置(入出力カードおよび信号変換器)は、心臓部となる制御用CPUと同一のキャビネット、もしくは隣接するキャビネットに集合実装され、現場からの配線がそこに集中して敷設されるのが一般的でした(図1参照)。しかし近年に至り、通信規約が公開された、いわゆるオープンフィールドネットワーク(フィールドバスと同義語)が普及し始め、DCSやPLC、あるいはパソコンの入出力装置として、オープンフィールドネットワークに接続されるリモートI/O装置が数多く登場してきました。リモートI/O装置は、現場に分散配置して、DCSやPLCとは通信ケーブルだけでマルチドロップ接続することが可能です。このため、現場の省配線が図れるだけでなく、装置収納盤の小形化、簡易化にもつながります。またDCSやPLC側についても、従来の入出力カードや信号変換器に代えて、ネットワークの通信ユニットだけで済むため、トータルコストの大幅な低減が図れます(図2参照)。最近は、リモートI/O装置との組合せを前提とした、極めて高性能、かつコンパクトでコストパフォーマンスの高いDCSも発表されています。

2.リモートI/Oユニット R1Xシリーズ
 リモートI/Oユニット R1Xシリーズは、次世代を担うI/O装置として下記の製品コンセプトに基づき設計されています(概略仕様については、表1参照)。
 (1)コンパクト、軽量設計
 前述したように、リモートI/Oは現場で分散設置するのが前提です。小形の壁掛け盤や、ケースにも取付けられるように、極力コンパクト、軽量設計としました。また、DINレール取付けやネジによる壁面取付けを想定し、設置面積が少なくなるような形状にしています。さらに、各種耐環境性にも配慮した設計としました。
 (2)マルチ(多点)入出力、ユニバーサルレンジ
 アナログ入力ユニットは、1台当たり16chもしくは8chのマルチ入力として、ch当たりのコストを抑えると同時に通信効率の向上を狙いました。また、直流/熱電対入力用モデル、測温抵抗体/ポテンショメータ入力用モデルについては、PCプログラマブルのユニバーサルレンジ設定を実現しました(ch毎に独立してレンジ設定が可能です)。
 その他、接点入出力ユニットや、アナログ出力ユニット(開発予定)、入出力混在ユニット(開発予定)をラインアップし、各種のフィールド信号に対応したインタフェースになります。
 (3)各種オープン・フィールドネットワーク対応
 現在、世界中で協会規格やデファクトスタンダードとして様々なオープンフィールドネットワークが発表されています。最近でも、IEC61158のフィールドバス規格として、8種類ものプロトコルが認定されました注1)。どの規格も、国や業界によって、普及状態がそれぞれ大きく異なるのが実状です。エム・システム技研では、ニーズに応じて 、あらゆる規格に対応する製品をラインアップする姿勢で取り組んできました。R1Xシリーズでは、比較的古くから汎用的に普及しているModbusの対応品から発売しました(PCレコーダ用のR1MはModbus対応です)。今後、順次DeviceNet、CC-Link、Ethernet(TCP/IP)、PROFIBUS、L-Bus(EthernetをベースとしたMsysNet用制御Bus)対応の製品をラインアップして行く予定です。
 (4)OPCサーバ
 OPCとは、マイクロソフト社のオブジェクト技術 OLE/ActiveXを利用した、アプリケーションソフトの相互接続を簡便化する技術です注2)。
 OPCでは、データを提供する側がOPCサーバ、情報を利用する側がOPCクライアントになり、両者が共通のOPCインタフェース仕様に基づいたデータの授受を行います。OPC技術により、種類やメーカーが異なる機器の間でも容易に情報交換が可能になり、本格的なマルチベンダー環境が実現されます(図3参照)。最近、パソコン用HMIソフトやデータベースソフトとして、またリモートI/O装置のドライバインタフェースとして、欧米市場で急速に普及し始めています。通常、リモートI/O側がOPCサーバになり、OPCインタフェースソフトをパソコン側に提供して、インタフェースを行います。R1XシリーズでもOPCサーバを開発中であり、ハードウェアのオプション製品として準備する予定です。

お わ り に
 エム・システム技研では、かねてよりフィールドネットワーク時代の到来を予測し、ネットワーク対応のマルチアナログ伝送器(形式:M2BD、M2BC)をいち速く発売しました。さらに、従来形変換器をネットワークに接続する60・UNIT、本格的リモートI/OスーパーフレックスM9シリーズなどを次々と発表してきました。このたび、さらにR1Xシリーズを加わえ、お客様にとってリモートI/Oがより身近な使いやすい製品になるよう願っています。今後、ネットワークDCSやソフトPLCの台頭に伴い、市場ではリモートI/O装置が加速的に普及するものと予想されます。エム・システム技研では、R1Xシリーズの充実と並行して、さらに新製品の追加も予定しており、従来製品と併せてお客様のあらゆるニーズにお応えして行きたいと考えています。    ■


注1)IEC61158規格として、以下のフィールドバスが承認されています。
FOUNDATION Fieldbus H1/FOUNDATION Fieldbus HSE(High Speed Ethernet)/PROFIBUS-DP/ControlNet(DeviceNetの上位)/Interbus-s/WorldFIP/P-Net/SwiftNet
注2)国内市場では日本OPC協会(OPC-J)が中心となって、普及活動を行っています。

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