2004年7月号 | ||||||||||||||
直流入力を温度相当信号(測温抵抗体抵抗値)に変換する
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(株)エム・システム技研 開発部 |
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測温抵抗体相当の抵抗値を出力する機器としては、キー入力やGPIBなどの通信で出力値を設定する校正用の計測器が一般的であり、決められた温度範囲における測温抵抗体相当の抵抗値を直流入力信号に対応して出力するCVRTDのような変換器は、工業計器業界初の製品と言っても過言ではないでしょう。 以下、CVRTDの特長、仕様および応用例についてご紹介します。
抵抗器の組合せに用いるスイッチには、通常のリレーではなく半導体MOS FETを用いています。このため、出力に極性による制限が生じますが、リレー接点にありがちな接点抵抗値の増加(経年変化)や使用寿命の問題などという不安定要因は排除できます。 停電時の出力は、原理上断線(バーンアウト)状態になりますが、固定温度(一定抵抗値)を出力することも可能です。 CVRTDには、測温抵抗体の(A)、(B)端子に相当する端子を各々2か所、合わせて4個の出力端子があります。したがって、2線式、3線式、4線式、すべての接続方式に対応可能です。
ゼロ調整およびスパン調整の機構をケース前面に配置しています。したがって、前面パネルの扉を開けると容易に操作できます(図3参照)。 表1にCVRTDの入力、出力および電源の仕様を示します。入力信号は、標準的な信号DC4~20mAとDC1~5Vの2種類です。ただし特殊仕様にも対応可能ですから、必要に応じエム・システム技研のホットラインまでお問い合わせください。 出力信号は、標準では、JPt100(JIS'89)、Pt100(JIS'89)およびPt100(JIS'97、DIN、IEC751)の3種類の測温抵抗体の抵抗値に対応しています。その他の測温抵抗体についても、15~400Ωの出力範囲内であれば製作可能です。お気軽にエム・システム技研のホットラインまでお問い合せください。 供給電源としては、AC電源とDC電源を用意しています。AC電源の仕様は、ほぼ全世界各国の商用電源仕様をカバーしています。 入力-出力-電源間の絶縁耐圧は、AC2000V/1分間です。基準精度は測温抵抗体の出力温度レンジの±0.3%(スパンに対する)または±0.1Ωのいずれか大きい方です。応答時間は0.5秒以下です。
具体的な例を図4(a)、(b)に挙げます。ある工場で、設備の改造に伴い、温度測定結果をDC4~20mA信号で取り込むことになりました。しかし、既設の測温抵抗体入力の温度記録計でも同時に記録したいということで、エム・システム技研に対応策についてお問合せをいただきました。この場合、測温抵抗体変換器(形式:RBS)の出力を上位記録計または温度コントローラとCVRTDの入力端子に接続し、CVRTDの出力を既設の温度記録計に接続することで対応できます。 他の応用例として、温度センサが使用中の記録計の仕様とは異なる種類の測温抵抗体や熱電対(図4(c)参照)に変更された場合でも、温度センサ変換器としての役割を果たします。 新しい製品であり、これからお客様がどのような具体的用途にご使用になるのかは、開発者の私にとっても興味の尽きないところです。
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