2001年5月号 | |||||||
Application Note ーこんな使い方がありますー | |||||||
アナログバックアップ(形式:JB) | |||||||
今回は、前回の「コンピュータバックアップ(形式:CB)」に続いて、「アナログバックアップ(形式:JB)」をご紹介します。CBは、PLCなどからの制御信号(接点信号)を受けて、アナログ信号に変換して出力するとともに、PLCの異常時には、その異常信号を受けて自らバックアップ信号を発生する変換器でした。これに対してJBは、アナログ入力/アナログ出力のバックアップ変換器です。つまり、JBがバックアップする上位の制御機器は、アナログ出力の調節計です。 電子技術の発達に伴い、工業計器と同等の高い調節機能をもった装置用調節器が、安価かつ容易に入手できるようになりました。しかしコスト重視のため、これらの調節器には、マニュアル機能やバックアップ機能をもつ製品はほとんど見あたりません。このような調節器は食品や薬品などの製造装置、あるいは空調設備などに採用されるケースが多いようです。装置や計装を設計するとき、すべての制御ループにバックアップ機能が必要ということではありませんが、特定の重要制御ループにはバックアップ機能が欲しい、という場合が少なくありません。たとえば、装置の中心になっているボイラやコンプレッサの制御には、万一の場合を考え、バックアップ機能の付加が希望されます。このようなとき、その制御ループだけにJBを組み込んでバックアップ機能を追加することにより、効率的に装置全体の信頼性を上げることができます。 図1にJBの仕様と外観を、図2にそのブロック図を示します。図2でわかるとおり、自動運転(CAS)モードのとき、入力信号はリレー回路を通してそのまま(スルーで)出力されます。これは、中間に余計な回路を入れず、ループ全体の信頼性を上げるためです。前回ご紹介したCBと同様、自動運転時には上位の調節器の信号を出力し、手動運転への切替えは外部からのMAN信号によって行われます。調節器もしくは装置の故障信号をMAN信号として使用すれば、故障時に自動的に手動運転に切り替えることができます。 なおJBには、CBになかった次の機能があり、選択可能です。 ●手動運転切替え時の出力モード設定 ①手動運転切替え時よりある時間だけさかのぼった時点での出力値を、まず出力します。すなわち、この出力値から手動運転を始めることになります。このさかのぼる時間を遡及時間といいます。遡及時間は、「プログラミングユニット(形式:PU-2A)」を用いて設定します。 ②あらかじめ設定しておいた、ある一定値を出力します。 ●スライドバック動作 手動運転から自動運転に切り替えた場合、JBの出力値が上位の調節計の出力値に徐々に近づいて行き、両方の出力値が一致したところで自動運転に切り替わります。このため、制御ループに大きな変化を与えず、安全に自動運転に切り替えることができます。JBの出力値が変化する速度も、前述の遡及時間と同様PU-2Aを用いて設定します。以上説明したように、ある特定の重要ループだけにバックアップ機能をもたせたい場合に、JBは大変便利な変換器です。なお同様な製品として、パネル形指示付きのアナログバックアップ(形式:ABF)、出力によって直接電動弁を操作できるポジショナバックアップ(形式:ABM)、また入力信号と出力信号を自由に選択できるアナログバックアップ(形式:AB)などもあります(図3)。バックアップ用の機器をお探しの際は、どうぞエム・システム技研の「バックアップ変換器」を、まずご検討ください。 ■
|
| ||||||
|