2002年8月号

429MHz帯 SS無線対応
無線データ通信モデム(形式:RMD2)

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 近年、許認可不要の特定小電力タイプ無線通信機(送信出力10mW以下)が様々な用途において急速に普及し始めています。
 エム・システム技研では、許認可不要で基本料金がかからない2.4GHz帯使用の特定小電力無線データ通信モデムRMDを昨年開発し、多くの皆様に歓迎いただきました。
 ここに今回ご紹介する新製品、無線データ通信モデム(形式:RMD2、図1)は、同様に基本料金がかからない429MHz帯使用の特定小電力無線データ通信モデムです。2.4GHz帯を使用するRMDに比べ、429MHz帯という比較的低い周波数を使用することによって電波の回り込み(回折)があり、障害物に強く、安定した長距離通信が可能になりました。無線通信方式としては、RMDで実証済みである、秘話性が高く、雑音、妨害に強いSS(Spread Spectrum)無線方式注)を採用しています。本稿では、RMD2の主な仕様と特徴、また用途例などについてご紹介します。

RMD2の主な機能と特長
 (1)RMD2の仕様
 RMD2の主な仕様を以下に列挙します。
 ●技術基準:ARIB((社)電波産業会)標準規格
 STD-T67無線設備に適合
 ●使用周波数:429.250~429.7375MHz
 ●チャンネル数:40
 ●周波数運用形態:固定モードまたはグループモード
 ●データ変調速度:約430bps(無線区間内)
 ●空中線電力:10dBm(10mW)
 ●外部インタフェース:RS-232-C
 (2)安定した長距離通信を実現
 RMD2は、アンテナ一体形の特定小電力無線データ通信モデムです。429MHz帯の周波数を使用することにより、電波の回折が期待でき、障害物に強い設計になっています。また、高性能な受信回路により、高感度、高い妨害排除能力を実現しました。さらに、専用の(1/2)λホイップアンテナの開発とSS無線方式の採用により、下記のような安定した長距離通信が可能です。
 ●見通しの良い環境(海岸など): 3000m以上
 ●郊外(田園地帯など):1200m以上
 ●山間部(ただし山を越さない): 500m以上
 (アンテナ高を地上高2mに設置した場合です)
 注)環境によってこの数値は変化する可能性があります。
 (3)形 状
 専用アンテナは、無線機本体一体形となっています。全アルミケースを使用し、ノイズなどの妨害を受けることなく、安定した受信が可能です。また、アルミを使用することにより800gという軽量化を実現しました。
 (4)1:1通信、1:n通信(図2)
 RMD2は、入出力ユニットとモデムインタフェースの機能を併せたI/O一体形モデムインタフェース(形式:SMM)と組み合わせることにより、1:1通信が行えます。さらに、I/Oの点数を増やしたいとか、分散した地点のデータを収集したい場合には、モデムインタフェース(形式:SMDM)、リモート入出力ユニット(形式:SML)を組み合わせて使用することにより、1:n通信も行えます。
 (5)周波数グループ運用
 RMD2は使用周波数を固定して運用するほかに、周波数をグループ化して使用することができます。各グループ内では、設定された複数の周波数の中で電波環境のよい周波数を選択して、無線回線を接続します。グループ内の周波数のうち、どれか一つでも電波環境の良好な周波数があれば通信できるため、ノイズによる妨害やマルチパスフェージングに強くなっています。
 (6)通信品質測定機能を内蔵
 RMD2は、現場に導入する前に行う通信品質測定機能(TS2コマンド)をあらかじめ内蔵しています。2台のRMD2と1台のパソコンがあれば設置場所の無線通信品質を測定することが可能です。
 (7)無線データ伝送が適した用途例
 RMD2は無線を使用しているため、ランニングコストや配線工事を削減することができます。このことは、配線敷設ができない場所への導入に際して、大きなメリットになります。その例として、以下ような用途を挙げることができます。
 ●マンホールポンプの監視 
 ●河川をまたいでのデータ伝送・山岳部でのデータ伝送
 ●電気・計装盤間渡り配線の無線化
 ●仮設設備でのデータ伝送
 ●各設備のリモートメンテナンス

お わ り に
 以上述べたように、RMD2を導用入することは、コスト面その他数多くの点でメリットがあります。エム・システム技研では、無線データ通信モデム(形式:RMD、RMD2)のほかに、PHS回線を使用したPHSアクセスユニット(形式:PAU)、公衆回線を利用した遠隔測定・監視機器“スーパーテレメータシリーズ”など、様々なテレメータ装置を取り揃えています。用途に合わせてご検討のうえ、最適なテレメータ製品をご採用ください。■

注)周波数拡散通信(SS通信:Spread Spectrum Communication)のことです。もともとは軍用目的で、無線情報がほかに漏れないようにするため考案されました。信号を広い周波数帯に分散させて伝送する方式で、干渉(マルチパスフェージング)や電波妨害、混信に強く、秘匿性があり、拡散符号を使い分け、同じ周波数で重ねて複数の通信(符号多重)ができるなどの特長があります。
SS無線には、直接拡散(DS:Direct Sequence)方式と周波数ホッピング(FH:Frequency Hopping)方式があります。
RMDは、この両方を組み合わせたハイブリッド方式です。
またRMD2はDS方式を採用しています。
DS方式の特長:
・送信出力を低く抑えられる。
・高い通信品質を得やすい。
・高速化が容易である。
FH方式の特長:
・マルチアクセスに適している。
・特定の妨害波を避けられる。
・小形化が容易である。

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