2003年7月号 | |||||||||||
電池内蔵形、寿命モニタ機能付 電子機器専用避雷器
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(株)エム・システム技研 開発部 | |||||||||||
ところで、この避雷器は従来の避雷にはなかった特色をもたせたものであるため、ユーザーのご評価を確認させていただくべく、お客様と直接お話しできる機会をとらえて、この製品についてのご意見を伺って参りました。そして、いただいたご意見の一つに、「現場側に設置した2線式伝送器の保護に使いたいが、給電線を新たに敷設しなければならないので採用を見送っている」といったご意見がありました。実は、私たちも電源の供給不要が最上であると考えていたのですが、いろいろな制約を前に製作を断念していました。しかし、お客様から直接ご意見を頂戴したことで奮起し、電池を内蔵させることによって、以下のような外部電源不要の寿命モニタ機能付 電子機器専用避雷器(形式:MDPA-24/65、図1)を実現するに至りました。
次に寿命モニタ機能についてご説明します。エレメント部前面のチェックボタン(CHK)を押すと、2個の表示ランプ(BAT、ALM)の組み合わせで放電素子と電圧制限素子の寿命を表示します。この組み合わせを表1に示します。 寿命モニタ機能は電池で動作するため、電力には限りがあります。表示ランプを常時点灯させるとすぐに電池が消耗してしまいますが、図2に示すブロック図のとおり、常時はサージ計数回路にだけ微少な電力を供給し、チェックボタンを押したときだけ表示ランプに電力を供給するようにして電池の消耗を抑えました。また、電池には、自己劣化が少なく長期使用でき、耐漏液性に優れたリチウム電池を採用しました。以上の工夫をもとに、電池寿命は、点検時間を2分/月以下として、エム・システム技研製造後10年を保証しています。なお、1回の点検は5秒もあれば済ますことができますので、この制限でとくに不便はないと考えています。また、電池は交換・充電ができませんので、電池切れの際は、エレメント部ごとの交換をお願いします。
また、線~接地間では大地電流の回り込みが生じ、やはり信号に狂いが生じます。これらを未然に防ぐため、定期的な避雷器の性能チェックが必要なのです。他社にも劣化表示が付いている製品がありますが、これらはすべて、線間を保護する電圧制限素子しかモニタしていません。またその判定も感度が悪く、信号に狂いが生じたころにやっと劣化表示がなされます。しかしMDPA-24/65は、小形形状にかかわらず、線間の電圧制限素子と線~接地間の放電素子の両方をモニタするとともに、信号に影響を及ぼす前に寿命を表示します。この違いは、変換器で長年培ってきた回路技術によるものと自負しています。
現場で行う避雷器の性能チェックはわずらわしいものです。現場盤に設置する避雷器にMDPA-24/65をご採用いただけば、性能チェックはボタンを押すだけですから、点検は5秒で完了します。 [中央監視盤への設置] 各種伝送器の引き込み線から侵入する雷サージを消滅させるため、盤内にはループごとに避雷器が設置されています。したがって避雷器の台数は相当数になり、性能チェックに要する作業も大変です。このような盤にMDPA-24/65をご採用いただけば、点検作業時間が大幅に短縮されます。また既設の中央監視盤の場合、MDP-24-1またはMDP-65-1を現在ご使用であれば、盤を作り替えることなく、ただエレメント部を差し替えるだけで、大変経済的に寿命モニタ機能付に変更することができます。 [接点出力が必要な場合] MDPA-24/65には寿命判定時の接点出力が付いていません。接点出力が必要な場合には、給電が要りますが、先に発売している寿命モニタ機能付 電子機器専用避雷器(形式:MDM2A-24/65)のご採用をお勧めします。
*エム・レスタは、エム・システム技研の登録商標です。 |
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