2001年6月号

リニューアルした新型テレロガー)

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 電話回線を使って、遠隔地にある現場設備の監視と管理を行うことを目的に開発されたフィールドデータロガー テレロガーは、発売以来、4年が経ちました。その間、異常通報とデータ収集が1台でできるという特徴的な機能に加え、筐体がコンパクトでわずかなスペースにも取り付けることができるという利点が評価され、マンホールポンプの監視をはじめ、多くのアプリケーションにご採用いただいてきました。なお、この間に多くのユーザーの方々から寄せられたご意見をもとにして、ハードウェアならびにソフトウェアの機能を大幅に向上させ、リニューアルした新型テレロガー(形式:TLX1)の販売を始めることになりました(図1、図2)。
 新型テレロガーの基本的設計思想や外形寸法は従来製品と同じです(本誌1997年2~4月号参照)。さらに、新型テレロガーは従来製品の機能をそのまま受け継ぐとともに、新機能を付加しているため、パソコン側の監視ソフトなど、従来製品で築き上げたソフトウェア資産やノウハウをそのまま使うことができます。
 ここに、今回新たに加えた機能を中心に、新型テレロガーの概要をご紹介します。

1.ファックスによる帳票出力
 従来のテレロガーで日報、月報といった帳票を作成するには、パソコンが必要でした。新型テレロガーには、パソコンを使用せず、テレロガーから電話回線を経由して、指定したファックスに直接、日報、月報、デマンド報といった帳票を出力することができる“ファックス帳票機能”を新たに追加しました(図3)。この結果、数か所のマンホールポンプだけを監視するような比較的簡単なシステムでは、パソコンや帳票作成用ソフトなどを用意しなくても、日報、月報が簡単に作成できます。
 ファックス帳票機能は、新型テレロガー用のビルダーソフトを使用して、簡単に設定することができます(A4の固定フォーマット。図4~7)。
 日報、月報は、指定した時間に、自動的にファックスへ送られます。また、電話を使って要求した時点の計測データを、ファックスに通報させることができます(デマンド報)。さらに、テレロガー本体に、日報は当日を含めて3日分、月報は当月を含めて2か月分保存されています。したがって、電話を使用してこれら保存されている帳票データをファックスさせることもできます。
 このように、パソコンを使用せずに、テレロガーから直接、帳票をファックスへ送ることができますが、パソコンを使用すると、より便利になります。今回の機能追加では、上位パソコンからテレロガーに対して各種データを要求するコマンドが用意されていますが、新たに帳票データを要求するコマンドが追加されました。このコマンドを使用すると、複数のテレロガーから帳票データを収集できます。それをパソコン側で加工することによって、複数台のテレロガーの帳票データを1つの帳票としてまとめることができます。

2.通報先の選択
 夜間や休日のような普段とは異なる勤務形態になるときには、音声などによる異常通報先を変更したいということがよくあります。今回の機能追加の結果、時間帯あるいは曜日や特定日を指定することによって、通報先を変更することができるようになりました。したがって、通常の勤務時間帯には設備管理担当者へ、夜間や休日のときには契約メンテナンス会社へと、自動的に通報先を変更できます。
 この通報先選択の設定も、ビルダーソフトで簡単にできます。従来からあった事象リスト設定画面に、「夜間・休日連絡先」が追加されました(図8)。そして、夜間・休日を設定するカレンダ画面が新たに用意されました(図9)。このカレンダ画面では1年分の設定ができます。また、変更しなければ、翌年以降もそのまま同じ設定で通報先の選択が行われます。
 夜間や休日の通報先は、警報(事象)が発生した時点で判断されます。したがって、リダイヤル中に時間帯が変わっても、通報先の変更はありません。

3.ISDNデジタル回線に直結
 テレロガーは、トレンドデータ保存用のメモリを搭載することによって、現場施設で発生する各種計測データを収集・保存しておくことができます。今回の機能追加の結果、ISDNデジタル回線に直結して、よりスピーディーに現場のデータを収集することができるようになりました。つまり、従来製品に比べ大幅に短い時間で、現場の計測データを収集することができます(なお、ISDN回線を使用した場合は、音声通報、ファックス通報、ポケベル通報は使用できません)。

4.長時間バッテリバックアップ
 従来のテレロガーでも、バッテリによるバックアップ機能がありました。しかし、内蔵しているバッテリの容量が小さく、すべての機能をバックアップするフルバックアップモードでは、最長40分までしかバックアップできませんでした。今回の機能追加の一つとして、内蔵バッテリに加えて外付けの長時間バックアップ用バッテリを製品化し、簡単に接続できるようにしました。外付バッテリを使用することによって、フルバックアップモード(テレロガーの機能をすべてバックアップするモード)のときでも6時間(フル充電時)までバックアップすることができます。

5.その他の機能の向上
 音声通報:音声合成ICを新しくし、より聞き取りやすい音声を実現しました(女性の声のみとなりました)。従来製品の音声通報は聞き取りにくいというご意見に対応して、改善しました。
 機器名称:テレロガーには名称を登録し、音声通報時にその名称が読み上げられます。特殊な読み方をする地名などを、漢字で登録すると正しく読み上げられない場合があるため、仮名で登録する必要がありました。この結果、登録文字数が不足する場合がありました。新型テレロガーでは、全角12文字まで登録ができるようにしました。
 着信ベル回数:テレロガーへ電話をしたときに、テレロガーがすぐに電話をとってしまうため、従来は現場で作業している人への電話連絡ができませんでした。新型テレロガーでは、着信ベル回数(最大20回)を設定できるようにしましたので、その間に人が電話をとることができるようになりました。
 以上ご紹介したところ以外にも、様々な改善を実現しています。

6.従来製品との互換性
 従来製品の基本的機能は、新型テレロガーでもそのまま継承しています。そして、監視側のパソコンソフトを変更することなく、新型製品を使用することができます(新機能は除く)。したがって、従来製品で作りあげたシステムの中に、新型製品を混在させて運用することもできます。さらに、外形寸法も従来製品と同じですから、現場盤を大幅に改造することなく新型製品へのリプレースが可能です。

お わ り に
 以上ご紹介したように、従来機能に加え、新たにファックス帳票機能や夜間・休日通報先指定機能など新しい機能が加わったうえ、従来からの機能も大幅に改良されて、より使いやすいテレロガーに生まれ変わりました。一層のご愛用、ご活用をお願い申しあげます。 ■

テレロガーはエム・システム技研の登録商標です。

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