2002年5月号 | |||||||
Application Note ーこんな使い方がありますー | |||||||
デューティパルス変換器(形式:MTD) | |||||||
今回は、加熱ヒータなどON-OFF制御用操作端を、アナログ調節計の出力によって制御するときなどに用いる、デューティパルス出力変換器(形式:MTD)をご紹介します。 デューティパルス出力変換器は、アナログ(電圧、電流)入力信号を、それに比例したデューティサイクル(これは「デューティレシオ」または「デューティ比」ともいいます)のパルス出力信号に変換する、機能的には「パルス幅変調器」です。図1にその仕様と外観を、また図2にそのブロック図を示します。なお、デューティサイクルとは、図3に示すように、パルスの周期Tに対するそのデューティな(役割を果たしている)HighまたはONの時間tの割合をいいます。 MTDは、入力信号のアナログ値に対してパルス出力(DC24V)のデューティサイクルを比例させます。なお、パルスの出力周期Tは、MTDのケースの前面にある周期選択スイッチと周期調整用トリマを使って、0.1秒から102.4秒までの間で任意に設定できます。 図4には、エム・システム技研で毎月開催のMKセミナー「PID制御の基礎」コースで使用している、温度調節ループ実習キットの例を示します。センサ(K熱電対)で白熱電球の表面温度を測定し、測定信号(PV)と設定値(SV)とを比較することにより、熱電対入力調節ユニットから調節信号(DC4~20mA)が得られます。この調節信号を使い、MTDおよびSSR(ソリッドステートリレー)を介して、電球フィラメントをON-OFF制御することによって、白熱電球の表面温度を一定値に保ちます。以上がこのシステムの動作原理の概要で、図中のパソコンとアスキー通信ユニット(形式:SMDF)は、遠方からの監視のため、また熱電対入力調節ユニットの設定値およびPIDパラメータを遠方から設定するために使われます。なお、SSRは、MTDの出力DC24Vのパルス信号を使って白熱電球へのDC100V給電をON-OFF制御しているパワーデバイスです。この場合は白熱電球の応答速度が速いため、制御周期は約1秒に設定していますが、水槽や油槽を加熱する場合のように、制御対象の熱容量が大きく応答速度が遅い場合には、もっと長い制御周期を設定します。 電子部品の発達により、オートチューニング機能まで内蔵したPID調節計が手頃な価格で入手できるようになりました。既存の設備でON-OFF制御(二位置制御)を行っていた制御ループをPID調節計でより制御性を高めて制御したいというときなどにも、PID調節計とON-OFF操作端とのインタフェースとして、このデューティパルス出力変換器をお役立てください。 ■
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