2002年5月号 | ||||||||||||
流 量 の お 話
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(有)計装プラザ 代表取締役 佐 鳥 聡 夫 | ||||||||||||
流量計もこれに似て、以前イギリスの専門誌に「流量計の選択が適切か調査したところ、半数以上が最適ではなかった」と書いてありました。枕も流量計も種類が多い上、ひどい間違いがなければ、何とか用が足りるからでしょう。 流量計メーカーに相談すれば、当然自社製品を薦めますから、それが最適かどうかは運次第。 そこで今回は、どのようにして流量計を選ぶべきか、基礎的な解説をします。
以下、表の順序に従って話を進めます。
表3中の測定精度で、高精度とは、測定誤差が指示値またはフルスケールの1%以下、中精度とは1%から3%の間、低精度とは3%以上と定義していますが、これは公的な規格ではなく、この場での約束です。 ここで、流量計測の目的と必要な測定精度の関係について考えてみましょう。 まず、体積流量の監視、警報、制御は、いわば流量計の一般的な使い方です。この場合、表示される流量はいずれも瞬時流量であり、あまり精度を上げても意味がありません。流量の監視に高精度は要らないし、警報設定も2~3%の違いが問題になるようでは危なくて使えません。 瞬時流量は常に細かく変動していて、完全に平滑な制御はできません。無理に制御しようとすれば制御弁を常時動かす必要があり、すぐにシール部が磨耗します。 質量流量は体積流量から換算して求めることが多く、これを直接測るのは主に高精度が要求される場合です。精度が必要なのは積算流量です。理由は、ガソリンの給油量、水道の使用量など取引に絡むことが多いからです。反応タンクへの原料供給なども高精度を必要とする例でしょう。
1)出力信号 出力信号には、電流、電圧、パルス、警報接点などの種類があり、伝送可能な最大距離も様々です。パルス信号の場合は、その特性もよく理解する必要があります。 2)電 源 起動時に平常時の数倍の電流が流れる流量計もあります。同一電源から複数の流量計に供給する場合は、とくに注意しましょう。 3)設置場所 流量計の前後に直管部が必要な場合は、配管中にそれだけのスペースがとれるか、また重い製品は特別な架台が必要かなど、あらかじめ検討すべきです。 機械的振動の大きい場所や、モータやトランスのすぐ近くは避けてください。 製品によっては筐体が屋外設置に耐えられないもの、あるいは直射日光を嫌うものもありますから、これも確認する必要があります。 4)保守作業 定期的な点検を必要とする製品については、その作業方法も検討しておきます。後になって、流量計に近づけない、重過ぎて作業できないなど、トラブルになっては困るでしょう。 5)関連製品のチェック 流量計を保護するストレーナ、流れの乱れを取る整流器、信号変換器や受信計器など、流量計本体以外の関連機器についても、その必要性と仕様を検討します。関連機器の手配を忘れると、流量計が届いても使えません。
TCO=流量計・関連機器の価格+設置費+保守作業費 なので、全体を見通す目が必要です。
本稿をお読みくださった方のお役に立てれば幸いです。 ■ |
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