2001年5月号

四則演算器いろいろあります

(株)エム・システム技研 大阪営業部
 
は じ め に
 プロセス制御における測定変量である流量、温度、圧力、レベルなどの信号に対して、四則演算(加算、減算、乗算、除算)を行う場面が数多く見受けられます。
 エム・システム技研では、このような需要に合わせて各種の演算器を用意しています。今回はこの四則演算器について、お客様からホットラインにお問合せいただいた事例をまじえて、ご紹介します。

1.アナログ式加算器(形式:ADS)
 ADSは、スケーリングができる加算器です。代表的なアプリケーションとして、2系統の流量信号を加算し、合算流量を求めることができます。このとき、それぞれの流量信号のゼロ点やスパンが異なる場合でも、演算式の係数を選択することにより統一スケールに換算することができ、同時に出力信号のスケーリングも実施できます。
 たとえば、入力1:0~150m3/h、入力2:0~200m3/h、出力:0~300m3/hの場合、出力指示の最大値300m3/hに対して、入力1、入力2の最大値の割合はそれぞれ0.50、0.67です。したがってADSにおける演算式は、出力=0.5×入力1+0.67×入力2になります。
 ADSは、平均値の演算器にもなります。「温度信号の分布を計測するために、2系統の温度信号の平均値を求めたい」というご質問をよくいただきます。“平均演算器”という名称は付けていませんが、この加算器は上記の演算式でも分かるとおり、2入力の平均値を求めることができます。
 入力1:0~100℃、入力2:0~200℃、出力:0~150℃であるとき、出力=0.33×入力1+0.67×入力2という演算によって平均値が得られます。

2.アナログ式減算器(形式:SBS)
 SBSは2つのアナログ信号を受信し、それらの差に比例する信号を出力します。そのアプリケーションとしては、温度差、流量差などの演算が挙げられます。
 具体的には、熱交換器への適用があります。熱交換器の入口・出口の温度差を求め、熱消費量演算のパラメータ(流量×温度差)として使用します。

3.デジタル式乗算器(形式:MLS)
 MLSによって、直流電力の演算ができます。直流の瞬時電力をV×Iで求めることができます。蓄電池を電源とする電気設備の電力監視において役立ちます。
 またMLSを使えば、外部信号設定形の比率設定が行えます。比率変換器としては、前面設定形の製品(形式:REBS、RTSなど)を用意していますが、お客様からのお問合せには、「遠方からの外部信号によって比率を変更したい」とのご要望がよくあります。制御対象からの信号と外部信号を、MLSを使って乗算することにより、リモートゲイン調整が行えます。
 MLSでは、入力信号1、2の信号の種類を個別に選択できます。電流、電圧信号ともに、豊富な種類の信号から第1入力、第2入力として個別にお選びいただけます。

4.デジタル式除算器(形式:DIS)
 DISによって空燃比演算が行えます。燃焼制御の要となる空燃比演算を、空気流量と燃料流量の信号を入力として行うことができます。
 また、DISを使うことによって、2液混合プロセスでの比率演算、薬注制御プロセスでの注入量演算が行えます。

5.スペックソフト形デジタル式演算変換器(形式:JF、JFK)
 四則演算それぞれの単一機能用変換器については、前述したとおりです。しかし、単一の機能では、お客様の仕様を満足できない場合も多々あります。このような場合に対応できる変換器が、JF(2入力)、JFK(3入力)です。これらの変換器では、用意された豊富な種類の演算式の中から選択できます。また、ゲイン(係数)以外に、それぞれの入力に希望のバイアスを付けて演算を行うこともできます。なお、スペックソフト形になっていますから、プログラミングユニットを使うことによって演算式、ゲイン、バイアスのすべてを現場にて設定することができます。
 JFKの演算式としては、3入力で考えられる加減乗除すべての演算式を用意しています。
6.MsysNetシステム
 ワンループコントローラ(形式:AB□)やリモート入出力ユニット(形式:SML)など、各種のユニットに約50種類のソフト演算器を登載して、最大32個を組み合わせてご使用いただくことができます。
 たとえば、入出力がAi4、Ao4であるリモート入出力ユニット(形式:SML-R3)の場合、それ1台で最大4点の入力信号を受けて、最大値、最小値、平均値などの演算結果を出力することが可能です(ただし、この場合ビルダーソフト(形式:SFEW)などが必要になります)。

お わ り に
 ここにご紹介した演算変換器のほか、自動制御システムの構成要素として不可欠な、様々な信号変換器を用意しています。また、エンジニアの方が、システム立上げ最終工程確認時に、その機能の必要性に気付いたり、演算式の変更が求められたりして、急に新たに変換器が必要になることがあるかと思われます。お客様の要求される納期に間に合わなければ、どんなに優れた商品でも絵に描いた餅です。エム・システム技研では、標準納期を4日間としていますが、特別にお急ぎの場合は、限定された機種については翌日、あるいは当日の出荷対応が可能です。ご必要に応じ、ぜひホットライングループまでお問合せください。   ■

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