2001年1月号

高速PCレコーダソフト
(形式:MSR16H)のご紹介

㈱エム・システム技研 技師長
 
は じ め に
 エム・システム技研は、市販のWindows パソコン(以下PCと呼びます)を主構成要素とする工業用レコーダを、PCレコーダと名づけて市場に供給する方針をとっています。
 PCレコーダでは、バス接続された信号入力装置からPCが測定データを読み込み、CRTや液晶ディスプレイ上にリアルタイムにプロット表示すると同時にハードディスクに格納します。また、アラーム監視機能を使う場合は、バス接続された警報信号出力装置を併用します。
 つまり、エム・システム技研はPCに簡便に接続できて低価格で高機能を発揮するプロセス信号入出力装置と、PC上で動作してレコーダ機能を実現するアプリケーションソフトの開発、供給を担当しています。
 このようにする理由は、PCの普遍性および日進月歩の高性能化/低価格化と、エム・システム技研の長年の工計市場での経験を組み合わせることが、これからのレコーダユーザー各位に最大の利便性をもたらすと判断するからです。
 このような考えに立って、現在 PCレコーダソフト(形式:MSR32) を開発してお客様各位にご使用いただいています。PCレコーダは市販PCとエム・システム技研の小形/低価格/高機能プロセス入出力装置(形式:R1M注))、および同じくPCレコーダソフト(形式:MSR32)によって構成されています。PCとR1Mを接続するバスは業界標準のModbus RTUです。
 MSR32はアナログ入力、デジタル入力あわせて32点の収録と画面プロットを最短0.5秒周期で行うことができます。大部分の工業用レコーダの用途に対しては十分な速度ですが、一部のお客様からは0.1秒程度の収録と画面プロット速度をご要求いただいています。
 これには、次に挙げるような理由が考えられます。
 ●解析能力に富むPCが直結した製品構成であるため、プロセスの定常運転管理用としてだけでなく、プロセスの実験/解析、過渡現象捕捉、精密観察などにも使いたい。
 ●プロセスオートメーション(PA)とファクトリーオートメーション(FA)の境界がなくなりつつある今日、FAの用途にも期待されはじめている。FA関係の現象は概してPA関係の現象より高速である。
 今回このような状況に対応して、収録と画面プロット速度を0.05秒(50ms)、0.1秒(100ms)、0.5秒の3種類から選択できる高速PCレコーダソフト(形式:MSR16H)を発売しました。

1.MSR16Hの概要
 本ソフトはWindowsNTまたはWindows2000搭載のPCとR1Mを組み合わせて使用します。
 収録点数は、収録速度0.05秒では8点、収録速度0.1秒と0.5秒では16点です。画面上へのプロット表示も、PCのグラフィック機能を用いて0.05秒/0.1秒/0.5秒ごとにリアルタイムに行います。
 データ収録方式としては、連続収録のほかに、R1Mのトリガー接点入力信号による自動収録とトリガー収録の3方式を備えています。
 ●手動連続収録:使用者が画面上の開始ボタンを押してから終了ボタンを押すまでの間、連続して収録します。
 ●自動連続収録:R1Mのトリガー接点入力信号がオンの間またはオフの間、連続収録と同様の収録を実行します。外部から収録の開始・終了をコントロールすることができます。
 ●トリガー収録:R1Mのトリガー接点入力信号の立上がり、または立下りのタイミングをとらえて、それ以前の直近のデータと直後のデータを収録して1つのデータファイルとして格納します。直近のデータの個数はプリトリガーパラメータで、直後のデータ個数はポストトリガーパラメータで指定しておきます。これによって、注目する事象発生の前後において必要個数の連続データが収録できます。
 MSR16Hは、ユーザーが指定したデータ格納用フォルダ内に収録データファイルを作ります。ユーザーは収録終了後、MSR16HのCSV変換機能を使ってそれをCSV表現ファイルに変換します。できたCSVファイルはExcelに読み込むことができるので、Excelで演算、解析、グラフ化、印刷記録、帳票化、データベース化などのアプリケーション処理を自在に行うことができます。またExcelにかぎらず、CSVファイルを読むことができる多くの市販アプリケーションソフト(たとえばS-PLUS、HP VEEなど)を用いてMSR16Hが収録したデータを広く活用することができます。

2.画面
 ①レコーダ画面
 高速PCレコーダの主画面です。画面の体裁と各部の機能を図1に示します。
 ●時間軸
 データプロット領域の時間幅は、下記から随時選択切替え可能です。
 0.05秒収録の場合:
  32秒、64秒、128秒、256秒
 0.1秒収録の場合:
  64秒、128秒、256秒、512秒
 0.5秒収録の場合:
  320秒、640秒、1280秒、2560秒
 ②システム設定画面
 主画面から呼び出して、次に挙げる各種動作を行います。
 ●収録周期(0.05秒/0.1秒/0.5秒)の選択
 ●収録モード(手動連続/自動連続/トリガー)の選択
 ●トリガー収録におけるプリトリガー収録数、ポストトリガー収録数の指定
 ●収録データファイルを格納するフォルダの指定
 ③ ペン設定画面
 主画面から呼び出して、そのペンに対応する入力信号について、次の各種項目の設定を行います。
 ●タグ名 ●工業単位 ●入力レンジ ●実量変換のためのスケール上限値、下限値

お わ り に
 21世紀を迎えて、PCの著しい高速、高機能、低価格化が進んでいることは皆様ご承知の通りです。これに加えて、PCハードウェアとOSの高信頼化にもめざましいものがあります。また、産業用I/O機器をつなぐ高速フィールドネットワークも十分実用の時代に入っています。
 ご紹介したエム・システム技研PCレコーダは、①これらPCと、②フィールドネットワーク、③プロセスI/O機器、④これらの上に業務用ソフトとしてのレコーダ機能ソフト、以上の4要素を配置した構成になっています。そして、上に述べたPCの高信頼化、ネットワークの実用化を利用して、さらに高度な監視/制御/操作機能ソフトを配置することも十分実用の域に来ているように思われます。これらが実用化されれば、計装システムは著しく簡潔かつ低価格で融通性に富むものになります。
 エム・システム技研は、21世紀においても、関連技術と市場の動向を正しく把握し、お客様が易しく使いこなせる計装部品を開発し、ご提供して行く所存です。   ■
 E-mail:kawashima@m-system.co.jp

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