2004年6月号

Webロガー(形式:TL2W)の
ユーザー仕様Web画面

(株)エム・システム技研 開発部
は じ め に
 Webロガー(形式:TL2W)は、管理者が駐在する中央管理室から離れた遠隔現場で稼動する諸設備(たとえばマンホールポンプ、配水池、ダムの水門…など)に付帯設置され、設備の稼動監視と管理データの収集/編集を行います。現場設備群の遠隔集中運転管理および設備ごとの遠隔保守管理を可能にします。このためには、中央の管理コンピュータや管理者の携帯電話などとの間での通信機能が基本要件の一つになります。TL2Wでは、通信機能について以下の基本方針を採用しています。
 1)インターネット、イントラネット、構内LAN、CATV網、地域IP網、公衆電話回線、ISDN、PHS、DoPaなど、普及した様々の通信インフラを活用する。
 2)Web画面方式とEメール方式をとることによって、管理コンピュータや携帯電話側には標準的なWebブラウザやメール受信ソフトさえあればよく、ユーザー固有のアプリケーションソフトを必要としない。
 TL2Wには標準機能として7つのWeb画面が組み込まれていて、ユーザーは導入後直ちに利用することができます。さらに必要に応じて、ユーザー固有のグラフィックWeb画面(Javaアプレット)を簡便に作成して併用することができます。本稿では、このアプリケーション画面の作成手順と機能の実現方法を例題画面図2と表1によってご説明します。

1.Web画面開発環境

 図3にWeb画面の開発環境を示します。Web画面はJava言語で記述されたJavaアプレットの形を取ります。Java IDE(Integrated Development Environment)は一般的なプログラム統合開発環境です。IDEを使う利点は、準備された部品を目的に応じて使うことでJava言語の知識、経験を必要とせず、いわゆるGUI(Graphical User Interface)方式だけでもJavaプログラムが作れる点です。TL2Wでは、IDEとしてサン・マイクロシステムズ社のSun ONE Studioシリーズか、オープンソースとして無料で配布されているNetBeans IDE(http://www.netbeans.org/ 参照)を使用します。これに加えて、エム・システム技研が無償で提供するTL2Beans 部品群を用いて目的の画面を作ることができます。IDEを操作して、画面上の目当ての場所に部品を選択して貼り付け、その部品の属性(プロパティ)を選択定義する形になります。表2にTL2Beansの一覧を示します。Beansの完備度によって、できる画面の機能性、操作性が支配されます。エム・システム技研はBeansの改良、充実を継続して行います。完成したWeb画面(アプレット)はネットワークを介してTL2Wに書き込んで保持します。

2.Web画面実行環境1

 図4にWeb画面実行環境1を示します。PC上のWebブラウザで目的のWeb画面を指定すると、TL2WのWebサーバによってそのJavaアプレットがPCに読み出され、Java VM(Virtual Machine)によって解釈、実行され、画面が表示、実行されます。Java VMも通常はPCに標準的に搭載またはプラグインとしてプリインストールされていますから、ユーザーは特別に意識する必要がありません。通常のインターネット上でのホームページ閲覧とまったく同様です。

3.Web画面実行環境2

 図5にWeb画面実行環境2を示します。Web画面においては、現場のTL2Wが掌握/算出する現場データを画面に表示し、時々刻々更新する必要があります。また画面からの指示(押し釦指令/パラメータ設定など)をTL2Wに伝えて、リアルタイムにTL2Wの動作に反映させる必要があります。このためにTL2W上で動作してWeb画面と連携、支援するPOL(問題向き言語)機能が準備されています。POLとWeb画面はオンライン通信で常時情報交換する仕組みになっています。表3にPOL演算器の一覧を示します。

4.例題画面作成

 例題画面の作成手順を説明します。
 1)IDEを起動し、新しい画面アプレット作成を指定します。フォームエディタが起動して、図6の外枠が表示されます。白紙のアプレットです。以後このフォームエディタでアプレットにTL2Beansの部品を貼り付けて画面を完成させていきます。
 図7に示すように、この画面の固定図形要素とそれらを配置したものを描画ソフトで作ります。Word、Excel、Visioなどの手馴れたツールで作れます。これを1つの画像部品(jpg/gif形式画像データ)として前準備します。
 2)図8は、図7で準備した画像部品をIDEフォームエディタで白紙のアプレットに貼り付けたところです。
 3)図9(主要部は図2と同じ)は、この上に部品(Beans)を貼り付けたところです。部品の候補一覧がフォームエディタの上部に表示されています。ここから選択してアプレット上の目当ての場所に貼り付けます。アナンシエータ5個、配水池の水位バーグラフ、配水池水位表示器、高水位限界表示/設定器、ポンプ停止水位表示/設定器、ポンプ起動水位表示/設定器、低水位限界表示/設定器、送水流量表示器、送水流量積算値表示器/同リセット釦、ポンプ運転時間表示器/同リセット釦、ポンプ運転回数表示器/同リセット釦、ポンプ操作盤上の手動/自動モード選択オルタネイトSW、起動指令モーメンタリSW、停止指令モーメンタリSW、ポンプ運転状態表示器、などが貼り付けられていることが分かります。部品は貼り付けるとともにその属性(プロパティ)を選択設定します。
 4)図10は、 3)における属性設定操作内容を示します。部品ごとに準備された属性一覧が表示されますから、各属性項目について必要な選択/設定を行ないます。TL2Wがもっているどのデータを表示するのかなど、多くのユーザーの要求仕様を満たすのに必要十分な属性項目が各部品に対して準備されています。 部品の貼り付けや設定の都度、IDE内ではJava言語で記述されたソースプログラムが更新され、必要に応じてそれらを見たり編集することができます。ただしTL2Wの通常用途ではその必要はありません。
 5) 4)が終わったら、IDEのJavaコンパイラでコンパイルします。その結果、実行可能なアプレットが生成されます。このPC上に完成したJavaアプレットをFTP通信でTL2Wに書き込みます。この操作はアップロードといいます。アップロードツールが用意されているので、それに従うだけでアップロードは実行できます。
 6)図11に、この画面と連携してTL2W上で動作するPOLの設定を示します。10個の演算器でこの画面要求機能をカバーしています。
 7)以上の開発環境と手順によって、習熟すれば約3時間でこの画面を完成させることができます。

お わ り に
 以上ご説明したWeb画面開発環境を「Web画面ビルダー:TL2Beans」、POL開発環境を「Web計器ビルダー」と呼んで、それぞれ取扱い説明書を準備しています。ご関心をおもちの方はエム・システム技研担当営業またはホットラインにご要求ください。
 また、エム・システム技研内には、TL2WをADSLで常時接続した公開デモサイトを開設しています。エム・システム技研のホームページ(https://www.m-system.co.jp/)からTL2Wデモサイトに入って、TL2WのWeb標準画面、アプリケーション画面例、日報、月報例などを見ていただくことができます。さらに、エム・システム技研本社あるいは東京支社にお立ち寄りいただければ、担当者が実機ベースで詳しくご説明します。■
 
戻 る 進 む

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.