2003年6月号

緊急遮断(フェールセーフ)機能を備えた電子アクチュエータ
サーボトップⅡ(形式:PSN1/PSN3)

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 バルブアクチュエータの駆動方式には、空気式と電動式があり、両者の違いの一つとして、フェールセーフ機能が挙げられます。停電時、コンプレッサの停止により空気圧が低下すると、空気式アクチュエータ(単動式)の場合は、スプリングによりバルブは全閉または全開になりますが、電動式の場合は、給電が停止するためモータが停止し、不特定のバルブの開度で止まります。
 電動制御弁を停電時に全開または全閉にしようとすると、電動制御弁のほかに電磁弁やスプリングリターン式の電動緊急遮断弁なども付ける必要がありました。
 今回開発した緊急遮断機能付サーボトップⅡは、それ自体に緊急遮断弁の機能も備えた電子アクチュエータです。
 その機能と特長について概要を説明します。

1.形 状
 図1にその外観を示します。標準のサーボトップⅡにバッテリボックスを取り付けた形状です。バッテリは、専用ケースに収納しているためメンテナンスが容易に行えます。

2.機 能
 通常は制御弁用電動アクチュエータとして機能し、停電時(または電源電圧異常低下時)に、フェールセーフ機能を有したアクチュエータです。
 停電時には、内蔵バッテリにより全閉になるようにモータを駆動します(設定により、全開や任意開度にすることも可能です)。また、そのときの開閉速度も通常時の速度とは別に設定できます。
 電源投入時、短時間でバッテリを充電する急速充電方式をとります。急速充電中-ΔV注1) を検知するか、あるいは急速充電開始後一定時間経過すると、満充電状態を保つため、トリクル充電注2)モードに移行します。急速充電完了時、バッテリの電圧が一定電圧以上あるとき、バッテリステータスランプが点灯し、バッテリステータス信号を出力しますが、その電圧以下のときは、バッテリ異常としてバッテリステータスランプは点滅し、ランプの点滅に同期したバッテリステータス信号を出力します。

3.特 長
 (1)緊急時の開閉速度および出力軸停止位置を、設定範囲内で任意に設定できます。
 従来の空気式やスプリングリターン式の電動緊急遮断弁の場合は、開閉速度を変更することや、中間開度で停止することは困難でした。また、設置後は、アクチュエータの正・逆作動の変更も行えませんでした。
 サーボトップⅡでは、不感帯幅やスプリットレンジなどの調整と同様、プログラミングユニット(形式:PU-2A)を使用して、緊急時の開閉速度を定常制御時の開閉速度より速くすることや、緊急停止時のバルブ開度を全閉、全開位置以外にも任意の開度に設定可能です。正・逆作動の切換も、スイッチを使って簡単に行えます。
 (2)大容量のバッテリを搭載しています。
 バッテリには、長寿命で高信頼性のニッカド電池を使用していますから、500回以上の充放電サイクルが可能です。また、密閉方式であるため、鉛蓄電池の場合求められる電解液補充などの保守は必要ありません。
 (3)バッテリステータス信号などによりバッテリの状態を把握できます。
 電源ランプ、充電ランプ、バッテリステータスランプによりバッテリの状況をモニタできます。また、バッテリステータス信号を外部に取り出すことも可能で、充電不良、バッテリ不良などの診断にも使用できます。
 (4)駆動モータおよびフィードバック信号のセンサであるインダクポットはブラシレスです。
 サーボトップⅡには、従来から実績のあるDCステッピングモータを使用しています。緊急遮断機能付きの場合もそれを継承していて、従来と同様に電気的摺動接触部がないため、信頼性が高く長寿命で、長期間安心してご使用いただけます。

お わ り に
 以上、サーボトップⅡの新しい機能と特長について説明させていただきました。
 エム・システム技研では、サーボトップⅡ以外にも各種の電子アクチュエータを製造、販売して参りました。その中に、サーボトップⅡの弟分としてミニトップシリーズがあります。先頃、このシリーズのリニアモーションタイプ(形式:MSP4/MSP5/MSP6)およびロータリモーションタイプ(形式:MRP4/MRP5/MRP6)に強制開閉信号付き(オプション)を追加しました。
 そのほか、DeviceNet用ミニトップや、ロータリバルブ用サーボトップC形(形式:CRP)、リニアモーションタイプサーボトップC形(形式:CSP)も用意しています。
 詳細についてはエム・システム技研ホットラインまで、お気軽にお問い合わせください。 ■

注1)-ΔV (マイナスデルタブイ):充電を開始すると、電池の端子間電圧は、上昇しますが、満充電直前で電圧が急に下がります。この現象を-ΔVといいます。今のところこの-ΔV検出方式が一番満充電を達成しやすく、一般的に使用されています。
注2)トリクル充電:電池の自己放電を補うために、負荷から切り離した状態で、絶えず微少電流で充電すること。

サーボトップミニトップインダクポットはエム・システム技研の登録商標です。

 
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