2003年2月号 | |||||||||
レベル の お 話
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松山技術コンサルタント事務所 所長 松 山 裕 | |||||||||
a.巻取り式 スプリングバランス式、カウンタウエイト式 b.非巻取り式 アームフロート式、ボールフロート式、磁石式、磁歪式 以下この順で説明します。
巻取り式は非常に大きい測定範囲を実現でき、かつ高精度の測定ができるという特徴があります。JIS B 7560に規定されている測定範囲は最大25mですが、40mまで測定可能な製品も市場にはあります。精度については、JISにスプリングバランス式の誤差の許容差が示されていますが、最も高精度のA級では、測定値の±0.02%(ただし液位が10m以下のときは±2mm)となっています。スプリングバランス式レベル計の構造例を図1に示します。測定テープには一定ピッチで穴が開けられており、この穴によってスプロケットと噛み合い、フロートの動きをスプロケットの回転角に変換します。タンクに内圧がないか、あっても低い場合はこの構造のままでよいのですが、内圧が高い場合は、マグネットカップリング方式を使用します。具体的にはリング状フロートを使用し、その内部にリング状の磁石を入れます。フロートの中央の穴には非磁性のパイプを通し、この内に追従マグネットを入れます(図2)。この追従マグネットはフロートの位置に対応して上下するので、これを測定テープを介して指示部や発信器に伝えます。 スプリングバランス式レベル計は高精度ですが高価でもあるので、さほど高精度を要しない用途にはカウンタウエイト式が使用されています。原理図を図3に示します。この構造により、フロートの動きはプーリーの回転角に変換され、さらに電気信号に変換されて遠方へ伝送されます。
アームフロート式は、レバーの一端にボール状のフロートを取り付け、これを液面上に水平に設置します。液面の変化につれてフロートが動くので、これをレバーの回転角として外部へ取り出します。ボールフロート式は、液中にあるボールフロートの動きをマグネットカップリング方式などで外部へ伝達します。後者の例を図4に示します。フロートと外部とを、容易に曲がるチューブやベロースを介して接続する製品もあります。 (2)磁石式 磁石が入ったリング状フロートの上下によって非磁性パイプ内のリードスイッチをオンオフさせ、これにより複数の抵抗を切り換え、レベルを電気抵抗値の変化に変換する製品があります。例を図5に示します。この製品では、レベル測定範囲は最大およそ3.7m、検出ピッチは10mmですが、検出ピッチ5mmのものも製作できます。 なお磁石式には、磁石が入ったフロートの動きを外部に設置した樹脂マグネット板の反転によって表示する現場表示器もあります(図6参照)。マグネット板が反転すると、赤色もしくは黄色に塗られている面が表に出るので、液体レベルが外部から容易に認識できます。 (3)磁歪式 磁歪(磁気ひずみともいいます)は、強磁性体(鉄・ニッケル・フェライトなど)を磁化するとき、わずかな変形(ひずみ)が生ずる現象をいいます。磁歪式レベル計は比較的最近に開発された製品で、構造が簡単で精度が良いため、国内・国外ともに最近メーカーが増加しています。 構造としては、棒状のセンサープローブにリング状のフロートを貫通させたもので、フロートには磁石が、センサープローブには強磁性体でできた磁歪線が入っています。動作原理図を図7に示します。矢印の方向にパルス電流を磁歪線に流しますと、磁歪線の円周方向に磁場が瞬間的に発生します。しかし、磁石がある場所では軸方向に磁場があるので、磁場の合成により図に点線で示す斜め方向の磁場が瞬間的に発生します。その結果、この部分にねじり歪みが発生し、これによって生じた超音波が磁歪線上を伝播します。その超音波の伝播時間を測定することにより、フロートの位置を知ることができます。■ |
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