2003年8月号 | ||||||||||
レベル の お 話
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松山技術コンサルタント事務所 所長 松 山 裕 | ||||||||||
今まで説明してきたレベル計には、液面測定と粉粒面測定の両方が可能な方式がいくつかありました。今回は、粉粒面測定専用のレベル計である重錘式レベル計と、粉粒面測定にウエイトを置いて最近発売されたガイド付マイクロ波式レベル計注)について説明します。
粉粒体をサイロなどに投入すると、通常中央部が高い円錐状になります。この円錐の表面がもつ勾配角を安息角といいますが、この角度は粉粒体の種類やその粉粒体の含水率によって大きく変化します。またサイロから粉粒体を抜き出しますと、逆に中央部が陥没します。さらにサイロ内には、はしごなどの突起物がありかつ粉塵などの浮遊物もあります。そのため、超音波式レベル計の使用にあたっては、かなりの注意が必要です。 一方、粉粒体の静電容量は物質によって大きく異なりますし、また含水率によっても変化します。そのため静電容量式レベル計では、現場での校正が必要になります。 一方重錘式レベル計には、上に述べたような問題点はほぼないのですが、たえずおもりを上下させる原理のため、保守面での心配があります。 ガイド付マイクロ波式レベル計は、1997年ドイツのKrohne、Endress+Hauser、Vegaの3社が同時に発売した最も新しいレベル計で、粉粒体用レベル計の問題点をほぼすべてクリアした製品といえるでしょう。
このレベル計はおもりを機械的に上下させるので、粉塵、ミスト、蒸気、ガス、温度、圧力、タンク形状などの影響を受けないなどの長所があります。そのため、粉粒体のレベル測定に従来広く使用されていました。しかし、最近は使用は減少していると見られます。
ガイド付マイクロ波式レベル計は、前回説明したマイクロ波式レベル計と同じくマイクロ波を使用し、対象レベル面で反射されて帰ってくるまでの時間を測定してレベルを知る方式です。ただし、マイクロ波式レベル計のように開放空間に向けてマイクロ波を発信するのではなく、導体のロープまたはロッドをガイドとして用います。導体にマイクロ波を流すと、マイクロ波はその導体表面に沿って進みます。この導体(プローブといいます)を測定対象である粉粒体もしくは液体中に上から挿入し、上からマイクロ波のパルスを発射すると、粉粒面もしくは液面で反射されて上方へ逆行します。したがってパルスを発射してから受信するまでの時間からレベルを測定することができます(図2参照)。なお、このマイクロ波の反射については、粉粒面もしくは液面の上下の物質間に比誘電率の差がかなりあることが必要です。この条件は機種やプローブの種類によって異なりますが、おおむね物体の比誘電率が1.8以上ならレベル測定が可能です(物体の上部が空気の場合)。 3.2 特長 (1)測定対象やその周囲の状態(温度・圧力・粉塵・含水率など)の影響をほとんど受けない。 (2)粉粒体面が傾いていたり、凸凹があっても測定に問題はない。 (3)小さい容器にも取り付け可能 (4)設置が簡単で現場調整が不要 (5)可動部がなくメンテナンスフリー 3.3 プローブ プローブには、ロッド状・ロープ状などがあります。通常、レベル範囲が広いときはロープ状プローブを使用し、下にウエイトを吊すか、下端をサイロに固定します。1本のロッドか1本のロープを使うメーカーが多いのですが、Krohneはシングルロッド、ツインロッド、シングルケーブル、ツインケーブル、同心円筒の5種類のプローブをもっており、アプリケーションによって使い分けるとしています。なお、ツインロッド・ツインケーブルというのは、2本のロッドまたはケーブルを狭い間隔で平行に設置する構造のプローブです。ツイン方式のプローブは、タンク壁との間隔を狭くとれることや、比誘電率が低い物質にも適用可能という特長があります。これらのプローブの選択については、表1に示します1)。なお、このように応用範囲が広いので、Krohneでは“The universal level gange”と称しています。■ ◆ 参考文献 ◆ 1)谷 多久二(東京計装):液面および 界面の計測が可能なガイドレーダレベル計、inフィールド(「計装」増刊)、2003春号、p. 11~15 注)ガイド付マイクロ波式レベル計は、本連載第1回の表1に高周波パルス式レベル計として記載したレベル計のことですが、この名称の方が内容をわかりやすく示していると考えて変更しました。 |
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