2001年6月号

寿命モニタ機能付避雷器

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 エム・システム技研では、1973年に電子機器専用避雷器を発売して以来、28年間にその累積出荷台数は80万台に達しています。これは、計装設備や遠隔監視設備などの設計・維持管理にあたる方々から、多大のご支持をいただいてきた表れと深く感謝しています。
 一方、このような維持管理を担当される方々から、「避雷器は、雷が起こす突然の障害から設備を守り、大いに役立っているのだが、雷シーズンの後や年に1回の定期点検時に、避雷器がその性能を維持しているかどうかのチェックに手間がかかる。これを何とかできないか。」というお言葉を、よくいただいてきました。今回、このようなご要望にお応えすべく、寿命モニタ機能付 電子機器専用避雷器(形式:MDM2A、MAA)を発売することになりましたので、その機能と特長および主な仕様について、ここにご紹介します。

1.機能と特長
 ●信号ケーブルや電源ケーブルに接続された電子機器を、雷サージから保護します。
 ●雷サージによる避雷器内部素子の劣化や寿命を検知し、モニタランプで表示するとともに、リレー接点で警報を出力します。
 寿命モニタ機能付避雷器は、避雷器の主構成素子である放電素子と電圧制限素子の両方について寿命や劣化を検出します(図3、図4)。
 放電素子の寿命判定:放電素子の寿命は、受けた雷サージの放電電流の大きさや回数によって異なります。しかし、大半の雷サージはせいぜい500A程度であるため、その回数を数えることにより寿命を知ることができます。寿命モニタ機能付避雷器ではこの仮想寿命を400回と定め、放電素子の放電発光を光センサで検知し、390回でモニタランプが橙色に点灯するとともに接点警報を出力します。その後400回に達すると、モニタランプは赤色に変わります。
 電圧制限素子の劣化判定:電圧制限素子は、半導体を使用しているため、度重なる雷サージを受けると徐々に漏れ電流が増加する傾向を示します。そこで、電子回路によって漏れ電流を検出し、信号用避雷器では計測信号の精度に影響する約7.5μA(電源用避雷器ではAC3mA)に達すると劣化したと判断し、モニタランプが赤色に点灯し、接点警報を出力します。

2.主 な 仕 様
(1)信号用避雷器(MDM2A)

●機器仕様
 構 造:薄形プラグイン構造
 ハウジング材質:難燃性黒色樹脂
 警報接点:放電素子および電圧制限素子の劣化時、または寿命到達時にON(B接点)
 ●定格負荷:
 AC125V/0.5A、DC30V/1A
 ●最大開閉電圧/電力:AC125V/62.5VA、DC110V/30W
 異常表示ランプ
 ●RUN:緑色LED
 補助電源供給時に点灯
 ●ALARM(ALM):正常時には消灯
 放電素子が仮想寿命に達するまでの残りサージ回数が、あと10回以下になると橙色に点灯
 サージ吸収素子の劣化時または放電素子の仮想寿命到達時に赤色に点灯
 劣化判定:サージ吸収素子の漏れ電流値が約7.5μAで劣化と判定
 寿命判定:放電素子の放電回数が400回になった時点で寿命と判定
●設置仕様
 供給電源
 ●交流電源:AC85~264V
 AC100Vのとき 約0.6VA
 AC200Vのとき 約1.5VA
 ●直流電源:R :DC24V±10%
   R2:DC11~27V
   P:DC85~150V
●性 能
 放電開始電圧(波高値)
  線間:DC30Vmin.(MDM2A-24-□)
      DC70Vmin.(MDM2A-65-□)
  線-接地間:±290Vmin.
 制限電圧
  線間:DC45Vmax(MDM2A-24-□)
     DC85Vmax(MDM2A-65-□)
  線-接地間:±650Vmax.
 応答時間:0.1μs
 放電耐量:5000A(8/20μs)
 最大負荷電流:100mA
 内部直列抵抗:約20Ω
 洩れ電流:
  線間、線-接地間:5μA max.
  DC30Vにて(MDM2A-24-□)
  DC70Vにて(MDM2A-65-□)
 最大線間電圧:
  30V(MDM2A-24-□)
  70V(MDM2A-65-□)

(2)電源用避雷器(MAA)

●機器仕様
 構 造:プラグイン構造
 警報接点:放電素子および電圧制限素子の劣化時、または仮想寿命到達時にON(B接点)
 ●定格負荷:
 AC125V/0.5A、DC30V/1A
 ●最大開閉電圧/電力:AC125V/62.5VA、DC110V/30W
 異常表示LED
 ●RUN:緑色LED
 ラインが活線状態時に点灯
 ただし、安全保持ヒューズ断時に消灯
 ●ALARM(ALM):橙色/赤色
 放電素子が仮想寿命に達するまでの残りサージ回数が10回以下になると、橙色に点灯
 電圧制限素子の劣化時または放電素子の仮想寿命到達時、赤色に点灯
 劣化判定:電圧制限素子の漏れ電流値が約AC3mAになったとき、または安全保持ヒューズの溶断時に劣化と判定
 寿命判定:放電素子の放電回数が400回に達したとき、寿命と判定
●設置仕様
 仕様電圧範囲
  AC90~121V(MAA-100) 
  AC180~242V(MAA-200)
 消費電力:約2VA
●性 能
 ●線 間
 動作開始電圧(波高値)
  190Vmin.(MAA-100)
  410Vmin.(MAA-200)
 制限電圧
  350Vmax.(MAA-100)
  700Vmax.(MAA-200)
 放電耐量:1000A(8/20μs)
 漏れ電流(消費電流)
  26mA(MAA-100)/AC100Vにて
  13mA(MAA-200)/AC200Vにて
 負荷電流:AC5Amax.
 直列抵抗:0.5Ω以下(往復2線)
 ●線-接地間
 放電開始電圧(波高値):800Vmax.  (被保護機器の回路-筺体間の耐電圧がAC1000V以上の機器に使用できます)
 放電耐量:10000A(8/20μs)
 漏れ電流:0.1mA max.(AC300Vにて)
 応答時間:10ns以下

お わ り に
 エム・システム技研の寿命モニタ機能付避雷器については、2001年7月の受注開始を予定しています。ご不明な点などがございましたら、エム・システム技研ホットラインまでお問合せください。  ■

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