2001年8月号

MSデータロガー(3)

(株)エム・システム技研 開発部
 
3.MSデータロガーのI/Oコンフィギュレータ CITCON
 本誌の前月、前々月号でMSデータロガーの概要をご紹介し、その構成が図1に示すとおりであることを説明しました。また、ユーザー各位によるアプリケーション開発を容易にするため、プロジェクト支援パッケージが用意されていることもご紹介しました。
 今回は、この支援パッケージソフトウェアの一つであるI/Oデバイスコンフィギュレータ:CITCON(CITECT Configurator)についてご説明します。
 (A)CITCONの用途
 一般に、データロガーシステムの構築作業においては、I/Oデバイスに対して、以下に列挙する設定作業と接続確認作業(入出力動作確認作業を含む)が必要です。
 設定1:システムにバス接続されているI/Oデバイスごとに、①バス(RS-232-CおよびEthernet)の設定と、そのバス上のI/Oデバイスのアドレス設定、②I/Oデバイスの種類設定。
 設定2:各デバイス上に存在する入出力点のチャンネルごとに、①信号レンジ(Input Type)の設定、②タグ名(Tag Name)の設定、③その他付帯情報の設定。
 接続確認1:システムを動作させて実際接続されているデバイスと設定が合致しているかどうかの検証。
 接続確認2:各入力チャンネルに実信号を印加して、その信号が正しくシステムに読込まれていることの確認。また、各出力チャンネルにシステムから信号を出力し、正しく外部出力されることの確認。
 これらの作業は、接続される入出力点数が多くなると煩雑で間違いやすい作業になります。
 CITCONはCITECTが動作するパソコン上で動作し、システム構築者が行う必要がある上記作業を支援し、大幅な労力軽減と時間短縮をもたらすことを目指しています。確定した設定結果は、CITCONからCITECTに渡され、CITECTで実行されることになります。
 (B)CITCONの支援業務
 ①I/Oデバイスの設定作業
 CITCONでは、システム内に含まれているI/Oデバイスからパソコン上のCITECTへの接続構成を、図4に例示するツリー構造の見易いグラフィック画面を使って設定できます。この設定を行うと、全I/Oデバイス上の各チャンネルに対して、自動的にデフォルトのタグ名が付けられます。このタグ名は、[バス名+バスアドレス+デバイス名(種類)+デバイスアドレス+チャンネル番号]から構成されます(図5右上部分参照)。付けられたタグ名は、その構成から見て明らかなように、システムでユニークです。また、これらタグ名はアプリケーションの要求に従って任意に変更可能です(図5右下部分参照)。なお、CITCONで設定した上記内容は、名前をつけてファイルに保存することや読出して再利用することが自由に行えます。
 ②デバイス上の各チャンネルのリモート設定/読出し
 各デバイスに固有の各種プロパティ(たとえば、R1M-GH2の場合、各チャンネルごとの入力レンジなど)を設定できます。図4に示すシステム構成画面上で、設定するI/Oデバイスを選択し、そのプロパティ画面のチャンネルを選択すれば、図5に示すプロパティ設定画面が表示されます。設定項目は、メニューから選択することによって簡単に設定できます。すなわち、I/Oデバイスが置かれている現場まで行かなくても、中央(CITCON)から全I/Oデバイスの全チャンネルを設定できることになります。また同様に、全I/Oデバイスの現在の設定内容を、中央(CITCON)で読み出すこともできます。
 ③PCと各デバイスの接続確認
 CITCONは、①、②で述べた設定内容に従って各I/Oデバイスとの通信を試行し、正常に通信できるかどうか接続状況をチェックできます。図5の左部分で、接続できていないデバイスには×印が付けられます。
 ④自動サーチ機能
 CITCONは、I/Oサーバ(図4に示すCOM1、70EM201、COM2などのバス)を指定すると、それに接続されているデバイスを検索してシステム構成を自動的に定義します。もちろん、機器を追加した場合でも、自動サーチ機能によって簡単に追加定義できます。
 ⑤チャンネルモニタリング機能
 CITCONは、各デバイスの各チャンネルの現在値(たとえばR1M-GH2の場合はアナログ入力値)を読み出して確認することができます。すなわち、中央から現場の入力値をチェックできることになります。
 ⑥「CITECT5」との連携
 CITCONによる設定/定義/確認作業が完了した後、その設定/定義内容を、「CITECT5」へのエクスポート機能を用いて、「CITECT5」上のプロジェクト(アプリケーション)に組み入れることができます。「CITECT5」は、以後この情報を用いて入出力動作を実行することになります。すなわち、CITCONがもつユーザーフレンドリーなI/O設定機能を用いることによって、ユーザーは高品質なシステム構築作業を実行できます。

お わ り に
 3回にわたって、MSデータロガーについてご説明しました。その特徴は、次に挙げる3項に要約できます。
 ①CITECT5、Modbus、Ethernetの採用に見られるように、オープンな業界標準技術に準拠。
 ②本稿でご説明したCITCONをはじめとする支援パッケージによる構築の簡便性。
 ③R1Mシリーズをはじめとして、今後整備し、ご提供する予定であるエム・システム技研の高機能、低価格で、しかも使いやすい入出力デバイス群。
 エンドユーザー各位、システムインテグレータ各位におかれては、ご感想、ご評価、ご要望などをお寄せいただければ幸いです。
 なお、電子メールの場合は、下記アドレス宛にお願いします。
E-mail:kawashima@m-system.co.jp■

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