2003年8月号

ネットワーク対応 チャートレス記録計システム

(株)エム・システム技研 開発部
 
は じ め に
 プロセス用監視・記録装置として、チャート(記録紙)を使用する伝統的な記録計が現在も数多く設置されていると思います。これらの記録計では、チャートやインクなど記録のための消耗品が必要であるとともに、消耗品の追加・交換を含めて多くの保守・管理作業を必要とします。最近は、各種機器の電子化に伴って、多くの分野でチャートを使用する従来の記録計から、チャートを使用しないペーパーレスの電子記録計への変更が進んでいます。電子記録計が普及したことにより、チャートを使用する旧来の記録計の保守・管理作業が厄介であることが顕在化しつつあります。しかしながら、電子記録を行うペーパーレスの記録計は、一般に高価であることと形状が既設の記録計と異なるため交換設置に準備や費用が必要であることが多く、思い切って設備の更新ができない状態にあると考えられます。そこで、エム・システム技研では、従来のチャート式記録計とまったく同じ寸法でパネル取付けができる電子記録計として、チャートレス記録計システムを開発しました。
 このチャートレス記録計システムは、チャートレス記録計本体(3機種 形式:73ET、74ET、75ET)とリモートI/Oから構成されています。

1.パネル取付け
 従来のチャート式ペン書き記録計の多くは、その前面寸法が144×144ミリ角であり、これに対応するのが73ETです。図2に73ETの外形寸法を示します。144×144ミリ角の記録計を73ETに置き換える場合に、従来のパネルカット(138×138ミリ)がそのまま使えることを示しています。また、チャート式の打点式記録計の多くはその前面寸法が288×288ミリ角であり、こちらは74ETと75ETが対応しています。図3に75ETの外形寸法を示します。
 73ET、74ET、75ETのチャートレス記録計本体(以下、単に記録計本体と称します)を従来のチャート式記録計のパネルカットに合わせて設置するため、図4に示す専用のアダプタを用意しました。パネル表面から見ると、従来設置されていた記録計とまったく同じ外形寸法になります。専用の取付け金具を使用して取付けるため、既存の記録計を取り除いたパネルをそのまま使用でき、パネル面の改造はまったく不要です。図4は、アダプタを使用して75ETを取付ける場合の構成図です。
 記録計本体にプロセス信号を取り込む入出力ユニットとしては、リモートI/Oを使用します。そして、入出力ユニットと記録計本体の間はRS-232-Cケーブルで接続します。したがって、信号線を記録計背面まで直接配線する必要はなく、パネル内の配線をすっきりさせることができます。

2.機能と特長
 ●記録・表示・操作
 記録計本体は、最大128チャネルのデータを記録できます。収録周期は0.5秒から10分まで7種類あり、設定周期はすべてのチャネルに共通です。0.5秒の収録周期を選択した場合には4ペンの表示となり、従来のペン書き記録計に相当する機能をもちます。収録周期を2秒以上にすると、12ペンを表示する従来の打点式記録計に相当する機能をもつことになります。
 記録計本体3機種の画面に関する仕様を表1に示します。記録計本体は、形式によっては、データを表示する液晶表示器の画面サイズと解像度が異なりますが、液晶の種類、画面の操作方法などはすべて同じです。
 図5は74ETのレコード画面です。
レコード画面は、記録されるデータをリアルタイムに表示します。表示更新周期は4ペン表示の場合は0.5秒、12ペン表示の場合は2秒です。表示画面はいずれも2ページあり、収録周期と表示周期の設定に対応して、同時に表示できるペン数は最大8ペンと24ペンになります。
 ●記録データの検索と表示
 すでに記録されているデータの検索は、リトリーブ画面にて行うことができます(図6)。なお検索には、ページのアップ・ダウンによる方法および記録時刻(年月日時分秒)を指定して行う方法があります。長期間記録されているデータの中から必要な時刻のデータを簡単に検索して表示することができます。また、リトリーブ画面の表示中であっても、データの収録は続けられます。
 ●ネットワーク対応
 チャートレス記録計システムは、システムとしてネットワークへの組込みが可能です(図7)。Ethernetに記録計本体を接続することにより、パソコンにインストールしたPCレコーダソフトウェア(MSR128)を使って本体のデータをリアルタイムに収録することができます。記録計本体にて収録したデータはコンパクトフラッシュカードに格納されます(図8)。格納されたデータは、LANを通じてパソコンにファイル転送するか、あるいはコンパクトフラッシュカードをパソコンのリーダで読み込むことによって、パソコン上のデータファイルとして解析、保存用に使用することができます。

お わ り に
 エム・システム技研のチャートレス記録計本体 3機種は、チャート式の従来の記録計に替わって、プロセスデータ記録の保守・管理を容易にします。とかく電子記録計は高価であると考えられていますが、機能を記録計本来の機能に限定することによって、お求め易い価格を実現しました。この機会にぜひ、従来のチャート式記録計からチャートレス記録計システムへの更新をご検討ください。 ■
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