2000年12月号

SS無線対応
MsysNetスーパーテレメータシステム

㈱エム・システム技研 商品企画室長
 
は じ め に
 エム・システム技研では、電話回線を利用するMsysNetスーパーテレメータやジャストフィットテレメータなど、小形で高機能かつコストメリットの高いテレメータ製品を数多く市場にご提供して参りました。また、近年の情報インフラの著しい発展に伴い携帯電話やPHSに対応したテレメータシステムもラインアップに加えています。
 一方最近は、許認可が不要で基本料金や通話料金がかからない特定小電力タイプ(送信出力が10mW以下)の無線通信機が、様々な用途において急速に普及し始めました。
 このたびエム・システム技研では、特定小電力無線の一種であるSS(Spread Spectrum=スペクトラム拡散)無線通信方式に対応したMsysNetスーパーテレメータを開発しました。本稿でその概要をご紹介します。

1.SS無線通信方式の特長
 SS無線通信方式は、2.4GHz帯という高い周波数帯域を使用します。この帯域は、背景となるノイズ源が基本的に少ない、クリーンな電波環境であるといえます。また、SS無線では信号が26MHzという広帯域に拡散しており(図1参照)、送信出力が電力密度(10mW/MHz)で規定されているために、実効的な送信出力を大きくとることができます。このようなことから、応用上以下に挙げる特長があり、計装分野でのデータ通信に適しているといえます。
 ①雑音、妨害に強い
 ②サービスエリアが広い注)
 ③秘話性が高い(拡散符号を使用)
 ④高速データ通信が可能

2.SS無線対応MsysNetスーパーテレメータ
 図2にSS無線対応MsysNetスーパーテレメータのシステム構成例を示します。本例におけるシステムの機能を以下に簡単に説明します。
 システムの核となるのが、モデムインタフェース(形式:SMDM)と無線データ通信モデム(形式:RMD、図3参照)です。子局側のSMDMは、リモート入出力ユニット(形式:SML)とネットワーク(NestBus)で接続され、アナログ信号やデジタル信号のデータ収集や送出を行います。同時に、SMDMはRMDに接続され、RMDに対しこれらのデータを伝送するための通信制御を行います。RMDはSMDMからの制御手順に従って、SS無線方式によるデータの送受信を行います。基地局側には、子局側に対応するRMDとSMDMが設置され、子局側と同様な方法でデータの授受を行います。つまり、SMDMとRMDは専用回線電話と同等な機能をSS無線を媒体として実現します。基地局側ではMsysNetの環境をそのまま利用することができ、HMIソフトウェア 監視 操作ソフト(形式:SFDN)による監視・操作と帳票作成が可能です。
 なお、入出力点数には制限がありますが、入出力ユニットとモデムインタフェースの機能を併せたI/O一体形モデムインタフェース(形式:SMM)も同時にラインアップしています。これを利用することによって、よりシンプルなシステムを実現できます。SMMとRMDの組合せによる、SS無線対応データ伝送装置の構成例を図4に示します。なお、SMMとRMDの組合せを図2における子局側に適用することも可能です。
 図2、図4に示したの例は基地局と子局が1:1のデータ伝送の例ですが、1:Nのデータ伝送用機器についても、来春の発売を目指して、現在開発中です。

3.SS無線対応MsysNetスーパーテレメータの応用例
 SS無線対応通信方式は、前述のように免許が不要であることやランニングコストがかからない点、また携帯電話やPHSの通話圏外でも使用可能である点などのメリットから、様々な分野での応用が期待できます。そのいくつかを以下に列挙します。
 (1)河川をまたいだデータ伝送や山間部でのデータ伝送
 (2)構内の建家間での通信
 (3)電気・計装盤間渡り配線の無線化
 (4)移動体からのデータ収集
 (5)仮設設備でのデータ伝送

お わ り に
 PCと端末機器を無線で接続するためのワイヤレス通信技術“Bluetooth”やNTT DoCoMoのDoPa網によるフィールドデータ収集システムなど、最近の無線技術に基づくデータ通信機器の進歩には眼を見張るものがあります。このような情報インフラの充実は計装の分野から見ても大変歓迎すべきことであり、ワイヤを使う従来の有線信号伝送手段に革命的な変化をもたらす可能性があります。
 今後もエム・システム技研では、このような技術動向や市場性をいち早く、的確に把握し、ユーザー各位にとって利用価値が高く、また使いやすい製品をご提供できるよう鋭意努力して参ります。どうぞ、ご期待ください。      ■


注)SS無線は、高い周波数帯域を使用するため電波の直進性が強く、屋外で距離が離れるほど見通し外での減衰が大きいため、使用上注意する必要があります。通信距離は基本的に、屋内で約240m、屋外見通しで約1.2kmまでですが、受信用に高利得アンテナ(オプション)を併設することによって、さらに通信距離を延長することが可能です。詳細については、エム・システム技研ホットラインまでお問い合わせください。

MsysNetは、エム・システム技研の登録商標です。
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